<第10章>  引越翌日の日曜日、守は顔がにやつくのを抑えきれなかった。  今日は守、エリ、麻美の三人で共同生活に足りない物を買物に来ている。  すぐ目の前に居る麻美が昨日の夜、自分の下であんなに乱れたかと思うと、思い出し笑いならぬ思い出しスケベで、どうしても顔がにやついてしまう。  麻美は一発目が終わってからも、積極的だった。  自分からお掃除フェラを志願すると、精液と愛液でドロドロのペニスを丹念に舌で清め、汚れを全て飲み込んでしまった。  それから、自分が上になり、騎乗位で乱れまくったのだ。その腰の動きはとてもいやらしかった。滑らかでいて、かつ、緩急に富んでいた。上下、前後左右、回転と守が一番気持ち良い方法を探るように動いた。  オマンコはペニスを優しく包み込み、亀頭が膣壁や子宮口へちょうど良い加減で当たる。  麻美は感情が昂ぶりすぎてるのか、感じてるのか、あえぎっぱなしだ。  それに程よい大きさで形の良い胸が守の目の前で暴れる。その乳首や乳房をいじると切なげな声が出てきて、守をさらに熱くさせた。  麻美は快感のあまり動けなくなると女性上位になった。胸をこすりつけ、守の頭を抱いたり、髪の毛をグシャグシャにかき混ぜた。それでも飽き足らず首筋や胸板へキスしまくり、ペロペロと舐め回った。  そして、最後は体を密着させて、キスしたまま守の射精に合わせるように大きな絶頂に達した。  二発目が終わってからも、さらにおねだりする麻美をなだめるのが大変だった。  結局、挿入したまま寝るということで、何とか麻美を納得させたのだ。  麻美は一晩で完全な甘えん坊に変わっていた。  朝からベタベタしようとするのをエリが鋭い目でにらむ。守はその度に寿命が縮む思いがした。  ということで、今は意識的に二人と一歩離れて歩き、一人で昨日の夜の事を思い出して楽しんでいた。  なにせ目の前に妄想の現物が居るのだから、思い出すのは簡単だ。目は麻美のお尻を追いかけてしまい、ズボンの中ではペニスが半勃起してしまっている。  大抵の物は三人で持ち寄ったもので足りるけど、何ともならないのは冷蔵庫だ。  台所がそれほど広く無いので三台も置くわけにはいかない。仕方ないので大型の物に買い換えることになった。  それからテレビ。エリと麻美が持ってきた物は、それぞれの部屋に置いてある。守が持ってきた物だとリビングへ置くには小さすぎるというので買い換える。  麻美は当たり前のように最新型のフルハイビジョンにレコーダーとスピーカーのセットを選んでいる。合計で守の三ヵ月分の給料以上の値段だ。守はクラクラしてしまう。にやついてる場合じゃなかった。 (この人達に任せてたらダメだ。俺がしっかりしないと)  そこから守はエリと麻美が余計な物まで買おうとするのを止めるので大変だった。  エアコンだけはリビング用の大きな物が必要だったので妥協したが、それ以外の洗濯機、電子レンジ、掃除機、その他家電製品は全てストップさせた。  最後に麻美が車まで買い換えようとしたので、守は呆れてしまった。 「だって、私の車は2+2だから三人乗るには狭いの」  麻美がねだるよう目で守を見る。 「いいですから、俺が後ろに乗りますから」 「でも、守にはイイ車に乗って欲しいから」 「車には興味ないですから。ほんとに勘弁してください」 「つまんないの」  麻美は本当にがっかりしている。ここで少しでも甘いところを見せたら、これからなし崩しになってしまう。守は麻美とエリの浪費癖を治す使命を感じていた。  食料品を買う時でも、価値観の違いを思い切り見せ付けられる。  野菜でも豆腐でも牛乳でも、二人は何でも一番高い物を買おうとする。 「だって、高いほうが美味しいでしょ」  二人ともなぜ、そんな当たり前の事を聞くのという顔をしている。 「この安いのでも十分美味しいですから」  守は二人に任せてられないので、一人でテキパキと買物していく。そして一週間の献立を考えていて二人の姿が消えているのに気が付かなかった。  戻ってきた二人の手には一目見て高そうなワインとかのお酒が何本も抱えられていた。 (ダメだ。この二人には言っても無駄なんだ……)  守は本当にがっくり来てしまった。  買物から帰っても大変だった。  エリと麻美は使い物にならないので、守は買ってきた食料品を一人で仕舞い、家電の配達の受け取りや設置をして、ゴミを出し、掃除をする。  それが終わったかと思うと、すぐに夕食の準備に入る。その合間にお風呂の準備をして、食器を並べ、風呂から出てきた二人にご飯を食べさせ、終わると後片付けをする。  なんとか落ち着いたところで風呂に入り、のんびり出てきたら、もう夜の十時を回っていた。  麻美は一人先に自分の部屋に戻り、エリがリビングで一人テレビを見ている。  その後ろ姿からイライラしてるオーラが出ているのが守には良く分かった。 「お待たせしました」  守は恐る恐る声を掛ける。 「あんたねえ、男のくせにいつまで入ってるのよ。さあ、寝るわよ」  エリはそう言いながら、プンプンと部屋へ引き上げた。 (疲れてるんだけど……)  守は中年のおじさんが奥さんからの夜のお誘いを断る気持ちが何となく分かった。 「昨日はずいぶんお盛んだったみたいじゃない」  エリがベッドの端に座って、嫌味たっぷりの口調で言う。  やっぱり聞こえてたんだ。  守はエッチの時の声を第三者に聞かれた恥ずかしさと、エリの怒りを恐れて何も言えなくなってしまう。 「何回も言うけど麻美の時は手を抜いてちゃっちゃと終わらせてればいいのよ。それより、あんた、麻美とどんなことしたの。採点してあげるから私にもしてみなさい」  エリは上からものを言っているが、目がちょっとさまよっていて、本心とは違うことが守にはすぐ分かった。 (エリさんが嫉妬してる……)  守はそれが何よりも嬉しかった。そう思うと俄然やる気が湧いてきた。 「昨日の麻美さんは始める前から興奮してたんで」  守はしゃべりながらエリの背後へ回る。 「それで」 「最初はこんな感じで胸を揉みながら、首筋を」  そう言いながら守は昨夜の麻美の時以上に繊細にエリの首筋に舌を這わせた。  この数ヶ月でお互いの体を知り尽くしている関係だから、手を抜こうものならすぐにばれてしまう。守は手を抜くどころか、いつも以上にエリを感じさせようと思っていた。  細心の注意を払って1ミリ単位で舌の触れる場所を調整する。 「ふん、なかなかいいじゃない。仕込んだ甲斐があるわ。でも、麻美にはちょっともったいないわね」  エリは今までより興奮している。感度がいいし、快感レベルの上がるのが早い。  昨日の守が久しぶりの普通のセックスだったのと同じように、エリは今日が久しぶりになる。それに昨日麻美の声を聞かされたことで欲求が溜まっているのだ。 「それから、胸の先をこんな感じで」  守はキュッと乳輪ごと乳首を摘む。 「っ……、そう、なるほどね」  エリがかすかに息を呑んでからしゃべる。  守はその息を飲む音も、わずかに震える声色の変化も聞き逃さない。おまけに、エリの脚が微妙にくねっている。感じているのが丸分かりだ。やはり性感の上昇がいつもより早い。  昨日の麻美と同じだ。三人での同居は意外な効果があるのかもしれない。どんどん進んでみよう。  守は積極的に責めることにした。 「それからキスしました」  片手で優しくエリの顔を自分に向け唇を合わせた。  麻美の時はいきなり激しいキスだったが、今はかすかに触れる程度のキス。  それから少しずつ時間をかけてキスを濃厚にしていく。  唇を擦り合わせ、唇を舐め、舌を絡ませる。  待ちきれなかった様子でエリの舌が守を受け止める。 「ふぅ……。麻美にこんなキスしなくていいのよ」 「今のはエリさん用のキスですよ」  耳元でささやく。  それを聞いたエリの顔がかすかに、はにかんだ。 「その次は……」  守がエリの股間へ手を伸ばすと、すっとエリの脚が開く。  昨日の麻美ほどではないがエリも十分すぎるくらいに潤っている。  ショーツの上からはっきりと湿り気が分かる。 「エリさんは、こうですよね」  守は爪の先で引っ掻くようにショーツの上からクリをこする。 「んっ、分かってる、んんっ、じゃない。そう、それよ」  エリは感じているのを隠そうとせず、声が上ずっている。 「それで、麻美さんは我慢できなくなってきたので、俺の乳首を吸って我慢してもらいました」 「じゃあ、私も吸ったげるわよ」  エリが嫌々やる素振りを見せながらも、熱心に守の乳首を吸う。単に吸うのではなくて、唇の内側も使って乳輪ごと吸いつくような濃厚なしゃぶり方だ。吸いながら舌は忙しく乳首を弾き、円を描く。  守は丁寧にしつこくクリをこすりながらエリの頭を撫でて、髪の感触を楽しんだ。 「麻美なんか手を抜いてればいいんだからね。本気を出すのは私の時だけでいいの。麻美なんかに体力使うのはもったいないわ」  エリは時折口を止めては守に命令する。 「そんなわけにも、いきませんよ」 「あいつなんか指でひょいひょいってやって、ひぃひぃ言わせてイカせてればいいのよ」  エリは本気でそう思ってそうな口ぶりだ。  わがままだなあと思いながら、クリをこするスピードを上げる。 「そう、そこっ。そこ、こすって。もっと」  エリの腰が少しずつ浮いてくる。  知りすぎるくらい知り尽くしているエリの体。そろそろ次に進もうかと守がショーツの中へ指を入れようとしたら、エリの叱責が飛んだ。 「まだよ、まだ。いつも限界まで焦らしなさいって言ってるでしょ」  今までと同じ愛撫だと納得しないみたいだ。  こうなったら、本気で責める。エリが泣いてお願いするまで焦らしてやる。  守はエリをベッドへ寝かせると、本格的な愛撫に取り掛かった。  首筋から始まり、肩、腕と今までエリにした一番丁寧な愛撫よりさらに時間をかけてエリを燃え上がらせていく。  唇、舌だけじゃなくて手、足と体中を使っての全身リップだ。高級ソープでもここまでやらないんじゃないかと思うほどじっくり、ねちっこく、濃厚な愛撫をしていく。  まさに逆ソープ状態。  エリの性感帯は全て分かっているので、まずは第一段階の感じ始め用のポイントを責める。始める前からかなり興奮していたエリは、これだけで全身がうずうずするはずだ。  その証拠に目をキュッとつむり眉間に皺を寄せている。唇が軽く開き、舌が出てきては唇を舐める。興奮しているので唇が乾くのだ。それに手はベッドの上をさまよい、軽くシーツを掴んでいる。体も微妙にくねっている。  守はエリが感じていることが分かってもペースを変えない。淡々と軽い愛撫を続ける。  二十分近く続けた。普通なら時間的にもエリの状態的にも次の段階へ進んでいるところだが、守は少し意地になっていた。今日はエリが今まで体験したことが無いほど焦らしてやる。 「もういいわ。次に進みなさい」 「これじゃあ麻美さんと同じですよ。もっとサービスしますから」  そう言うと、エリは黙ってしまった。  早く入れて欲しい気持ちより、麻美以上に特別扱いしてもらいたい気持ちの方が強いのだろう。  守はたんたんと愛撫する作業に戻る。  いつもなら1セットしかしない一連の愛撫を2セット、3セットと繰り返していく。  それにつれて、エリの動きはどんどん大きくなっていく。  普段のエリなら自分が感じてるのを隠そうとするが、今はその余裕がない様子だ。  腰がせわしなく上下に動き、手は休むことなくベッドの上をさまよいシーツを掴んだり守の髪をかき混ぜたりしている。  呼吸も荒いし、眉間の皺も深いし、鎖骨から上は赤く染まっている。特に目尻から耳にかけては真っ赤になっている。  完全に受け入れ準備ができている状態だ。  それでも守は愛撫をやめなかった。 「もう……、もう、いいから入れなさい」  エリが辛そうでイライラした感じで言った。  エリの我慢の限界が近い。後で怒られるかもしれない。そう思いながらも守は愛撫を続ける。  エリの感じるポイントを重点的に責める。  唇、舌、手、体と全身を使った全力の愛撫だ。今自分ができる最高のテクを全て出すつもりでエリを責める。 (もっとエリさんを感じさせる)  こんな天国みたいな生活が始まったのは全てエリのおかげだ。俺にできる恩返しはこれしかない。  愛撫を続けるうちに、だんだんそんな気持ちになってきた。 「もう、我慢できない。あうぅ……、入れて、お願い……」  ついに我慢の限界を超えたエリはそれだけ言うと後はうぅ、うぅと唸った。  エリが下手に出たお願い口調でしゃべることはめったにない。エリは本当に限界のようだ。  愛撫を始めて三十分以上たっている。もうエリは体のどこを触ってもビクビクっと体を震わせるまでたかぶっている。  股間はおしっこを漏らしてみたいにびしょびしょだ。垂れた愛液がシーツに染みを作っている。  守は今までこんなにじっくり愛撫をした事が無い。 「じゃあ、入れますよ」 「は、早く。早く、早く、早く入れてー」  エリがあせった声で答える。  守はペニスの位置を合わせて、一気に突き入れた。  かすかに引きつる感じがあるだけで、抵抗らしい抵抗も無くペニスは勢い良く吸い込まれた。 「うっ、うう……」  エリは全身を仰け反らせて、体をピクピク、ピクピクっと震わせた。もちろん膣壁も体の震えにあわせてペニスを締め付けてくる。  エリは分かりやすいくらいにイッている。  守はその感触を十分に味わいながら、ゆっくりと腰を動かした。 「イッ、てる……。イッ、てる、から……」  守はエリが休みたがってるのを分かっていたが、ペニスの先で膣壁をえぐるように動き続ける。  エリは軽くイッた後は、絶頂が落ち着くまで待って欲しがる。だけど、そこで時間を置いてしまうと、二回目の絶頂が普通の絶頂になってしまう。  一回イッた後にそのまま休まず続けると、最初は辛そうだが、快感がうねりになってエリを襲う状態になる。  そうなるともうイキっぱなしだ。  どうやっても耐えられないくらい感じる。それは守が射精するか、エリが気絶するまで続く。  守はエリをこの状態に持って行くつもりだった。  挿入前からエリの性感は極限まで上がっていたので、最初の絶頂が早かったし、これからもなかなか下がらないはずだ。  これでピストンし続けたら、すっごいことになりそうだった。 「今日はエリさんが好きなこと全部やってあげますから」  守は言葉どおりに実行した。正確にはエリが感じるやり方全部だ。  キスしながらのピストン。  腕ごと体を抱きしめて首筋から耳を舐めながらピストン。耳元で愛の言葉をささやくのを忘れない。特に耳の穴に舌を差し込むとエリは逃げようと暴れるが守の力強い手で押さえられて逃げられない。  両手をバンザイするように上げさせて、腋の下を舐めながらのピストン。刺激が強いのかエリは全身を激しくくねらせて悶える。  胸を責めながらのピストン。乳首を舐め、吸い、甘噛みしながらの責めは耳や腋と比べて受け入れやすいのか、分かりやすく大きく感じる。  脇腹を優しく撫でながらピストンすると、困ったような顔をしながら手から逃げようと体を左右にくねらせる。  守は他にも、細かいテクを出し惜しみせずに使う。  エリの両脚を抱えるのに、普通に膝の裏を持ったり、足首を持ってV字に大きく開いたり、ぴったり揃えて上に上げさせて目の前へ来る脚に口づけたり、太ももを押さえて体の横に付くくらい折り曲げたりと、責めが単調にならないように気を付けた。  突く角度とポイントもエリの状態に合わせて微妙に変化させる。エリがイッている時はわずかにポイントをずらし、絶頂が治まりかけたらスイートスポットをしつこくこする。  やりすぎだと後で怒られるかもしれないと思いながらも守はしつこく責め続けた。  相手の状態を細かく正確に把握できる守ならではの職人芸的な責めだった。  そうしてエリは守に何度もイカされた。  絶頂をコントロールされて、一度イクと絶頂状態をしばらくキープされる。息が苦しくなり、もうダメだと思い始めると、まるで休憩時間とばかりに少しだけ落ち着かされる。しかし、息が整いかけるとすぐにまたイカされてあえぎ声が出なくなるまで絶頂が続く。  それが何度も何度も続き、さすがにエリも音を上げた。このままでは気を失うどころか死んでしまう。そう思うくらいに大きくイキ続けている。 「もう、もういい。イッたから……。何回もイッたから」  体の奥から絞り出すような声だ。 「まだまだ大丈夫ですよ。本当にダメな時は失神するんですから」  守は腰の動きを止めずに答える。  ここでやめたら、エリの欲求を完全に解消できない。このままイカせ続けるんだ。守はなおも腰の動きを止めない。  必死に歯を食いしばって快感に耐える。  そして、エリの一番感じるところをしつこくこすり続ける。  膣に対して平行に出し入れするのではなくて、斜め下から突き上げる。抜く時は全部抜かずに、少し残した状態にする。また、入れるときも完全に根元まで入れるのではなくて、少し手前で止める。  ペニスの先で膣の前側の壁をこすりながら、根元のゴツゴツした部分で膣入口をゴリゴリ削るのだ。  これを何回か繰り返したら、ご褒美とばかりにストレートに子宮口を深く突き上げる。  昔から言われる九深一浅の応用だ。  こうすることで、ペニスで一番敏感な鈴口から縫い目にかけての刺激を最低限に押さえて射精を延ばしつつ、相手に大きな快感を与えることができる。  対麻美戦に備えてエリとした特訓で身に付けた腰の動かし方だ。 「けっこう長い時間我慢できるようになったでしょ。エリさんのおかげです」 「分かった……。分かったから……。無理……。もう、無理……」  エリの声は弱々しくなっていた。話すときにも目はかすかにしか開かず、しかもまぶたがフルフル震えている。  エリの中もヒクヒク震えていた。そして何秒かに一回、きゅうーんとペニスを締め付ける。  それは守を蕩けさせて、射精へ追い立てる。  腰がガクガクして、背中から頭へ何とも言えない甘酸っぱい快感が走り続けている。  気持ち良すぎて腰が止められない。いつまででも続けていたい。  でも残念なことに、歯を食いしばり、息を止め、全身に力を入れて我慢しても、もう長い間は耐えられそうにない。  腰の周りが溶けて力が入らない。  魂を揺さぶる言葉にできない気持ち良さだ。 (あぁ、ダメだ。出る……。出ちゃうー……。もっと、もっと、したいのに)  そして、いよいよ自分の限界が来たことを守は悟った。 「いきます。いきますよ」  エリは返事をする余裕もないのか、ただ体を震わせるだけだ。  守はきつくエリを抱きしめ、キスをした。  限界までペニスを奥まで突き入れる。そして亀頭の先で子宮口をグリグリ刺激してエリと自分を虐める。  亀頭から頭までピリピリした快感が連続して走る。それは、どうやってもこらえきれなかった。 (ダメだっ。出るっ) 「んおおおおおおぉーー」  守が叫ぶのと同時に熱い精液が塊となって噴き出した。  びゅくびゅくびゅくびゅくびゅくぅー、ぶびゅびゅびゅびゅるぅー……。  ここまで我慢に我慢を重ねただけに、その精液は極限まで煮詰められとても濃厚になっていた。  精液がペニスを通過するたびに、守は快感で体が震えてしまう。あまりの気持ち良さに脳が溶けてしまいそうだ。  びゅるっ、びゅるびゅるびゅるびゅる、びゅるるるるぅー……。  量も半端なかった。これで終わりかと思っても、次から次へと噴き出してくる。 (す、すごい……)  ぴゅるるるっ、ぴゅるぴゅるぴゅる、ぴゅくっ、ぴゅるっぴゅるっ……。 (出る。いっぱい出る。まだ出る。まだ……) 「んおっ……、おおっ……、んんっ……」  守は脈動の度にペニスを突き入れ少しでも奥で出そうとする。引き締まった腹筋がピクッピクッと動いた。  そして、永遠に続くかと思った長い射精がようやく終わった。  守は体中の力を精液と一緒に吐き出したみたいで、自分の体を支えることができなかった。  エリの上に崩れ落ちて、ハァハァと激しく息をした。  腰の周りが痺れて感覚が鈍い。これまでの最高記録を更新するような凄い射精だった。 (セックスってまだまだ上があるんだ……)  守は体に心地良い疲れを感じながら、ぼんやりと思った。  守の息が治まってきた頃、下でエリがもぞもぞ動いた。  トロトロと射精の余韻に包まれていた守はハッとした。 (おっ、いけない)  気が付くとエリに全体重をかけてしまっている。重いし、苦しいはずだ。  守は慌てて両手で自分の体重を支えた。  エリが目を開けて、ぎろりとにらんだ。  その目は、ようやく気が付いたのかと言っていた。いつもの鋭さは無いけど、守を恐縮させるに十分だった。  しばらくの沈黙の後、エリが口を開いた。 「こんなに感じたのは初めてかも」  守のことを見るでもなく、つぶやくようなしゃべり方だ。 「頭がおかしくなるかと思った……」  怒られるかもしれないと思っていた守は意外だった。  自分でもやりすぎかと思うくらい焦らしたし、一回イカせてからはイヤというほどイカせまくった。最後は自分の快楽優先で動いて、まさに犯しまくったという感じだった。  それだけに少し拍子抜けという感じだ。 (満足してくれたということかな)  終わりよければ全て良しとすることにした。  エリがだるそうに目を開けて言った。 「麻美にこんなのもったいない。分かってるわね。麻美には手を抜くのよ」  そうもいかないよな、と守は思った。 <第11章>  引越一週間で守は早くも疲れが溜まっていた。  まず朝六時に一人で起きてエリと麻美の昼食と夕食を作る。  昼食だけでも良いのだが、守が仕事から帰る時間には二人とも出勤しているので、夕食も作っておかないと二人、特にエリは何も食べないで仕事に行ってしまう。麻美の場合、胃が空の状態でお酒を飲むことになるので絶対体に良くない。  それで軽くて匂いの気にならない物を用意しておく。もし早く帰れたら、それを温めて出す。  二人の食事と同時に自分の朝食とお弁当を作る。おかずは二人の食事の残りを弁当箱に詰めるだけなので、あまり時間はかからない。  そして出勤。原付での通勤はすぐに慣れた。少しでも早いルートを探そうと毎日ちょっと違う道を通っている。  そして仕事。最近の不景気で残業はほとんど無い。給料は少なくなるけど、体が楽になるのは嬉しい。  仕事が終わったら急いで家に帰る。  帰ったらまずは簡単に掃除。片付けられない女性が二人も居るので一日で部屋が散らかってしまう。二人がそれぞれ一人暮らしをしていた時、エリの部屋は荒れ放題だったし、麻美はハウスキーパーを頼んでいたらしい。  食材が減ってたら近所のスーパーで買物。  その後で自分の夕食と二人の夜食を作り、一人で食事。エリと知り合うまで夕食は一人だったのに、今は一人でご飯を食べていると少し物悲しく感じてしまう。  それから急ぎの洗濯物があれば洗う。乾燥機付き洗濯機なので干す量が少ないのが救いだ。急がないものは週末に回してしまう。  最後に風呂掃除をしてお風呂に入る。貧乏性の守はお湯がもったいないのでシャワーで済ませることが多い。  これでようやく家事が終わる。時間は九時近い。  後は資格の勉強をちょっとだけやってから早めに寝る。できるだけ早く寝ないと睡眠不足で体が持たない。  守には自分のベッドが無いので、エリと麻美のどちらの部屋で寝るかをきっちり決められていてカレンダーに記入してある。  そして、束の間の休息の時。疲れているし、寝つきの良い守はすぐに深い眠りへと落ちる。  真夜中、ゴソゴソ音がして目が覚めかけるが知らん振りをしてそのまま寝る。ここで起きると二人に付き合わされてしまう。  明日も仕事だから無視を決め込む。  そしてまた寝ていると、部屋の主がベッドに潜り込んできて守に抱きついてきて起されてしまう。  夜中の三時や四時、酷い時には守が起きる直前だ。大抵酔っているので守の都合はお構い無しだ。  二人は当然の権利だと、守にエッチなことを仕掛けてくる。守としては、相手をしたくない。もっと寝ていたいけど、若い男の性で体が反応してしまう。  そしてなし崩しにセックスが始まる。手を抜くわけでは無いけど、できるだけ早く終わらせようと、弱点を重点的に責めて一気に感じさせる。最後は猛烈にピストンして中出ししてフィニッシュ。  これでまた眠れると、後戯もそこそこに終わらせて眠りに付く。  しかし、寝たと思ったら、すぐに目覚ましの音で起される。すぐに目覚ましの音を止めないと怒られてしまう。最初の数日で飛び起きる癖がついた。  一週間でこんな生活パターンができていた。  まず、睡眠が細切れなのが辛い。トータルで七時間くらい寝ているが、途中何度か起されるので熟睡できない。  それから毎日のセックスも辛い。寝ているところを襲われるので、性欲も何もあったものじゃない。月曜の夜から、早くも重荷に感じるようになった。  守はまだ体がなれないこともあって、少しやつれ始めていた。  そして金曜日の夜。  守のイメージだと、夜の職業の人は金曜の夜が一番忙しいはずだ。朝まで寝かせてくれたら嬉しいと思いながら眠りに付いた。  しかし、守の希望もむなしく、夜中に叩き起された。眠りが一番深いところだったので、全然頭が動かない。  目をこすりながら時計を見ると午前三時だった。  守の側にはシャワーを終えて臨戦態勢の二人が居た。 (なんで二人?)  今日はエリのベッドで寝たはずなのに、なぜか麻美まで居る。  寝ぼけた頭で考えると、そういえば、一番最初にエリと麻美が話したときに金土日は二人一緒とかそんな話をしていた気がする。  エリはブラとショーツの下着姿。麻美はノーブラでキャミソールにショーツ。普通の状態なら鼻血が出そうなほど興奮する格好だけど、まだ寝ぼけている守には、性欲どころの話ではない。 「金曜は三人でやる日でしょ。いつまで寝てるの。早く起きなさいよ」  エリの口調には少しとげがある。 「待ってるかと思って急いで帰ってきたら、ぐーすか寝てるし」  そんなことなら、事前に言っといてよと守は思ったが、言うと怒られるので黙っている。  エリに比べて麻美は興奮して仕方が無いという感じだ。 「早く守君に会いたくて、アフターしないで帰ってきちゃった」  今にも飛び掛ってきそうだ。 「いつもお世話になってるから今日はいっぱいサービスするから」  守の両側にエリと麻美が陣取っている。 「何ぐずぐずしてるの、ほら、早く脱ぎなさい」 「脱いで、脱いで」  守はまだ目が覚めきらないのに、二人がかりで脱がされてしまう。 「あん、待ちきれない」  麻美が守へのしかかるようにしてキスしてきた。 「んっ、んぷっ、んむ、んんん……」 「何、抜け駆けしてんのよ」  麻美はエリの言葉もお構い無しに、守の唇をこじ開け舌で口の中をかき回す。その上、飲んで、飲んでとばかりにお酒の味のする唾液を垂らしこんできた。 「んぐ、んぐぅ、んむむむぅ」  守の口からうめき声が漏れる。 「代わりなさいよ」  エリが無理矢理麻美を引き剥がし、代わりに自分がキスをした。  怒ってるくせに、そんなことを感じさせない熱烈なキスだ。麻美と比べて勝るとも劣らない。  どかされた麻美は仕方なく守の胸へキスしながらペニスをまさぐる。  熱心に乳首をチュパチュパ吸い、舌でつつきまわす。まるで遊んでいるかのようなやり方だ。  ひとしきりキスをして満足したエリは乳首へ移動した。  両方の乳首を舐められながら、股間には二人の手が這い回っている。  これには守はまいってしまった。  そもそも守は人を感じさせるのが得意なのであって、自分が責められるのはまだまだこらえ性が無い。  さっきまで寝ぼけていた頭へ、今はピンクの快感が押し寄せている。  片方は男前系美人で無愛想だけど実は愛情が深いプロのエリ、片方はお水系美人で他人には気位が高いのに守にはデレデレになっている麻美。  視覚的にも大興奮だ。  それに二人の微妙に違うおっぱいが押し付けられていて、当たっているところがとても気持ち良い。  エリの胸は大きくて張りがあり、弾力感が凄い。麻美の胸は蕩けるように柔らかい。守はこの二人以外の胸を触ったことが無いけど、絶対に極上の部類に入ると確信している。  おまけに守の両足はエリと麻美の脚に挟まれている。女性の体は触れているだけで気持ち良くなってくる。  もう全身が包まれているような気持ちになってくる。  エリと麻美は時折乳首から口を離し、頭のほうへやってきて耳に熱い息を吐きかけて、耳たぶを甘噛みして、しゃぶっていく。  すると全身に鳥肌が立つようなゾクゾク感が這い回る。大声で叫びながら暴れたくなる、どうやって我慢したら良いか分からない、何とも言えない感覚だ。  両耳を同時にしゃぶられたら、ピチャピチャという音がステレオで聞こえて、もう訳が分からなくなってしまう。 「あっ、あっ、あっ、ああああぁ、はぁ、あぉ、お、お、おおおお……」  守がもう本当の限界に来て、二人を突き飛ばして逃げようかと思い始めた頃、ようやく二人の愛撫が止まった。  これで終わりかと守が安堵したのも束の間、今度は二人がかりでのフェラが始まった。  エリと麻美がその綺麗な顔を股間へ寄せて舌を伸ばしている。  舌を細長く伸ばして、舌先でくすぐるようにチロチロ舐める。  ここまでで十分すぎるくらいたかぶっている。それなのに、二人は守を虐めるのが楽しいのか、望むように動いてくれない。  じれったくて、もどかしくて頭がおかしくなりそうだった。  普段は仲が悪いくせにこの時だけは協力して守が悶えるのを楽しんでいる。  普段守が一方的に責めている復讐というかお礼をするつもりなのだ。  エリと麻美は反対側を舐めていても時々舌が当たる。 「ちょっとは遠慮しなさいよ」とエリが言えば、 「私のほうが愛情があるもの」と麻美が返す。 「あんたのは単なる性欲でしょ」  それにエリがまた言い返す。  二人は口で争いながらも守を焦らし簡単には射精させない一点だけは意見が合っている。  それに二人は舌だけで責めているのではない。  胸を守の太ももに押し付けて柔らかい感触を与え、コリコリした乳首を隠し味にする。  空いた手でタマを転がしたり、胸元から脇腹にかけてツツツーッと撫でたりする。  その絶妙な手さばきに守は声を抑えるのに必死だ。  乳首を舐めながらの手コキとは快感の種類が違う。  さっきまでの快感がおだやかな快感をむりやり強くした感じだとすると、今やられているのは本来もっと激しい快感なのをわざとレベルを落としている感じがする。  例えるなら、軽自動車でアクセルを目一杯踏んでるのと、スポーツカーで制限速度を守って軽く流しているような違いだろうか。  もどかしいのにもほどがある。  我慢強い守の限界が近づいてきた頃、守の片脚に跨っていた麻美が体の向きを入れ替え、守へお尻を向けてきた。  それだけで守はすぐに分かった。 (麻美さんが欲しがってる)  胸を押し付け、股間を足首でこすっているうちに我慢できなくなってきたのだ。  守はすぐに手を伸ばし、ショーツをめくり小振りなお尻をむき出しにした。  麻美の股間へそっと手を伸ばすと、そこはもう潤いを滲ませていた。 (すっごく感じてる……)  初めて相手をしたときと比べて麻美は明らかに感じやすくなっている。  自分が麻美を変えたんだ。そう思うと自信が湧いてくる。と同時に、麻美をいとしく思い、気持ち良くしてやる使命感も湧いてくる。  中指をゆっくり沈めると、クチュッと音がした気がした。 「あっ……、ん、んぅ……」  麻美の口からかすかな声が漏れた。  エリはその声を聞き逃さなかった。すぐに現状を把握すると、守へお尻を向けた。  守はエリのショーツもずり降ろし、手を伸ばした。  エリのそこも麻美に負けず劣らず濡れていた。  気が強いエリらしく、こんなに濡れても黙って我慢していたのだ。  そんな所がいじらしく、思わず守の頬が緩んでしまった。  エリの中にも中指をあせらずゆっくりと入れていった。 「んっ……、くっ……」  麻美より小さな、吐息にも似た声だ。  声まで我慢しなくてもいいのにと守は思う。  右手で麻美、左手でエリの中を探る。  麻美は回数は少ないとはいえ、これまで数回じっくり探っただけに感じる所はほとんど分かっている。  エリにいたっては本人よりも守の方が詳しいくらいだ。  フェラの刺激に耐えながら、気をまぎらわすべく指先の感覚に集中した。  二人の中は微妙に違う。  別々に相手をすると何となくしか分からなかったが、同時に比べてみるとはっきりと分かる。  麻美の方が全体的に狭い。特に入口は全然違う。きついほど締まる。麻美のほうが体が小さいのと関係あるのかもしれない。  それと比べて、エリのほうは柔らかく温度が高い。濡れ具合もエリのほうが上だ。指にまとわり付いてくる感じだ。  他にも色々違う。深さも違うし、体の表側奥のザラザラの位置も違う。内部のデコボコの具合もちょっと違う。  守は女性の体の不思議を感慨深く思いながら、二人の体を探検した。 (エリさんの好きなところはココだ。麻美さんはココ。それにエリさんは最近、ココも感じるようになってきた。となると、麻美さんのココはどうなんだろう……)  いくら探検しても飽きることが無い。女性の体はそんなに簡単なものではなかった。  それに指で探るだけでも二人が反応してくれるのが嬉しい。  顔が見えないので、情報量は限られてしまうが、お尻側から見ているだけでもかなりのことが分かる。  逃げるようにお尻を引いた時は感じすぎた時、逆にお尻を突き出してきた時はもっとして欲しい時。  お尻を揺らしたら感じるポイントから少しずれているか、もっと強くして欲しい時。  本人の気持ちと快感がジャストフィットした時は、背中を反らせ気味にして体を細かく震わせて快感を貪るのに集中する。  他にも二人は色々なサインを送ってくる。守はそれをすべて注意深く受け取り、指先で答えていく。  守の対人センサーは相手が二人でも十分働いた。  虐められる時相手が一人とは限らない。相手がたくさん居ても、全体の空気を読み、一人々々の感情を推察することが出来るのは守が生きていく上で身に付けた自己防衛の手段だ。  守が二人を感じさせることに集中していると、二人の舌の動きはどんどん鈍くなり、ついにはほとんど止まってしまった。  エリは肩をがっくり落とし、両腕の中に顔を沈め懸命に耐えている。  麻美は守の太ももの上に顔を横に乗せ、お尻だけを突き出す格好になっている。 「だ、だめ……。今日、今日は、私が、するの……。できない、そんなにされたら、できなくなっちゃう」  麻美が泣きそうな声で言った。  麻美は守の体を手で掴み快感に耐えながら、それでも自分の使命を思い出し、舌をペニスへ伸ばす。しかし、その動きはどんどん間隔が開いていき、最後は完全に止まってしまう。  エリのほうも守の攻撃に防戦一方だった。  エリは左手で責められているので利き手じゃないだけ麻美より有利だったが、反面守に体の隅々まで知られている。  今も守にどうやっても我慢できない感じるところを執拗にこすられている。  それでもエリは必死に声を抑えていた。  いつもいつも守にいいように感じさせられ今日こそはと思っていたのに、麻美につられて自分もお尻を差し出したことを早くも後悔していた。  最初守と会ったとき、良い暇つぶしを見つけたと思った。  育てたら良い相手になると思っていた。  自分で言うのもなんだが、自分はけっこう良い体をしている。この体なら守は自分から離れられないはずだ。仕事でたまるストレスを守で解消する予定だった。  それがこれほどまでの女殺しになるとは想像もしていなかった。今では自分のほうが守から離れられない体になってしまっている。  悔しいけど、幸せでもある。  フゥー、ンフゥー、フー、フー……。鼻息が激しくなるのまでは抑えきれなかった。 「今日はどちらが先なんですか? 決まってないなら、イクのを我慢した人から入れることにしましょうか」  守がごく普通の口調で言った。  守としては特に深い意味はなかった。  どちらを先にするかでケンカになっても困るので、思い付きで言っただけだ。  この守の何気ない一言で空気が変わった。  敏感な守はすぐにそれを察知した。そして自分がまずい事を言ってしまったことに気が付いた。エリと麻美の二人の競争をあおることになったのだ。  こうなるとエリと麻美は簡単にイクことができなくなった。  負けん気が強いエリはともかく、麻美としても体が限界まで発情していて、エリの後回しにされるのは到底見過ごせない。  エリの後回しになるということは、エリが絶頂を向かえ、守が射精して、それから、また守を立たせて、それでやっと自分の番になる。今の体の状態ではそんな悠長なことはしてられない。今すぐにでも入れて欲しいくらいなのだ。 (後なんてイヤ、絶対我慢する)  麻美は自分の手の平に爪を食い込ませ、下唇を強く噛んで快感に耐えた。  エリとしても勝負ごとで人に負けるのは絶対に嫌だった。  勉強以外のことで人に負けるのは我慢できない。特に相手が麻美となると何が何でも負けるわけにはいかない。 (麻美より先にイカない。麻美には勝ってみせる。それで麻美の目の前で守のおちんちんを入れて、くやしがらせてやる)  エリはシーツをきつく掴み、頭をベッドへこすり付けて守の指に耐える。  守は困ったことになったと思っていた。  二人はさっきの一言でかなりむきになっている。体に力が入り、後ろから見ても二人が意地になっているのが見て取れる。 (こうなったら本気を出さないと二人ともイカないだろうなぁ)  守はそれまでの探検モードから本気モードへと攻撃を切り替えた。  全力で二人の弱点を責める。  エリは左手でやっているのでちょっと難しいが、まず背中側を指の腹で何度も奥から入口にかけてをゆっくりめに撫でる。その時、指を少し曲げて第二関節でお腹側を絶妙な加減で刺激するのを忘れない。そしてある程度ストレスが溜まったところで指を反対向きにして、お腹側奥の少し手前のザラザラの部分を強めの早めでこする。こうすると、エリは声が我慢できないくらい感じる。ある程度感じたところで、また背中側をこするのに戻る。  麻美も基本はエリと同じだけど、入口付近にも感じるポイントがあるので、第二関節でそこをグリグリ刺激しながら背中側を撫でる。そして、中がザワザワし始めたら指の向きを変えて、ザラザラをこする。ザラザラの感じるポイントもエリとは微妙に違うので、微調整が必要だ。そこを押すように刺激すると体を震わせて感じまくる。そして、また背中側に戻る。  この守の責めでエリと麻美は一気に絶頂寸前まで追い上げられた。 「ま、待って、待って。待ちなさい。ゆっくり、もっとゆっくり」 「ダメダメダメ、そこはダメなの、イヤイヤイヤイヤ、イッちゃう、イッちゃうからぁ……」  もう二人の上半身は崩れ落ちていて、お尻だけを高く上げている状態だ。  そこを守の両手が手加減無しで責めている。  こうなった以上は二人同時にイカせるしないと守は考えていた。  そのため二人の様子を注意深く観察しながら、指を使う。  エリの方は付き合い始めて何ヶ月もたつのでイク寸前の様子やタイミングが良く分かるが、麻美のほうはそこまで分からない。その分、より注意が必要になってくる。  二人の感じ度合いを合わせながら、70%、80%、90%とレベルを上げていく。 「んあああぁ、待って、守、待ちなさい、ん、ん、ん、んふぅ、はぁ、あぁ、あぁ、あ……」 「いやぁー、だめぇー、そこ、だめぇー、あはぁー、あっ、あっ、あっ、あっ、んんんんぅー……」  二人の声がどんどん大きくなり、切羽詰ってくる。  守もそれに合わせて、指の動きを激しくして二人をさらに追い込んでいく。  エリも麻美もイク気はなかったが、守の巧みな指使いに快感を抑えることができない。  守の指が一番感じるところをこれでもかと、しつこく刺激してくる。体中が震えて、ビリビリ痺れる。頭の中にもやがかかったみたいで、思考力を奪われている。もう、守の指のことしか考えられない。  いつまでもこの快感を味わっていたい気持ちと早く終わって楽になりたい気持ち、もっと凄い快感を味わってみたい気持ちが入り混じる。  そうすると、もう全てのことがどうでもよくなってくる。 (そこ、そこ。そこをこすって。もっと、もっと……) (もうちょっと、もうちょっとだから)  それでイクと思った瞬間、指がポイントからすっと離れる。 (あ、あぁ……)  絶頂へ駆け上る途中ではしごを外された形になり、イクにイケない。体が半分イッている状態で投げ出される。どうして良いか分からない。  守としては片方だけが先にイカないように調節しただけで、別に意地悪するつもりは無い。  それはエリや麻美には分からない。  いくら守でも二人の女性の絶頂のタイミングを指だけで合わせるのは難しい。  快感には波がある。大きくなったり小さくなったりを繰り返しながら、だんだん大きくなっていく。その快感の周期を短くしながら、絶頂へ近づけていく。  二人が絶頂寸前まで上げられては落とされることが何度か繰り返され、気が狂わんばかりになった頃、ようやく待ちに待った瞬間が訪れた。  二人の快感の波長が揃い、ほぼ同時に絶頂へ向かった。 「う、う、うううう……、す、すごい、あぅ、あ、あ、あ、あ、ああああぁ……」 「イク、イクイクイク、イッちゃう、い、くううううぅー……」  守の指がキュッキュッキューと締め付けられる。 「んんんんぅー……」  エリが肺から空気を絞り出すような声を出しながら絶頂に達した。 「あんぅーー……」  それとほぼ同時に麻美もこれ以上は無いというほど色っぽい声を出しながらイッた。  二人の体がブルブル、ビクンビクンと震えた。  そして、ドサッ、ドサッと続けて二人の腰がベッドへ落ちた。  自然と守の指が抜けた。  守はお風呂の後のようにふやけた指を見ながら満足感に浸った。 「それじゃあ私が先ね」  絶頂の後、しばらく余韻に浸っていた麻美がのっそりと体を起して守へ跨ろうとした。 「何言ってんのよ、あんたが先にイッたんでしょ。私が先よ」  エリが麻美を押しのけ自分が跨ろうとする。 「守君、エリが先にイッたでしょ。だから私からよね」 「私からでしょ、守」  こんなことになるのが嫌だからがんばって二人同時にイカせたのに意味無いじゃないかと守は苦笑した。 「あのー、二人ともほとんど同時でした」 「でも、でも、エリの方が少しだけ早かったでしょ。だから私からでお願い」 「私が先にイク訳ないじゃない。はやくそこをどきなさいよ」  こうなったら収拾が付かない。もう最後の手段だ。 「三人で一緒にやりましょうか」  守が二人の機嫌を伺いながら、恐る々々きいてみた。 「守が言うんなら仕方ないわね。こんな女と一緒なのは嫌だけど」 「一緒でいいから早くして」  守が拍子抜けするほどあっさりエリと麻美は了承した。  それからの二人の動きは早かった。 「エリのほうが重いんだから下になってよ」 「ちっ、今度だけよ」  エリがベッドの端で仰向けになると、麻美がエリの太ももをかかえて抱き合うようにその上へ重なった。 「えっ、あっ」  二人に横に並んでもらおうと思っていた守は二人の体勢を見て戸惑ってしまう。  横になるのがダメだったら、自分が仰向けになって、一人は騎乗位でもう一人は顔面騎乗位のクンニで我慢してもらおうと思っていた。  二人が抱き合い上下に重なるとは考えてもいなかった。 「早くしなさいよ。こんな奴と抱き合うなんて嫌なんだから」 「こうしないと、二人の間を行き来するのが難しいでしょ」  確かに二人が並んでるより、この方が移動の時間を短くできる。だからと言って女性二人が抱き合うなんてと守は思う。  ベッドの端に二人のお尻とオマンコが並んでいる。それに二人の乳房がお互いに押し合い潰し合い横にはみ出して、とてもいやらしい。  守は二人の姿から目を離せない。 「重いんだから早くっ」 「来て、我慢できない」  守はフラフラと近寄り、上になっている麻美の腰に手を掛けた。そして、ゆっくりと麻美の中へ入っていった。 「はあん、私から……。嬉しい。感じちゃう」  守としては入れやすい高さの麻美からにしただけだが、エリにとっては面白くない。  ちっ、とエリが舌打ちをした。 「麻美なんか、ほっといてこっちに来なさい」 「ダメ、守君、抜いちゃダメ、もっと、もっといっぱいして、お願い」  麻美が逃すまいときゅうっとペニスを締めつける。 「あぅっうぅー……」  これまでで守の興奮度もかなりのものになっている。女性同士が抱き合い、そこへ自分が挿入するという異常な事態に守の理性は崩壊寸前だった。  麻美に軽く締められただけで射精しそうになってしまう。  気を取り直して快感に耐える。  ゆっくり数回往復してから引き抜く。 「あぁーん、ダメェ、もっとぉー」  麻美が甘えた声で抗議するが、麻美ばかり相手をするわけにはいかない。  にゅぷにゅぷとエリの中へ入っていく。 「あん、そう、私の方が良いでしょ」  エリも麻美と同じように締めてくる。それに麻美の体重が掛かっているせいか、いつもより締りが良く感じる。  そこから先のことを守はあまり覚えていない。  理性がプツンと切れてしまったようで、もうひたすら腰を動かした。 「あん、あん、あん、あん、激しい、あん、強い、強い、あん、強いよ、あん、あん……」 「守、大丈夫? いつもの守と違う」  エリと麻美が何を言おうが、ひたすら二人の弱点目掛けて腰を突き出した。  それはまるでボクシング漫画で登場人物が意識を半ば失いながらも相手の急所目掛けて手を出し続けるようだった。  一回目の射精は早かった。  最初焦らしに焦らされ、その後二人の絶頂を目の当たりにして、次は交互挿入と言う普通の男なら一生体験しない異常事態だ。我慢しなさいというほうが無理だ。  最後の瞬間ペニスを引き抜くと、麻美の背中に大量の精液をぶちまけた。  それは今までで最高記録の量で、勢いも凄かった。背中どころか麻美の髪にもべったり掛かり、さらに麻美を飛び越してベッドまで飛んだ。  それに一回出してもほとんど萎えない。  すぐにまた挿入した。  射精してすぐのペニスをがむしゃらにうごかすと、脳が痺れるほど気持ち良い。快感が強すぎて体がどうにかなりそうだった。膝がガクガク震える。  それでも麻美の腰を跡が残るくらいがっしり掴み、ひたすら腰を動かし続けた。  仕事で体を使うことが多い守はそれなりに体力がある。  その守が全力でセックスをすると、エリと麻美の二人はたまらない。  ただでさえ指で一回イカされ、その波が引ききらない内に挿入されている。  それで今までに体験したことの無い荒々しさで責められる。しかも、単に乱暴なのではなくて、一番弱い所を集中的に力任せに責めてくる。  それは二人にとって初めての経験だった。 「強い、強い、強いよー、待って、待って、ちょっと待って、んくぅー……」 「守、ゆっくり、もっと、ゆっくり、落ち着いて、ねえ、落ち着きなさいったら」  それでも守の勢いは止まらない。 「おおおおおぉーーー」  低い声で唸りながら腰を突き上げる。 「ダメダメダメダメェー、んぐぅー……」  耐えられず、麻美が先に絶頂に達する。  ヒクヒク、キュッキュッキューと麻美の中が締まるが守はそれでも動きを止めない。 「イッてる、イッてるから、待って、待って、待って、休ませて、ダメェー、あ、あ、あ、あ、また、んんんんぅー」  そのまま続けて麻美はイカされ続けた。  そして、最後には力尽きてダウンしてしまう。  すると守はターゲットをエリに変更して全力の攻撃に移る。  ひたすらエリの弱点目掛けて腰を打ちつける。 「分かったから、落ち着きなさいって」  何が分かったのか分からないけど、エリはそう言うしかなかった。  麻美の体にしがみ付いて嵐のような守の動きに耐える。  エリも麻美と同じように、数分後には絶頂へ放り投げなれた。  自然とエリの中が締まり守を責めるが、守の動きは治まらない。激しくて、それでいて的確な突きがエリを襲う。  それでエリは絶頂から降りられなくなる。守にイカされ続ける。  イキ続けて全身が性感帯のようになっている。麻美の体が触れているところでさえ感じてしまう。  体中がビックン、ビックンと震えている。頭の中は本当に真っ白になっている。意識を持っていかれそうだ。 「もう、もういい、もういいから、あんぅー……」  エリは本当に限界だった。  上に麻美が乗っているので苦しくて息が満足にできない。  壊れる。壊れちゃう……。その考えが頭をよぎった時、ようやく終わる時が来た。 「お、お、お、おっ、んんんん、んぅー」  守が動きを止めて、ペニスを目いっぱい押し込んできた。それと同時に熱い物が体の奥に広がるのを感じた。 (終わった……)  こんな守もたまにはイイかもしれない。エリは目をつむったまま、疲れた体で思った。  その後、自分を取り戻した守はかわいそうなほど恐縮して平身低頭エリと麻美に謝り続けた。  エリと麻美は全然怒ってなかったが、これでまた守で遊べるとほくそえんだ。 <第12章>  十二月二十四日。  今日麻美はどうしても店を休むことができなかった。バレンタイン、誕生日と並んで一年で最も重要なイベントだ。  しかも、お客へのプレゼントの準備があるのでいつもより早く店へ行かなければいけない。昼前に起きて、お昼ご飯を食べた後、守へ熱烈なキスをしてから泣く々々仕事へ行った。  一方エリは守と付き合いだして、すぐに休みを入れたので今日と明日は休みだ。昨夜は帰りが遅く明け方だったので、まだ寝ている。  守はというと、二十三日の天皇誕生日から年明け三日まで十二連休だ。不景気で主要取引先が減産していて仕事が無いので社長が休みにしてくれた。  それで守は朝からクリスマスパーティ用の料理を準備していた。  生まれて初めてのケーキ作りに挑戦している。  スポンジだけは昨日のうちにケーキ屋で買ってきてある。  そのスポンジにブランデーをたっぷり染み込ませる。ブランデーは麻美が店からキープが切れたのを持って帰った物だ。  麻美は帰りが遅くなるので、パーティを二回するつもりでケーキを二個用意しないといけない。  チョコレートクリームは二種類用意する。辛党のエリ用は甘さ控えめで、甘い物が好きな麻美には甘さ強めだ。  二つ用意してあるスポンジにそれぞれ塗りつける。  あまり綺麗じゃないが、なんとか完成させたら冷蔵庫で冷やす。  それからオードブルの用意。各種チーズ、生ハム、クラッカーにキャビアなど簡単につまめる物をたくさん作る。  お酒はハーフボトルのシャンパンを二本買ってある。  あとは予約済みのフライドチキンを取りに行って、ピザを焼くだけだ。  夕方、守が準備万端整えてエリが起きるのを待っていると、ようやくエリが起きてきた。  寝巻き代わりのキャミソールにショーツの下着姿で髪はボサボサだし、かなりだらしない。 「お、は、よー……」  完全に寝起きの顔に寝起きの声だ。目が半分ふさがっているうえ、まぶたがはれぼったい。さらに、ここ数日連夜の飲みのせいで声がガラガラになっている。 「おはようございます。辛そうですね。シャワーでも浴びてきてください」 「うん、そうするわ」  エリは脚を引きずりながら浴室へ向かった。  すっきりしてエリが少し元気になったところで二人だけのパーティが始まった。 「エリさん、プレゼントです」  守は小さな箱を取り出し、エリへ渡した。  プレゼント交換などしたことのない守はタイミングが分からなかった。酔う前に渡したほうが良いと思って一番先に渡したのだ。 「開けていい?」 「どうぞ」  エリが開けると中には銀色の金属でできたワインボトル型の携帯ストラップが入っていた。 「どうしたのこれ?」 「工場で余った材料を削って作りました。エリさんは、いくら言っても飲みすぎるので、これを見たら飲み過ぎないようにしてください。このままじゃ、いつか体を壊しますよ」  あまりお酒を飲まない守は本当に心配だった。 「あ……、ありがと……」  意外なプレゼントにエリは少し照れてしまう。  そんなエリを見て、初めてのプレゼントにしてはうまくいったと守はホッとすると同時に、少し嬉しく誇らしい気分だ。 「材料費はタダだし、ちょっと俺の腕を見てもらおうかな、なんて考えました。麻美さんとケンカしたらいけないので、二人とも同じものです」  エリは守の心のこもったプレゼントに熱い物がこみあげてきた。守に悟られないように、想いをぐっと飲み込む。  顔が崩れるのを押さえながら、早速もらったストラップを携帯へ取り付けた。  エリがまんざらでも無い様子なので守は安心しながら、エリの言葉を待った。  エリはストラップを眺めているだけで、動こうとしない。  守は痺れを切らした。 「えー、それで……」  エリからのプレゼントはなんだろう。エリも自分みたいにプレゼントは悩んだのかなとワクワクする。  期待しすぎてはいけないと思っていても、どうしても、色々想像してしまう。  守の想像とはうらはらにエリはしまったという顔をした。そして、すぐにまずいという顔に変わる。 「あっ、ごめん。最近忙しかったから守のプレゼント忘れてた」  とたんに守の顔色が変わる。 (そっか、そうだよな。そりゃそうだよ。何をうぬぼれてるんだよ……)  守の顔から楽しそうな表情が消え、むりやり作ったぎこちない笑い顔へ変わる。 「嘘、嘘、嘘、ちゃんと用意してあるから。冗談よ。少しは突っ込みなさいよ。そんな反応されたら、こっちが驚くわよ」  そう言いながらエリは隠し持っていた箱を守へ差し出した。 「開けてみなよ」  開けるとそこにはブランド物の財布が入っていた。高価な物は喜ばない守の性格を考えて、エリが考えたプレゼントだった。 (財布だっ)  守の財布は高校の時から使っているもので、かなりボロボロだった。人前で出すには少し恥ずかしい。  近いうちに買い換えないといけないと考えていた。自分一人ならまだしも、エリや麻美と一緒の時にこの財布を出すのは二人に恥をかかせそうな気がしていた。  ちゃんと自分のことを見ていてくれたと思い、守はうるっとなってしまう。  これほど嬉しいプレゼントは生まれて初めてかもしれない。 「ありがとうございます。大切にしますね」  守は本当に幸せそうな顔をして礼を言った。 「お腹もすいてきたし、食べようか」  暗くは無いがしんみりした微妙な雰囲気になってしまったので、空気を変えようとエリが言った。 「じゃあ、シャンパン開けますね」 「あー、あたしが開けるっ」  そう言い、エリが手馴れた手付きでシャンパンの蓋を開ける。  今まで開けたことのなかった守は楽しみにしていたことを横取りされて少しだけ悲しくなる。  しかし、守は顔に出さないし、エリは気付かない。 「じゃあ、乾杯しよっか」 「はい」  二人で乾杯してチンとグラスを鳴らす。  今まで母を除いて女性と二人でクリスマスを過ごしたことのない守は感慨深い気持ちになる。  エリと出会ってまだ四ヶ月。その間に生活は激変した。童貞を卒業して、麻美とも出会い、三人で同棲を始めてと普通の人の何倍もの経験をした気がする。  守が物思いにふけっているとエリが声を掛けてきた。 「何、暗くなってんの。クリスマスなんだから楽しまなきゃ」  エリは高いものから食べなきゃと思っているのか、キャビアに手を伸ばしている。 「そうですよね。食べましょう」 「私は飲むほうが良いけどね。今度は苺を買っといて。シャンパンには苺って決まってるから」 「そうなんですか。覚えときますよ」  守はエリがパクつくのを微笑ましく見ながら、自分の作ったものをちょこちょこつまんで味を確かめる。 (問題ないな。ちゃんとできてる)  守は麻美が帰ってからの二回目のパーティの事を考え、食べるのを控えめにしていた。  シャンパンをあっという間に飲み干し、二本目のワインも残り少なくなってきた。  守の手作りケーキも全部無くなっている。  エリも満足してくれたかなと、守は少しホッとしていた。  パーティの感覚が分からない守は、楽しい反面緊張している部分もあった。これなら麻美が帰ってからも大丈夫だろう。  さあ頑張って片付けるかと守が腕まくりをしていると、エリが言った。 「さあ、食べる物も食べたし、早速やるわよ」 「何をですか」  片づけを手伝ってくれるのかと守は期待する。珍しいこともあるな、クリスマスはいつもと違うんだと、改めて思う。 「麻美の居ない内にヤリだめしとくの」  そう言いながらエリはさっさとキャミソールを脱いでショーツ一枚になってしまう。 (やっぱり、そっちか……)  クリスマスくらいは、厳粛な雰囲気になってエッチは無しかもしれないと淡い期待を抱いていた守は肩を落とした。  守はがっくりしている間に、エリに脱がされあっという間に全裸にされてしまう。  そして、早速エリのフェラが始まった。 「初めての頃に比べたら守もだいぶん我慢が出来るようになったわね」  守のペニスをさんざんもてあそんだエリがいったん口を離す。  毎日やられていたら、いやでもそうなるよと守は心の中で一人つぶやく。 「でも、今日はここからが本番よ。もう一つプレゼントがあるの」  なんだろうと守は思う。想像がつかない。 「四つん這いになって、お尻をこっちに向けて」  エリの考えは分からないが、とりあえず言われた通りの体勢になる。  エリの両手が守のお尻に触れた。 「えっ」  守が考える間もなく、お尻の肉をがばっと開かれ、ヌルッとしたものがお尻の中心に触れた。 「うわあああぁっ」  守は思わず大きな声を出してしまう。反射的に腰を引いて逃げようとする。 「逃げないの」  エリが腰を掴んで自分の方へ引き寄せる。そして、守のアナルをレロレロ、チロチロと舐め始める。 「う、う、うぁ、あ、あ、あ、あっ、あっ、ああああ……」  アナル舐めだ。守は前にもやられたことがある。  くすぐったくて、気持ち良くて、何て言って良いのか分からない。とにかく、いけない気持ちになる。  エリの尖った舌がお尻の穴を中心に何度も何度も往復する。守のお尻の穴はすぐに唾でヌトヌトにされてしまう。  エリの攻撃は中心部だけにとどまらない。タマに掛けてのラインやお尻全体にも唇と舌が這い回る。 「あっ……、うっ……、ううううぅ……、いいです。もう、いいですから」 「いいんなら、もっとやってあげる」 「いや、そうじゃなくて、終わってくださ……、おおおおおぉー……」  守が言い終わらないうちに、舌の先が穴の中に潜り込んできた。  守は今まで体験したことの無い感覚に悲鳴をあげる。  アナルの内側を舐め回される感覚は言葉に表わしにくい。お尻の穴を舐められる感覚を何倍も強くして、生々しくした感じだ。体の内側から舐められてる気がする。 「あ、あ、あ、あああ……、うっ、うっ、んんんんー、んふぅー、んふぅ……」  守はシーツをガリガリ引っ掻く。とにかく、何かしていないと耐えられない。頭がおかしくなりそうだ。  大声で叫びたいのを、理性で押しとどめている状態。その理性も長くはもちそうに無い。  あまりに異質な感覚に、ペニスはだんだんしおれてくる。  いちはやく察知したエリがペニスへ手を伸ばす。  アナル舐めを続けながら、ペニスをゆるゆるとしごく。 「ダメ。エリさん、それ、ダメです」 「いいでしょ。たまんないでしょ。でも、もう少し我慢して、もっと凄いのしてあげるから」 「無理っ、もう、無理ですから」 「男の子でしょ。我慢しなさい」  そう言われても辛いものは辛いし、我慢できないものは我慢できない。  アナルを我慢しようとすればペニスが辛いし、ペニスを我慢しようとするとアナルが辛い。二ヵ所同時に我慢なんてできない。  初めての経験に守は我慢の仕方が分からない。  甘美だけど辛い時間が続く。  守がギブアップしそうになった時、エリが言った。 「これがほんとのクリスマスプレゼントだから。今日だけ特別にやってあげる」  そして、何かが守のお尻の穴に入ってきた。 「うわああああぁ、おおおおぉー」 (何? 何? 何? 何だ。まさか、指?)  十分すぎるくらい舌でほぐされた守のアナルはエリの中指を難なく飲み込んでいく。 「うわぁっ、あっ、あっ、あっ、あ……」  指を入れられるのは初めてだ。もちろん自分で入れたこともない。  ものすごい違和感というか異物感がする。指一本入っているだけなのに、体の中にに太くて長い棒でも入れられた感じがする。  それに、強烈な恥ずかしさが加わる。もし指にウンチが付いたらどうしよう。そう考えたら居ても立っても居られない。  さらに、中指を根元まで入れたエリが中で指を曲げた。 「あぅーーーー……」  その瞬間、守の体の中を今まで体験したことのない感覚が走り抜けた。  セックスやアナルとは次元の違う感覚だ。普通のセックスが三次元だとすると、この感覚はまさに四次元。  いつもと違うちょっと鈍い射精感がずっと続く感じ。むりやり精液を押し出される感じ。まさに初体験だ。 「守はここを触られるの初めてでしょ。ここが前立腺。どう? すごいでしょ」  前立腺。言葉は知っていたが、経験するのは初めてだ。  ペニスの裏側を押されて強制的に勃起させられていく。アナル舐めの時のペニスがしぼむのとは全く逆の反応だ。  しかも、体の奥がどうしようもなくモゾモゾする。 「待って、ちょっと待って。変、変だから。体の奥が。うわ、うわ、うわあぁ、あっ、あ、あ、あ……」  前立腺を押されるだけでも限界なのに、さらに、エリがフェラを始めた。  亀頭を口に咥えて唇でカリをこすったり締めたりする。舌は先端の割れ目から裏の縫い目にかけてをチロチロ舐めたり、亀頭の先半分をぐりんぐりん舐め回す。左手は竿を絶妙な力加減でしごきたて、右手は前立腺を刺激し続ける。 「あぁー、イヤ、ダメ、おおおおぉー、エリさん、エリさん、エリさん、分かんない。分かんないよ。どうしたら、どうしたらいいのー、うおおおおぉーー……」 「出しちゃいなさい。ピュッピュッて出せばいいの。クリスマスプレゼントなんだから、我慢しなくていいの」 「あぁー、うぅー、出ない。出ないよー。出したいのに出ないー」  守は半泣きどころか、ほとんど泣いてしまっている。  射精したいのに、なぜかできない。まるで朝立ちしてるときにオシッコをしにくいのと同じような感覚。  ペニスはビキビキに硬くなっていて、タマもパンパンに張っている。精液もすぐにでも射精しそうなくらいお腹の奥で渦を巻いている。それでもなぜか射精できない。 「がんばりなひゃい。男の子へしょ」  エリが亀頭を半分咥えたまましゃべる。  その振動が伝わり、守をさらに苦しめる。 「うわあああぁ、もういいっ。やめてっ。もう、いいから。お願いっ。何でも言うこと聞くから。やだぁ」  守の口調が子供みたいになってくる。 「いきんで。お腹の奥に力を入れて。そうしたら出るから」  言われた通りにやっても、射精できない。辛い。苦しい。  エリは献身的に守を責める。  守も一刻も早く射精しようと頑張る。  出したいのに出せない地獄のような時間が続く。  しかし、その時間は急に終わりを告げた。  守の快感があるラインを超えた。前立腺によるイキにくさを快感が超えてしまったのだ。  守は射精の瞬間を本能で感じとった。  出したくても出なかった精液が外に出ようと急に動き始めた。 「あ、あ、出る……」  守の情け無い声と同時に射精が始まった。  指を入れられてるせいか、いつもより勢いが弱い。  ぴゅるぴゅるぴゅると精液が噴き出し、エリの口の中に溜まっていく。  勢いが無い分、代わりに時間が長い。我慢を重ねたおしっこを出す時みたいに、いつまでたっても射精が終わらない。そろそろ終わったかと思ってもまだ出てくる。 「あぅっ、う、う、う、うっ、うう、おうっ、お、お、おお……」  射精の間、守の体はビクン、ビクビクと大きく震える。  精液と一緒に体から力が抜けていく。  異質な射精感に守の頭の中は白く濁り、妖しい快感で一杯になる。  そして、とても長く感じられた射精が終わったとき、守は自分で体を支えられずベッドへ突っ伏してしまった。  射精が終わった守は打ちひしがれていた。  犯された気分だ。  女の子みたいに泣き叫んだ自分が情けない。嫌だったのに気持ち良かったことが情けなさに拍車をかける。  そして、指を抜かれた今でも、まだ何か入れられている感覚が残っているし、広げられたアナルがズキズキ疼いている。 「どう? 良かったでしょ」  守をイカせたことで、エリの声は満足気だ。 「ひどい……。ひどいです……。うっ……」  守は鼻をすすり、涙ぐみながら答えた。 「初めてだから体がびっくりしただけよ。慣れれば病み付きになるから。でも、守が変な方へ走ったらいけないから年に一回にしておこうか」  エリがニヤニヤしながら言う。  守はベッドに顔を伏せていても、口調からエリの顔が想像できた。くやしさまで湧いてくる。 「もういい……。もういいです」 「まあまあ、また忘れた頃にやってあげるから楽しみにしときなさい」  守はぐすぐす鼻を鳴らして、ここぞとばかりにエリに甘える。柔らかな胸に顔をこすりつけ、体にしがみつく。 「もう寝なさい。今日は疲れたでしょ」  エリが守の頭を撫でながら言った。  守はしばらくの間ぐずっていたが、あえぎ疲れ、泣き疲れていたので、エリの腕に包まれいつしか眠ってしまった。  だが、守の安らぎは数時間しか続かない。  守はこれから帰ってきた麻美に叩き起こされる。そしてもう一度パーティに付き合わされ、犯される。  また、日が変わっても、忘年会、年またぎ、姫はじめ、新年会と理由をつけては襲われ続ける。  束の間の安眠に浸る守はまだそのことに気付いていなかった。 <第13章> 「麻美さん、誕生日に何が欲しいですか」  三人で暮らし始めて一ヵ月近くたった一月のある日、守は麻美に聞いた。  会社の先輩から女性と付き合うコツはイベントを大切にすることだと聞いていたので、守はエリと麻美の誕生日をこっそり調べていた。  本人に聞かなくても保険証を見ると簡単に調べられた。  エリは五月、麻美は一月だった。  本当なら気の利いた物をプレゼントすれば良いのだが、流行やブランドに疎い守は何が良いのかさっぱり分からない。  手作りの品という手はクリスマスのときに使ったので、また同じでは新鮮味が無い。  かなり悩んだ末、結局本人へ聞くことにしたのだ。 「私がお金を出すから指輪を選んで」  麻美の返事は早かった。  女性がアクセサリーが好きなのは本当なんだ。麻美のように店でたくさんプレゼントをもらってる人でも、やっぱりそうなんだと守は納得してしまった。  そして、誕生日の直前の日曜日に二人で出掛けることになった。  さすがに今日はエリも遠慮して付いてこない。  麻美は守と初めての二人だけの外出にウキウキしている。  近所のちょっとした買物を除いて、守と二人でお出かけするのは初めてだ。いつもは必ずエリがくっついてくる。  守は恥ずかしがって手を繋がないので、麻美は自分から腕を組んだ。  守と二人いると自然と体がムズムズしてくる。  この手は自分の弱い所を全部知っている。この唇と舌は、超能力者かと思うほど繊細で的確に責めてくる。そして、おちんちんで気が狂うほど気持ち良くしてくれる。  見た目はどこにでも居そうな冴えない男なのに。麻美はつくづく不思議に思う。  二人きりだとどうしても守の顔をチラチラ見てしまう。  そして、ベッドの上の事を思い出して、体の奥がじゅんと潤んでしまう。つい守の肘を自分の胸に当てて気持ち良くなろうとしてしまう。 (ダメ、ダメ。昼間からそんなこと考えてちゃ。守が困っちゃう)  横ではどうして良いか分からず、守が顔を赤くしていた。  麻美は六本木か銀座辺りの店へ行こうと思っていたら、守がその前に寄りたい所があるという。  麻美が言われるがままに付いていくと、着いたのは近くのショッピングセンターだった。  守はその中にある全国チェーンの宝石屋へ向かった。  女の店員は麻美を見てちょっと場違いな感じがしたのか一瞬だけ怪訝な顔をしたが、すぐに営業スマイルに切り替わった。  そりゃ守と自分が一緒に居れば、普通は変に思うだろうと麻美はあきらめる。  今日はなるべく守に合うような服を選んだけど、どうしても職業柄派手な感じが抜けきれていない。  守はというとファッションに興味の無い男子大学生かフリーターという格好で、二人は全然似合ってない。  次の休みには守の服を買いに行かなくちゃ。今までエリは何してたのよと麻美は思った。 「すみません、昨日のうちにここで選んじゃいました。ここでも良いですか」  守が少し申し訳無さそうに言う。 「守君が選んでくれるなら何でも良いけど、もっと高い所でいいのよ。どうせ私がお金を出すんだから」  麻美が店員に聞こえないように小さい声で答えた。 「高い店だと緊張して選べないから、昨日の内にここで選んでおきました」  守が店員へ目配せすると、店員が一つの指輪を出して来た。  それは結婚指輪に近いようなとてもシンプルなデザインをしていた。シルバーのベースに赤っぽい小さな石が嵌めてある。  光具合からしてルビーではなくて、多分キュービック・ジルコニアだろう。  守は指輪を受け取ると麻美の左手薬指にはめた。  さすがに店員はプロで、一目見ただけで指輪のサイズはぴったりだった。 「ぴったりで良かった。サイズが合わなかったらどうしようかと思ってたんです」  守がホッとした様子で言った。  一方麻美は急に胸の内が熱くなって来た。嬉しくて涙が出そうになる。  きっと守は結婚指輪がどんなものか知らないだろうし、婚約指輪と結婚指輪の違いも知らないだろう。  左手薬指に指輪をはめる意味について何も考えていないのだろう。指輪は左手薬指にはめるものと思い込んでいるに違いない。  それにしても守が昨日一人でここへ来て店員と相談しながら指輪を選んでいる姿を想像するとおかしくなる。  きっとおどおどしながら、しどろもどろになりながら店員に話したのだろう。  私の事をなんと説明したのか気になる。ちゃんと恋人といってくれたのだろうか。  それとも、友達だろうか。おそらく守のことだろうから大切な人とでも言ったのだろう。  この店員はモテない男がキャバ嬢にでも貢いでいると思い込んでいるに違いない。  くやしいから見せ付けるように守の頭を胸に抱いて言ってやる。 「ありがとう、一生大切にする」 「すいません。麻美さんにはもっと高い物の方が似合うと思うんですが、俺にはこれが精一杯で……」  守が麻美の腕から頭を振りほどきながら言った。 「いいのよそんな事、気にしないで。貴方に選んでもらえただけでうれしいんだから」 「気に入ってもらえてよかったです。じゃあ次の店へ行きましょう」  守は店員からケースの入った小さい袋を受け取りながら言った。 「えっ、お金は?」  守は麻美の手を取りさっさと歩き出す。 「大丈夫です。お金は昨日の内に払っておきました」 「えーっ、お金は私が出すって言ったでしょ」 「そんな、本人にお金を出させたらプレゼントにならないじゃないですか」 「大丈夫なの」 「俺だって一応働いてるんですから、プレゼントを買うお金くらいはあります」  守は本当に大丈夫だといわんばかりに、胸を張るかのようだ。  その時、麻美は急に涙がこみ上げて来た。止めようとしても止まらない。目の端に涙が溜まる。  麻美にだって夜間高校卒二十歳で町工場勤務の男の給料が少ないことくらいは分かる。  自分の何分の一しか貰っていないはずだ。ひょっとしたら十分の一以下かもしれない。  その少ない給料から守は三人分の食費を全部出している。  家賃と水道光熱費を出してもらってるからと、自分で出すと言って譲らない。それに、普段の買物は守の役目なので食品以外の洗剤やトイレットペーパーとかの日用品も守のお金だ。他にも、自分しか読まないからと言って新聞代も出しているし、自分の携帯代も自分で出している。要するにエリや自分からお金を一切受け取らないのだ。  守の性格からして生命保険にも入ってそうだし、貯金もしてそうだ。  そんな守のお小遣いがとても少ないのは経済観念が麻痺している麻美にも分かる。  今まで麻美が男からもらったプレゼントは、いくら高いといっても自由になるお金のほんの一部でしかない。  それかキャッシングで借りた、血の通っていないお金だ。  守のお金は文字通り自分で汗を流して働いたものだ、しかも何か月分の小遣いになるのだろう。  そう考えると、麻美は涙を抑えることができなかった。  麻美が急に立ち止まり泣き出したのを見て守は急におろおろし始める。 「そんなに嫌だったですか? それ返して別なのにしますか?」  人の気持ちにさとい守でも、この状況は理由が分からないようだ。 「違うの、嬉し過ぎて涙が止まらないの」  麻美は何年ぶりかに本気で泣いてしまった。嬉しくて泣くのは覚えていないくらい久しぶりだった。  次に二人が向かったのはいかにもOLさんが喜びそうな、雑誌に載ってそうな店だった。  ちょっとお洒落だけど、格調が高すぎて入りにくいということも無い、良くあるタイプの店だ。  おそらく会社で周りの人に相談するか、何かで調べたのだろう。  冴えないフリーター風の男とちょっと派手な女の二人組みには場違いな感じがするが、麻美は全然気にならなかった。  席に案内され、メニューを渡される。それを見た守の目が泳いでいる。こんな店に来るのは慣れてないのだろう。それに思ったより高いと言う顔をしている。  男女関係についてなら守以上に気が回る麻美にはピンと来た。  エリがこんな所へ守を連れてくることはないだろうから、この手の店は守にとって生まれて初めてなのだろう。  予約してから来るとか、事前に料理を決めておくとかは考え付かなかったのだ。  このままでは守が恥をかいてしまうかもしれない。  麻美は助け舟を出した。 「今日は私が好きな物を選んで良いかな」  守が助かったとばかりにコクコクうなずいた。  いつもの守なら麻美の考えなどはすぐに見破ってしまいそうだけど、今日は舞い上がっているのでそこまで考えられないようだ。麻美には好都合だ。  守の予算が幾らか判らないが多分一人三千円から五千円の間だろう。  三千円分の料理だとたいしたものが出てこないので守が恐縮してしまう。  時間的にこの後もう一軒行ってお酒を飲むつもりなら少しは余裕があるはずだ。  ここは料理を一人四千円分頼んで、ハウスワインのハーフボトルを一つ。そして、次の店に行くのを止めて、続きは家へ帰ってお酒を飲むことにしよう。  そうすればお腹も一杯になるし、お財布にも優しい。  麻美は値段がそこそこでお腹にたまりそうな物を適当に選んだ。  守は幸せそうな顔をして食べている。普段食べないものなので珍しいのだろう。  麻美はそれを楽しく眺めながら考えていた。  今日はいっぱいイカせてもらおう。  私がやめてと言ってもやめないようにしてもらって、頭がおかしくなるまでイカせてもらう。  抵抗できないように縛ってもらうのも良いかもしれない。  気を失うまで犯してもらう。  誕生日くらいはわがままを聞いてもらわなくちゃ。  想像したら濡れちゃう……。  そうだ、守はあんまり飲ませないようにしないと。飲みすぎて元気が無くなったら困る。  麻美は守を暖かい目で見つめながら、これからのことに想いを馳せていた。 <第14章>  三人での生活も一ヶ月以上が過ぎて、ようやく安定してきていた。  守は体が慣れてきたのか、不規則な生活ながら家事、仕事、毎日のセックスをなんとかこなしていた。  エリと麻美も仕事にセックスと毎日充実した日々を過ごしていた。  一見落ち着いた日々を過ごしながらもエリには悩みと目標があった。  悩みはどうやって麻美を追い払うかであり、目標はさっさとお金を溜めて守と東京を出ることだ。  東京なんかに居たら、守にいつ新しい女が出来ても不思議ではない。  麻美を含めた三人の生活なんていつまでも続けられない。いつかは終わりが来る。  今は都心に住んでいるので三人で暮らしていても近所の目があまり気にならない。都会の無関心さゆえだ。  しかし、一生三人というわけにはいかない。こんな仕事をしていても将来子供が欲しくなるかもしれない。その時、三人ではまずい。  麻美は守を譲る気は無さそうだ。守にどちらか選べといっても、守は選べないだろう。どうしたものか。  それでエリは考えた。『駆け落ち』しかない。親戚とほとんど付き合いの無い二人に反対する人間は麻美しかいないので、駆け落ちという言葉はおかしいかもしれないが駆け落ちは駆け落ちだ。  どうするにしろ、とりあえずはお金だ。お金が無い事にはどうにもならない  麻美よりお金を溜める事が先決だ。  お金を溜めて都会を離れ、どこかで守と二人で仲良く暮らすのだ。  その日のために、今は早くお金を溜めようと無駄遣いをやめて貯金を始めている。当面の目標は一千万円。それだけあれば、つつましく暮らせば守と二人で数年は生活できる。  数年あれば、新しい仕事も決まるだろう。  そんなエリはある日麻美とケンカをしてしまった。  きっかけはささいなことで、思い出せないくらいつまらないものだった。  それがテレビのチャンネル争いや、化粧品を勝手に使ったとかいうことに飛び火して、大きくなる。  これまで溜まったストレスや不満が爆発した形だ。  運悪く守が居なかったこともあり、二人ともヒートアップしてしまいお互いに引くに引けなくなった。  普段ならこんな大げさになる前に守が止めてくれるのだが、守が帰ってきたのは二人の興奮がピークに達した時だった。  こうなると、守でも簡単には二人を抑えられない。  そして、熱くなりすぎた麻美が言ってはいけない一言を言ってしまう。 「リコみたいに毎日他の男のチンコ咥えてる女と一緒にしないでよ」 「あんただって、毎日お客とキスしてるくせに」  エリも売り言葉に買い言葉で余計な事を言ってしまう。  すぐに二人ともまずいと思ったが後の祭りで、守は二人の言葉を聞いてしまっていた。  エリと麻美が恐る恐る守を見ると、守は完全に落ち込んでしまっている。  こうなると二人ともケンカどころではなかった。  守としては考えないようにしていることだった。  風俗や水商売で働いている人を差別する気は無い。自分よりたくさん稼ぐ二人を純粋に凄いと思っている。それに、自分がエリと出会ったのはそもそも客として店へ行ったからだ。  その自分がエリを責めるのはおかしい。  理性では分かっている。しかし、感情となると別だった。  エリは帰ると必ずすぐにシャワーを浴び、仕事の匂いを消す。  それがエリの気遣いだと分かっていても、守に嫌でもエリの仕事の事を思い起こさせる。  さらに守に追い討ちを掛けたのは麻美のことだ。  麻美が働いてるような店へ行ったことがない守は店員がお客とキスしてるなんて知らなかった。麻美が働いているのはちょっと高級なところと聞いていたのでなおさらだ。  ちょっと体を触られるくらいで、それ以上は何も無いと思っていた。知らなかっただけにショックが大きい。  エリのことと麻美のことで守は二重にショックを受けてしまっていた。  肩を落として見るからに元気が無く、落ち込んでいる。 「あんたが余計なこと言うから守が落ち込んだじゃない」 「リコが言ったことにショックを受けたんでしょ」  エリと麻美が再び言い合いを始める。 「そりゃ……」  その時、守がぼそっとしゃべり始めた。 「えっ」 「何?」 「そりゃ、頭では分かってるんですよ。そもそもエリさんと知り合ったのはそういうお店なんだし、お仕事だって分かってるんです。だけど、やっぱり他の男としてると考えると、胸の奥に嫌な物がこみ上げてくる事はありますよ。それに麻美さんがお客さんとキスしてるなんて知らなかったし……」 「……」  守の言葉にエリと麻美は何も言えなかった。  二人とも、特にエリは守に対して引け目を感じていた。わざと考えないようにしていた。  守みたいに真面目な男なら悩んでいても不思議ではない。 「もし僕が仕事で他の女性とキスしたりクンニしたりしてたら、エリさんも麻美さんもいい気がしないでしょ」  そこで守は自分も言い過ぎたことに気が付いた。普段なら絶対口にしないことをしゃべってしまった。 「すいません。言い過ぎました。俺なんかが生意気なことを」  守がエリにヘルスを辞めてもらいたいのは本当だが、守にそんなことを言う権利は無い。  そもそも守に他人を養う給料はなかった。自分一人で精一杯だ。  だから、言いたくても言えないでいた。  せめて、早くお金を貯めてセックスに関係ない仕事をして欲しいと思っていた。  三人とも黙り込み嫌な沈黙が流れる。  そこで、しばらく考え込んでいたエリが言った。 「決めた。私、お店辞める」  エリの決断は早い。 「えっ、そんな、俺のことは気にしないでください。考えなければいいだけなんです。大事なことを思いつきで決めないでください」  守は自分のせいだと慌てた。 「前から考えてたの。いつまでも出来る仕事じゃないし。いつかは辞めようと思ってたけど、きっかけが無くてズルズル続けちゃってた。いい機会だから辞める。決めた。明日、店長に話をしてみる。すぐには辞められないけど、出来るだけ早く辞める」  エリの言葉ははっきりしている。 「じゃあ、うちの店に来ればいいわ」  麻美が話を合わせた。  半分は深く考えず、半分は普段の弱点をカバーできると思ってのことだ。  すかさず麻美のずる賢い頭が高速回転を始めた。  麻美は仕事柄毎日お酒を飲まなくてはいけない。しかも、仕事の後にアフターでお客に付き合うこともある。  そうなると、どうしても帰りが遅くなる。酔い過ぎて守を夜中に起して騒ぐだけ騒いで、エッチもせずに寝てしまうこともある。  それに、クリスマス、守とエリが二人でパーティをしたのが悔しかった。  今のままではエリのほうが休みが自由になる分、有利すぎる。  そんなことで麻美はエリにハンデを感じていた。  エリが同じところで働けば条件は同じになる。考えれば考えるほど良い案の気がしてくる。 「うん、そうしようよ。私が店長に紹介するから。エリなら全然大丈夫。同じ店にしよ。守君も私と同じ店なら安心だし、色々便利でしょ」 「えっ、あっ、はぁ、そうかもしれませんが……」  水商売のことなど何も知らない守は聞かれても答えられない。  ただ、ヘルスで働くのよりはましな気がする。 「守君も賛成してるし決まりね。さっそく店長に連絡しなくちゃ。エリは今の店辞める日が決まったら教えて。守君、私ももうお客さんとはキスしないから許してね」  流れだけで転職先が決まってしまい、エリと守は心の中でこれで本当に良いのかと考える。  自分だけ反対意見を言いにくい状況になってしまっている。 「そうと決まったら、今日はエリの転職前祝いね」 「まだ決まったわけじゃ」  エリがさっきの強気とは一転して、弱気の発言をする。  ヘルスを辞めるのは問題ないが、麻美と同じ店なのは問題大有りの気がする。 「あら、守君をぬか喜びさせる気なの。そんなの酷い。大丈夫、エリならすぐにナンバーワンになれるから。私なんかすぐ抜いちゃうわよ」 「でも……」 「守君、シャンパンって有ったっけ。無いならワインにしようか。一番高いやつ。守君、何かおつまみ作ってくれる。私、テーブルの準備するから。エリは座っててね。主役なんだから」  こうしてエリは流されるようにして麻美と同じ店で働くことが決まってしまった。 <第15章>  エリが転職することを決めても、すぐというわけにはいかなかった。  せめて、月一で来るお客さんに挨拶してからと店長の泣き落としにあったからだ。  多少の恩も感じていたので、エリが辞めるのはバレンタインが終わった二月末と決まった。  転職も近い二月上旬の土曜日、エリは守と二人でお出かけしていた。  麻美はクラブの従業員全員が集まって、バレンタインのプレゼントの買出しへ出かけている。  エリは久しぶりの二人だけの外出で内心浮かれていた。  今日は何をしようかと、頭の中で色々考える。  麻美が居たらできないこと、前から守と行きたかった所、次々案が浮かんで嬉しい悲鳴だ。  エリと守が信号待ちしていると、エリに軽く当たりながら女がすり抜けていった。  制服姿の女子高生だ。  失礼な子だなとエリが少しムッとしていると、信号は赤なのにその女の子はフラフラ渡り始めてしまう。 (えっ、なんで? 赤だよね)  想定外の出来事にピントハズレなことを思ってしまう。  そこへ一台の車が女目掛けて走ってきた。  ファァーンとクラクションが鳴らされる。 (危ないっ!)  それでエリはようやく危険を察知して心の中で叫ぶが、とっさに体が動かない。  その時、誰かが動いた。守だ。  スローモーションのように映像が流れる中、守が女の子の手を掴んで力一杯引き寄せた。  女の子は引かれた勢いで守へぶつかり、跳ねて、歩道の上へ倒れこんだ。  そのすぐ側を車がスキール音を響かせながら通りすぎていった。  普段車を運転しないエリは交通事故に会ったことも見たことも無い。  初めての経験に心拍数が一気に上がり、ドキドキがなかなか治まらない。 (すごかった……)  エリが一人興奮していると、守が女に声を掛けた。 「大丈夫?」  女子高生は放心状態というか、投げやりな感じで全てがどうでも良いという風に見える。 「私なんか死んだほうが良かった」  歩道に座り込んだままの女子高生がつぶやくように言った。  このまま立ち去るのは後味が悪いので、エリと守は近くに座れるところを見つけ、そこへ女の子を座らせた。  それから守は走って飲み物を買ってきた。暖かい物のほうが良いだろうとホットココアだ。 「どうしたの? 大丈夫?」  守が慣れない生き物に緊張しながら話しかけるが、女子高生は生返事をするばかりで、一向にまともに取り合わない。  それでも守が根気良く話しかけると、ようやく女子高生は少しずつ話し始めた。  エリと守の二人は成り行きで話を聞くことになってしまった。  女子高生の名前は有紀《ゆき》。高校三年生。  何のことは無い、第一志望の私大受験に失敗しただけのことだった。  有紀は推薦を校内の抽選で落ちて、一般入試の試験に賭けていた。  その発表を先ほど見て、落ちていたのでショックで気が抜けていたのだ。  特に自殺する気は無かったらしい。  しかし、有紀は生きてても仕方が無いというくらいに落ち込んでいる。  高校中退と夜間高校卒の二人には受験に失敗したくらいで死にたくなる気持ちが分からない。 「あのさあ、なんで大学に落ちたくらいで死ななきゃならないの。世間で大学進学率って50%くらいでしょ。それなら世の中の半分は死ななきゃいけないじゃない」  エリが少しあきれた様子で言う。 「あなた達に、子供の頃から勉強だけをやってきた私の気持ちは分かりません」  有紀の声は暗くて重い。 「この守は夜間高校卒だけど真面目に働いてるし、あたしみたいなイイ女をカノジョにしてるよ」 「私には受験が全てなんです。落ちたら意味が無いんです。親に何て言ったら……」 「そんなの浪人させてとか、別の大学行くとかで良いんじゃないの。滑り止めとか受けてるんでしょ。それに、国立の二次募集とかがあるんじゃない」  高校中退のエリでもそのくらいのことは知っていた。 「ランクの低い大学へ行っても仕方が無いし、私立で落ちたのにもっと難しい国立二次で通るのは無理……」  エリが何を言っても、有紀は否定的なことしか言わない。いい加減、イライラしてきてしまう。 「あっ、そう。高校中退の私には分かんない」 「あなたみたいな遊んでる人には分からないんです」  エリは少しカチンと来た。  制服からはどんな学校か分からないけど、きちんとした身なりをしているから、いいとこのお嬢さんだろう。  本当の苦労を知らないくせに、口答えするのがイラっとする。 「分かった、あんた処女ね。だから死にたいなんて考えるんだ。イイ男に抱かれてみなさいよ。死のうなんて気は絶対起きないから」  有紀は真面目が服を着たみたいに固そうな格好をしている。  そんな姿を見てエリは腹立ち紛れにからかってしまう。  しかし、有紀にその冷やかしは通じなかった。 「私、そんなふしだらではありません」 「ふ、し、だ、ら、だってー……」  聞きなれない古風な言葉だけど意味は分かる。エリの頭に一気に血が上った。  最初は興奮と好奇心から有紀に関わってきたエリだったが、エリの言い草に本気で腹が立ってきた。 「あんたは知らないから言ってるだけよ。勉強では負けるけど、私は少なくともあなたより一つ人生の良いこと知ってるわ。死ぬくらいなら、その前に処女でも捨てたらどうなの。死ぬのに比べたら、全然簡単でしょ。それでも死にたいなら死ねばいいわ。私の言うことが嘘だと言うんなら実際にやってから言いなさいよ。処女はこの守にあげな。一回だけ貸してあげるから」  エリは興奮のあまり一気にまくし立てた。途中思ってもいないことを口走ってしまったがもう遅かった。  エリが普段心の底で気になっていたこと、なるべく考えないようにしていたことが出てしまった。  それは、守に処女を上げられなかったことだ。  守の童貞は自分がもらったが、自分は処女ではなかった。  守は何も言わない。  自分は守以外の男を何人か知っているが、守は自分と麻美しか知らない。  このままでは守は一生自分と麻美とだけやって処女の相手をしないことになる。  申し訳ないというか、不公平というか、可愛そうな気がする。  だけど、いまさらどうすることもできない。  それにエリの処女喪失はどちらかというと良い思い出ではなかったことがエリの気持ちを複雑にしていた。 「処女じゃないのがそんなに偉いんですか」 「ああ、偉いわ。セックスの良さも知らずに死にたいなんて言うのは、バカのやることよ」  横で二人の口論を聞いている守はオロオロしてしまう。  修羅場っぽい状況はいつになっても慣れない。  それに二人の会話は外でする話ではない。 「もしセックスしても気持ち良くなかったらどうしてくれるんですか」 「何でも言うこと聞いてあげるわよ」 「じゃあ、私の代わりに大学受験して勉強の辛さを経験してくださいって言ったらどうしますか」 「受験でも何でもやってあげるわよ。私は守を信じてるから。断言する。絶対にあんたの考えは変わる」  エリの口調は確信に満ちている。 「分かりました。そこまで言うならやります。セックスなんてそんなに良いものじゃないって証明します」  有紀も売り言葉に買い言葉の状態だ。 (やけを起こしたらダメだよー……)  守は二人を止めたいがなんと言って良いか分からない。  エリも有紀も話しているうちに興奮していて、お互い引けない状態になっている。 「その勇気は認めてあげるわ。すぐに私が正しかったって思い知るけどね」 「その言葉はそのままお返しします」  マンガに出てきそうなベタな会話だ。どんどん話が変な方向へ行っている。  エリと一緒にいると、こんなことになるのが多い気がする。守は頭を抱えた。 「エリさん、俺、処女の人とやったことないですよ。女性だってエリさんと麻美さんしか知らないし……」  守がエリだけに聞こえるように小声で言う。 「守なら大丈夫。私が教えてあげる。守なら処女相手でも上手くやれるから。この子をヒィヒィ言わせてやりなさい」 「そ、そんなの、無理ですよ」 「無理じゃない。やるの」  そうして守は流されるままに有紀の相手をすることになってしまった。  三人は守達の家へ戻り、エリの部屋へ入った。麻美はまだ帰っていない。 「どうすれば良いんですか」  守は不安で仕方が無い。処女というだけで、普通の女性とは別の生き物に思えてくる。 「まずは目一杯感じさせて、それで自分から腰をくねらせ始めたらズブッと挿入よ」 「そんな、いい加減な」 「いいから、やればいいのよ。処女も非処女も感じるところは同じだから。守ならできる。女の私が保証する」  エリは先ほどまでの怒りと変わって、何か面白がっているようだ。  電気を消してカーテンを閉めたので昼間でも部屋の中はかなり暗い。  有紀が恥ずかしがらないようにとの守の配慮だ。  エリの部屋は昼間でも寝られるように性能の良い遮光カーテンを使っているので普通の部屋より暗い。  その中、守はあらためて有紀をじっくり見た。目が慣れるとそれなりに姿が見える。  いかにも優等生な感じのメガネにほとんどノーメイクな顔。エリや麻美の顔を見慣れているので眉毛が太く感じる。  髪型はちょっと長めのボブカットという感じのミディアムヘア。シャワーを使った後ドライヤーで乾かしたが、まだしっとり感が残っている。  肌は、家にこもって勉強ばかりしているからかけっこう白い。  体はムチッとしてて柔らかそうだ。  極めつけは長めのスカート丈。今時これだけ長い制服はなかなか見ない。  全体的に真面目さがにじみ出ている。まさに真面目の塊という感じ。  こんな子と本当にエッチをして良いのか守は戸惑ってしまう。  最後の確認とエリの方を向くと、早くやれと視線で催促してくる。  有紀は自分の膝を見つめていて、抵抗する気配は無い。 (仕方ない……)  守は半分諦めの境地に入りながら腹をくくった。  こうなったらやるしかない。最後までやるかはともかく、気持ち良くなってもらうのは問題無いだろうと思った。 (まずは緊張をほぐすところからだな)  有紀は見るからに体が硬くなっている。  意気消沈して自暴自棄になっていながら、緊張しているというややこしい状態だ。 「肩を揉んであげるね」  守は声を掛けてから有紀の肩へ手を置いた。  それだけで有紀はかすかに体をピクッとさせた。  男に免疫が無いのを隠そうとしているのが分かる。  守はいやらしくならないよう、ごく普通に肩を揉み始めた。  普段から勉強ばかりしているせいか、若いのに意外と凝っている。  守は時間を掛けてじっくりと揉み解していく。  マッサージはエリ達と一緒に住むようになって覚えた守の新しい特技の一つだ。  エリと麻美が疲れたーと帰ってきたときにセックスから逃げるため必然的に覚えて、すぐに上達した。  図書館で本を借りたり、ネットで調べたり、持ち前の観察力を駆使したりするうちに、素人の域を超えた腕前になっていった。  今はその技を十分に発揮して有紀の心と体をほぐしていく。  五分、十分と続けるうちに有紀の体から力が抜けていく。呼吸もゆっくりになってきた。  そこで守は肩から腕、手、指と場所を変える。  右腕が済んだら左腕とあせらずじっくりとマッサージする。  マッサージしながら守は少し浮かれていた。有紀は若いだけあって肌の張りが違う。  女子高生の体を触るなんて守にとって初めての経験だ。 (これが女子高生の肌なんだ。肌触りが違う。それにとっても柔らかい……)  スリムなエリや麻美と違って有紀はちょっと肉付きが良い。  でも、二人と比べて太っているだけで、多分これが普通なんだろうと守は思う。  腕なんかムニムニしてて揉んでるだけで楽しくなってくる。 (良いなあー。柔らかい女の子って良いなぁ)  守は少し興奮してしまっていた。  手の次は脚だ。スカートがめくれないように気を付けながら、太もも、ふくらはぎ、足の指へとマッサージを続けていく。  手付きがいやらしくならないように細心の注意を払う。  せっかく落ち着いている有紀の感情が乱れたら、ここまで時間を掛けたことが無駄になってしまう。  太ももの感触が良過ぎて、いやらしさを押し込めるのにかなりの努力が必要だ。  右足が済んだら左足。  有紀は目を閉じ、守に全てをゆだねている。かなり効いている。性的な意味ではなく気持ち良くなっている。 (かなりほぐれてきた。もう一押しかな) 「ベッドへうつぶせになってくれるかな」  良い気持ちになっている有紀はのっそりとした動きで従った。  守は有紀の体をまたぎ、背中の上の方からじっくりとツボを押していく。  ちょっと強めに押すと、『んふぅー……』と有紀が痛気持ち良さそうな声を出す。  指以外が有紀の体に触れないようにしながら体のコリをほぐしていく。  有紀は肩だけじゃなくて全身が凝っている。特に腰の筋肉が固まっている。  受験勉強って大変なんだろうなと守は同情した。  今まで守が受けたことのある試験といえば、学校の定期試験や車の免許、それに仕事で取らされた溶接や危険物取扱の資格くらいだ。定時制の高校にも一応入学試験はあったが中学時代真面目だった守は特に受験勉強はすることなく合格していた。  大学受験をしたことの無い守は受験勉強の辛さが今一つ実感できないけど、有紀の体のコリから何となく想像した。  肩から腰までほぐし終わった守はマッサージの振りを続けながら、少しずつ有紀の感じるポイントを探していく。  狙うのは、あまりくすぐったくなくて単純に気持ち良い場所だ。  くすぐったいのや刺激が強すぎるのはまだ早い。もっと警戒心を解いてからだ。  有紀が嫌がりそうなことは後回しにする。  そして、守は有紀に気づかれないようにしながら少しずつ快感を掘り返していく。  マッサージの気持ち良さの中に性的な気持ち良さを少しずつ混ぜていく。  そうして有紀の眠っている性感を目覚めさせるのだ。  本人も気づかない内に体が感じているのがベストだけど、そんなに都合良く進まないだろう。  肩を揉み始めてから三十分近くが立とうとしているが、守は我慢強さを発揮して淡々と作業を続けた。  有紀がくったりするまでマッサージを続けてから、守は有紀のジャケットとベストを脱がせてブラウスだけにした。 「っ……」  守は有紀の体を見て反射的に声が出そうになるのをギリギリ飲み込んだ。 (おっきい……)  制服姿からは想像できないくらいに胸が大きかった。  かなり着やせするタイプらしく、隠れ巨乳だ。  初めて間近で見る巨乳に守はドキドキしてしまう。  エリや麻美より明らかに大きい。エリも小さい方ではないが、有紀とはレベルが違う。  本物の巨乳は迫力が凄い。ブラウスがボワンと盛り上がっていて圧倒されてしまう。  見てはいけない物に思えて守は直視できない。  守はなるたけ見ないようにしながら、マッサージの名を借りた愛撫を続けた。  マッサージの最初は指で押すだけだったのが、指の腹で撫でる割合が増えていく。  それにそれまで親指で押すとき他の指は握りこんでいたのに、開いて有紀の体へ添えるようにした。  腋、横乳、お尻、太ももの内側など重要ポイントの近くまで指が接近する。  エリと麻美の体で知り尽くしている感じるポイントも堂々と押す。  途中深くなっていた有紀の呼吸はだんだん浅く速くなっていく。  そして守は明らかな愛撫へ切り替えていく。  胸や股間など急所はまだだけど、指も手の平も全部使って有紀の体を撫でる。  太ももなどを撫でると有紀はピクンと体を震わせて性的な反応を見せる。  逃げないし嫌がっているようには見えない。 「メガネを外そうか」  守が声を掛けると、有紀が大人しくメガネを外させてくれた。  有紀はメガネを外すとちょっと可愛くなった。キレイとかじゃなくて、普通の女子高生の普通の可愛さだ。  守はドキッとしてしまう。  急に恋人気分になってきたというか、恋人気分を味わいたくて有紀の横へ寝そべり愛撫を続けた。  ここまでで肩揉みを始めてから一時間はたっている。  守も愛撫にこれだけ時間を掛けたのは初めてだ。  有紀は体からかなり力が抜けてフニャフニャになってきている。  守が体を密着させても有紀は逃げない。  守は体全体で有紀の柔らかさを感じながら、さらに有紀の性感を掘り起こしていった。  首筋をツツツツツーっと指で撫でてみる。  感じるのか有紀は首をすくめる。  最初のうちはぴったり閉じていた脚も、心なし開いている。  守が太もも内側の柔らかい部分を指で撫でると、「あっ……」とかすかに声が漏れた。  もう準備は十分なはずだ。本格的な愛撫へ進むことにした。  おそらく有紀はファーストキスはまだだろう。  それだけはとっておいてやることにして、守は有紀の首筋にチュッとキスをした。  有紀はピクンと体を震わせたけど逃げようとしない。 (いける!)  守はブラウスの上から胸に手をかぶせた。手は動かさないで置いているだけだ。  やはり有紀は嫌がらない。 (このままいけるぞ!)  守は乳首の辺りを撫でた。服とブラ越しなのでとても微妙な感覚のはずだ。  有紀は黙ってされるがままになっている。しかし、眉の筋肉がかすかに動いている。  守には有紀が快感を受け入れているように思える。 (もっと。もっとだ)  守は大胆に動き始めた。  服の上からキュッキュッと乳首を軽く摘んでみた。  有紀の口が少し開いて熱い息が漏れた。  守は左手で乳首をつまみ、右手で太ももの柔らかいところを撫で、首筋にキスを繰り返した。  しばらく続けていると、有紀の体がくねり始めた。  慎重に反応を見ながらブラウスのボタンを外していく。  おへその辺りまでボタンを外したところでブラウスの内側へ手を侵入させる。  そしてブラの上からやわやわと胸を揉む。  ブラの上からでも大きさと柔らかさが凄い。  ハァハァハァハァハァ…………。  有紀の呼吸が乱れて、熱い吐息が漏れる。  守はブラの隙間から指を進入させて乳首に触った。 「あんっ」  ついに有紀がはっきりと声を出した。可愛い中にも感じてるのが分かるエッチな声だ。  そのまま指でクリクリと乳首を可愛がる。  有紀はかすかに胸を突き出すようにしている。 (もっとして欲しがってる……)  左手で乳首を責めながら右手でショーツの足ぐりの線に沿って指でなぞる。 「あ……」  有紀の口からかすかな声が漏れる。  体をくねらせるけど守の手を払いのけたりしない。  守は調子に乗ってショーツの上からクリにそっと触れた。 「はんぅー……」  有紀の脚が閉じられて守の右手が挟まれた。  守はそれ以上無理に責めない。相手は処女なんだ。焦ってはいけないと自分に言い聞かせる。  右手はそのままにして動かさないで、乳首いじりと首筋へのキスを続ける。  しばらくすると、有紀の脚が緩んできた。そこでまたクリを撫でる。 「あんぅ……」  さっきより少し大きな反応を見せて、守の手が挟まれる。  そして守は右手はそのままに乳首と首筋に戻る。  それを何度も繰り返す。  有紀にフワフワした気持ち良さを味わってもらう考えだ。  有紀の脚が開いている時間がだんだん長くなり、守はどんどんクリを責める。  指で円を描きながら軽く、とても軽く撫でる。刺激に慣れていない処女ならこれで十分のはずだ。  有紀がクリの感覚に集中してきたところでブラウスのボタンを全部外して胸元を大きく開く。  これだけ胸が大きいのだからコンプレックスに思ってるのは間違いない。  有紀には胸が感じることを知って欲しい。  守は乳房にそっとキスをした。  クリを一定のリズムで撫でながら胸を本格的に責め始める。  ブラはソフトカップなので簡単にずらせる。乳首を外に出してしまう。  薄暗いのではっきりしないけど、薄茶色の乳輪と乳首だ。  乳輪はぷっくり盛り上がっていて、とてもいやらしい。乳首も真ん丸で立ち上がっている。  守は乳首を咥えた。 「はんぅー……」  有紀の体が持ち上がり、背中が反った。  乳首を唇で挟み、先端を舌でチロチロ舐める。  これだけ感じてきたら刺激を強くしても大丈夫そうだ。  右の乳首のほんの少し甘噛みしてみる。  左の乳首を指でクリクリこねたり、ブラの上から乳房丸ごと胸を揉む。  そしてクリを爪の先でこする。  そのまま守は有紀が感じ疲れるまで愛撫を続けた。  守は処女の感じやすさに驚きながら、有紀がぐったりするまで責めてから声を掛けた。 「脱がすよ」  有紀がかすかにお尻をあげて協力してくれた。  守は有紀が恥ずかしくないよう、スカートがめくれないように気をつけながら有紀のショーツを脱がせた。  手の中にまだ暖かさの残る布が残った。  守は有紀らしい真面目な白いショーツを一瞬だけ目で確認すると、丸めて布団の下に隠した。  有紀はブラウスのボタンを全部外されて前がはだけられ、ブラはずらされて胸は丸出し、ノーパンにスカートとソックスという、かなりエロい格好になっている。  さらに顔も赤くなり、最初会ったときの投げやりな感じは無くなり、抱きしめたくなるようなエロ可愛さが出てきている。  守の興奮はピークに達しようとしていた。  守はスカートの中に顔を突っ込み、焦らすように太ももの内側から脚の付け根に向けてキスをして舌を這わせる。  あまり股間に近づきすぎて有紀に恐怖心を抱かせないように、様子を観察しながら慎重に口を使う。  処女でも十分感じさせて、焦らして焦らして焦らしまくれば、いつか体を開いてくれるはずだ。  守はここまでの有紀の反応を見てそう思うようになっていた。  そのためにも途中で有紀が素に戻ることがあってはいけない。  ここが一つ目の正念場だと守は粛々と、かつ、愛情を持って愛撫を続けた。  少しずつ少しずつ舐める範囲を広げていく。  一往復ごとに一センチぐらいのペースで股間へ近づいていく。  右足を数往復舐めたら左足へ。また数往復で右足へ戻る。  その間も手で太ももをさわさわと撫でる。  舐める場所も内側だけではなくて表側の真ん中も忘れない。そこにはピリピリ来る重要な性感帯があるのを守は知っていた。  太ももだけで十分以上時間を掛けた頃、有紀の脚からは完全に力が抜け大きく開かれるまでになっていた。  そして守はついに脚の付け根に到達した。  それでもまだ守は急がない。  脚の付け根の柔らかい部分にキスを繰り返す。  はっ、はっ、はっ、はっ、はっ…………。  有紀は目をつむり呼吸を乱している。スカートが完全にめくれあがっているのに気付いていない。  腰がうねるように動いているのは、感じているのと同時に性器が疼いている証拠だと守は思った。  守はようやく有紀の秘密の部分へ口を寄せた。  唇が触れた瞬間、有紀が叫んだ。 「そこっ、ダメ、汚い」  有紀が慌てて叫んだ。  守は上へずり上がろうとするのを太ももを抱えて押さえる。  ここは一気に責めるべき時だ。守の勘が告げていた。 「ダメっ、ダメっ、汚いから、止めてください」  守は有紀の言葉を無視してクンニを続けた。  有紀が太ももで顔を挟んできた。結構な力で耳が痛い。  それでも黙々と舌を使う。 「ひゃあっ、あっあっあっあっ、はんぅ、ああああ、あんっあんっあんっあああぁ……」  有紀が変な声を出して暴れても守は止めない。  勝負所だと覚悟を決めて有紀に快感を覚えこまそうとしていた。  エリと麻美との濃厚なセックスで守の女性へ対するセンサーみたいなものの精度は一段上がっていた。  セックスのときだけは女性の気持ちが初めの頃よりずっと分かる。  有紀は快感に慣れていないだけで、けっして嫌がっていない。  そう守は確信していた。  それに有紀にクンニするのは楽しい。  反応が初々しいのも良いし、何より感じてくれるのが嬉しい。  シャワーで綺麗に洗ったのか恥垢の匂いが全く無いのも良い。  しかし、そこは処女なのでよく見ると大陰唇の溝などにかすかに白いカスが残っている。  守はそれも舌で綺麗に掃除してやる。 「はぁっ、やっ、や、嫌、やめて、あっ、あっ、あっ、あん、はぁはぁはぁ、はっ、んんぅー……」  クンニを続けるうちに有紀の反応が表面的なものから、深く感じるようになってきている。  本格的に感じているみたいだった。  そこで守は最後のポイント、クリへ移ることにした。  それは包皮に包まれていて全然見えない。  まずは、包皮ごと口に含んで唾液をたっぷり染み込ませる。 「はんぅーー」  有紀がまたちょっと違う反応を見せる。  嫌がる中にも、快感を求めてる感じが混ざっている。これはクリオナニーをやってるから? 有紀はクリの気持ち良さを知っているみたいだ。  皮の上から丁寧に優しくしつこく舐める。  そうすると有紀の反応がどんどん深くなっていく。 (やっぱり処女でもクリは感じるんだな)  守は納得しながら舐める。  皮の上からでもこれだけ感じるんだから直接は刺激が強すぎる。それに一度に全部やるのも良くないと考えた。  今日の目的は有紀にセックスの気持ち良さを知ってもらうこと、勉強以外にも目を向けてもらうことだ。  キスとクリの皮むきは有紀に彼氏ができたときのために取っておこうと守は思った。  そして有紀があえぎ疲れてぐったりするまでクンニを続けた。  十分すぎるほど有紀を感じさせてから守は大急ぎで服を脱いでいく。  有紀は疲れて動こうとしない。大きな胸を上下させながら激しく息をしている。 (それにしても大きいおっぱいだな)  守はパンツを脱ぎながら、あらためて思った。  寝てても大きさが良く分かる。激しく突いたらボヨンボヨン揺れて凄いことになりそうだ。  守が想像しているとエリが小声で話しかけてきた。 「守、これ」  横からエリがコンドームを差し出した。  守がコンドームをつけるのは二回目だ。  エリは最初から、麻美は二回目から着けずにやっている。その後も二人は着けろと言わない(むしろ生でやりたがる)ので、ほとんど生でしかやったことがない。  二回目だし、男のマナーだし、それほど戸惑うことなく装着できた。 (今日は慣れないことが多いな)  思わず苦笑してしまう。  そこへエリが近づいてきて守へ耳打ちした。 「さあ、もういいからガツンといきなさい。処女膜には神経が通ってないから破ること自体は痛くないの。十分濡らせばそれほど痛くないから」  本当か嘘か分からない話だ。  多分嘘だろうと守は思った。  制服を着せたまま挿入というのは妙に興奮する。女子高生とやってる実感が凄い。  ペニスを膣口に合わせると有紀が 「あっ」  と小さい声を出した。  疲れて動けないのか、覚悟を決めたのか逃げない。  守はほんの少しだけ先を入れてみた。  エリはガツンと言ったが、さすがに守は慎重に進んだ。  有紀は体が柔らかいが、穴まで柔らかい気がする。  エリとも麻美とも感触が違う。  人によって違うもんだなと思っていると、すぐに先が何かにぶつかった。 「んっ」  有紀が辛そうな声を出した。  守にもすぐ分かった。処女膜だ。  そこから守はさらに慎重になった。  硬くないけど強い弾力があるものに先を阻まれている。  1ミリ進んでは止まり、有紀の様子を確かめ、また1ミリ進む。  数ミリ単位の攻防が続く。  『三歩進んで、二歩下がる』のフレーズが守の頭の中で鳴った。  一秒間に一ミリ動くとして、三秒で三ミリ進んで二秒で二ミリ戻るとする。単純計算で五秒で一ミリ、十分で十二センチ進むことになる。  バカな考えを頭から振り払い、有紀の様子に注意する。  かなり辛そうだ。  膜は少しずつ少しずつ破れかけている感触というか予感がする。 (もう少しだから。あとちょっとだけ我慢して)  守は口に出さずに有紀を励ました。  早く終わらせてあげたい。守はほんの少しだけ力を強めてみた。  その瞬間、ふっと抵抗が消え、ペニスが奥へ進んだ。 「あっ」 「あっ……」  守と有紀の二人から声が出た。有紀にも破れた瞬間が分かったのだろう。  勢いでズブッと突き刺さりそうになるのを守は慌てて止めた。  破れた――。  生まれて初めて処女膜を破ったことに守は感動してしまった。  凄い達成感がある。  ほんの少しの間、守は感動の余韻に浸った。  処女膜を破っても守は一気に進まない。少しでも痛みが和らぐよう有紀を愛撫をしながら、それまでのペースを崩さない。  有紀は破る前ほどではないけど、辛そうな顔をしている。  そして長い時間かかってようやく一番奥まで到達した。挿入を始めてから十分どころではなく二十分近く時間がたっていた。 (全部入った……)  守は再び感動していた。  これが処女を奪う感動。  処女にこだわる人が居るのもうなずける。有紀を自分のモノにしたような気がしてくる。『やったー』と大声を出したい気分だ。時間をかけただけの価値がある。 「全部入ったよ。大丈夫? 痛くない?」 「少しだけ痛いですけど、大丈夫。我慢できます」  やせ我慢も見栄も何もなく有紀は正直に答えていた。  痛いけど我慢できないほどじゃない。重い生理痛のほうがよっぽど辛い。  それでも処女ではなくなったことに少なからず動揺していた。 「私の中、変じゃないですか」  思わず変なことを聞いてしまう。 「変じゃないよ。柔らかくて、とっても気持ち良いよ」  それを聞いて有紀は妙に安心した。  今日は自分の体が自分の体ではないみたいだった。  守に愛撫されて今まで経験したことないくらい感じてしまった。  自分で慰めたことがないわけではないけど、これほど自分の体が感じるとは考えてもみなかった。  体の中には男のモノが入っている。内臓を広げられて下腹部を占領された感じだ。  守は入れたまま動かない。それで体をやさしく撫でてくれる。二人の体が触れている部分が暖かい。  人はこんなに暖かいのだとあらためて思う。  それに守の体は硬いけど、それほど嫌じゃない。男はもっと気持ち悪いかと思っていただけに意外だった。  守が体を撫でてくれてるせいか少しずつ痛みが治まってきた。まだジンジンしているが、痛気持ち良い。  二時間前まで試験に落ちてどうしようもないほど落ち込んでいたのに、今は処女を失い体の中には男のモノが入ったまま。この激変に現実感が薄い。でも、体の奥にある鈍い痛みは現実だ。  急に恥ずかしくなってきた。  初めてのときの顔を守に見られた。自分の一番プライベートな部分を知られてしまった。  顔がほてってきた。頬が熱い。  守の目を見るのが恥ずかしいので口を見ていると無性にキスしたくなってきた。  セックスだけしてキスしないのはどうかと思う。  もう、ついでだ。 「キスしてください」  自然と口から言葉が出た。やけになってるわけではないのに言ってしまった。  手が自然に守の背中へ回る。  守が軽く唇を触れ合わせてきた。そのまま擦り合わせる。舌で唇を舐められる。  くすぐったいけど気持ち良い。口角もチロチロされる。 (この人、キスも優しい……)  唇を唇で挟まれる。上唇、下唇。キスは初めてだけどもの凄く丁寧に扱われているのが分かる。  自分でも知らないうちに唇が開いていて、守の舌が入ってきた。  口の中を舌で舐められてしまう。  上あごの裏のくすぐったいところを舌で愛撫されると、ゾクゾクしてどうして良いか分からなくなる。  鼻息がどんどん荒くなっていく。 (ダメ、息がかかっちゃう。興奮してるってバレちゃう)  そう思っても息を抑えられない。  ついに舌と舌が触れ合った。  ヌルヌルしてて気持ち良い。  キスがこんなに気持ち良いとは知らなかった。  今まで舌を絡ませるなんて汚いと思っていた。他人の唾が口の中にはいるなんて信じられない。ディープキスを何のためにやるのか不思議だった。  今は恋人同士がキスする理由が分かる。気持ち良いからだ。  エリという人が言っていた私が知らないってことを実感した。  もっとキスしたい。今ならこの人の唾液だって飲める。  そう思いながら舌を絡ませていたら、暖かいものが流れてきた。 (唾液だ……)  良く分からない。分からないけど飲みたい。  飲んでみた。  全然嫌じゃない。もっと欲しい。  せがむように守の舌を吸う。  また流れてきた。  なんか嬉しい。  守をきゅっと抱きしめる。 (こんな幸せもあったんだ)  有紀はキスに没頭していった。  守に抱きついていると胸がせつない。  何とかして欲しい。  なんでこの人は私の胸をほっておくの。男っておっぱいが好きなんでしょ。  男はいつもいやらしい目で私の胸を見る。  それが嫌で嫌でブラはできるだけ小さいのにして胸の大きさが目立たないよう気を付けていた。  触ってもいいのに……。触って欲しい。 「おっぱい吸ってください」  言うのはちょっとだけ恥ずかしくて勇気が必要だった。だけど、言ってみればたいしたことじゃなかった。  この人なら何でも言える。なんでもしてくれる気がする。  守が右の乳首に吸い付いてきた。  ツーンとした快感が胸から頭に響く。  もっと、もっとして欲しい。 「反対も」  今度は左の乳首を吸われる。  こっちもツーンとしてとても気持ち良い。  守はチュウチュウ乳首を吸ってる。 (赤ちゃんみたい)  胸の奥がキュンとした。  生まれて初めて胸が大きくて良かったと思えた。  これだけじゃ物足りない。 「ギュッて。おっぱいギュッてしてください」  言い終わらないうちに吸われてない方の乳房が力強く握られた。 「あん……」  少しだけ痛くて、その何倍も気持ち良い。 「あ……、気持ちいい……」  口から考えが漏れてしまう。 「両方。両方やって」  守が両方の乳房を潰すように握った。 「はんぅーー……、あぁーー……」  全身に電気が走る。  バカになりそうなほど気持ち良い。  もっと、もっと刺激が欲しい。  もっと気持ち良くなりたい。 「動いて。もっと欲しい」  守がゆっくりと動き始めた。  痛いっ。  痛いけど気持ち良い。痛いのが気持ち良い。  もっとして欲しい。もっと、もっと。全然足りない。  有紀は本能のまま下から腰を突き上げる。  イイ……。気持ちイイ……。これがセックスなんだ。こんなに気持ち良いんだ。  守が乳首から口を放して本格的なピストンに入った。  有紀の目の前に守の体がある。  キスしたい。キスしたくて仕方ない。  有紀は頭を持ち上げ守の首の付け根にキスした。  守がんんっと首をすくめた。  気持ち良いの?  何度も唇を押し付ける。  キスだけじゃ足りない。舐めちゃえ。  有紀は守の体をベロベロ舐める。  舌の届く範囲全部を舐めまくる。  もっと、もっと何かしたい。おっぱい押し付けちゃえ。  有紀は守の体に胸を押し付ける。  胸がこすれて痛気持ち良い。 (セックス、イイ。セックス気持ち良いよー)  有紀は感情が溢れて何かをしたいけど。何をどうして良いか分からない。  有紀はがむしゃらに守の体にキスをして、舐めて、胸をこすり、下から腰を突き上げた。  有紀がセックスに没頭していると、守のうめき声が聞こえた。  顔を見ると目を閉じて何かに耐えている。 (我慢してるの? あっ、ひょっとして射精しそうなの? 精液出すの? 妊娠しちゃうよ。あっ、そういえばコンドーム着けてた)  一瞬ドキッとしたが、すぐに落ち着いた。  すると、このがんばっている年上の男がかわいらしく思えてきた。  ギュッと抱きしめる。何か心地良い。 「出して良いですよ」 「んっ、ああ、分かった。出すよ。ちゃんとコンドーム着けてるから。大丈夫だから」  守がきつく抱きしめ、ズンズン突き上げてくる。  耳元では守の激しい息遣いが聞こえる。  そして一分も経たないうちに、 「んっ、んんっ。ん、んぅー……」  守の動きが止まり、低いうめき声が聞こえた。 (あっ、中でピクピクしてる。射精してるの?) 「ふんぅー…………、ふぅーー…………」  守が深く長く息を吐いた。 (やっぱり射精したんだ)  守が抱きしめてきて、さらに唇を奪われる。  ねっとりと舌を絡ませる。  ちょっと重くて、ちょっと息苦しい。だけど凄く求められてる気がする。 (セックスしちゃった……。大人の女になったんだ。初めてがこの人で良かった)  有紀はセックスをして本当に良かったと心の底から思った。  終わった後も守と有紀は抱き合ったままキスを続けていた。手脚を絡ませ熱愛カップルのような濃厚なキスだ。  その時、ドアの外で物音がした。 「ただいまー、誰も居ないのー」  麻美の声が聞こえる。  守は反射的に唇を放した。 「ちっ」  ベッドの側でエリが舌打ちした。  守はそれまでエリの存在すら忘れていた。  そしてドアが大きく開かれた。  守は固まって動けない。  有紀は事情が分からない。誰か知らない女の人が帰ってきたことだけ分かる。数時間前まで処女だった女子高生はどうすれば良いか分からない。  守同様固まって動けないでいた。 「えっ……、ええええぇーー」  麻美が部屋の中を見て大声で叫んだ。 「えっ、何? どうなってるの? なんで? この子誰?」 「うるさいわね。後で説明してあげるわよ」  エリが面倒なことになったと邪魔臭そうな声で答えた。 「今、説明して。なんで守君が知らない女の子と裸で抱き合ってるの。リコは何でそれ黙って見てるの」 「色々あるのよ。色々」 「色々ってなによ。説明しなさいよ」 「だから色々よ」  エリと麻美が言い争いをしているうちに守と有紀の二人は急いで服を着た。 「大学に受かったら、また来ます」 「うん、がんばってね」  有紀は玄関で別れの挨拶をした。 「最後に握手してもらえますか」 「いいよ」  守の手は暖かくて、少し硬かった。男の人の手だと思った。  有紀は後ろを振り返らず守達の家を出た。  体はまだ熱を持っている。そして、不思議と猛烈に勉強がしたかった。  有紀は国立二次募集を受けてみようと思った。まだ一ヶ月ある。がんばれそうな気がする。  そして、合格するような予感がしていた。 <第16章>  エリが麻美と同じ店で働き始めて少したったある日、守は麻美から相談を受けた。 「あのね、守君。私の店にね、美和って子がいるんだけど」  麻美が妙にくねりながら話しかけてきた。 「お断りします」  守は即座に断った。  こんな態度のときのお願いにろくなものはない。守じゃなくても誰でも分かる。 「その美和と一度でいいからエッチして欲しいの」  これは危ない話だとセンサーが強く反応している。 「いやいや、だからお断りしますって。もう新しい女の人はいらないです」  守の脳裏に女子高生の有紀のことが浮かんでいた。  有紀が帰った後、麻美の怒りは大変だった。  綺麗な女の人が怒るとそれは迫力があると守は初めて知った。  エリのエッチの順番を麻美に一回譲り、守が有紀以上にサービスするということで何とか話が収まった。  もうあんな騒動はこりごりだった。 「話くらい聞いてくれても良いじゃない。エリの言うことは聞けても私のお願いは聞けないの」  麻美がクネクネと体をすり寄せながら、耳の近くでちょっと色っぽい声を出してくる。  そう言われると守も弱い。 「聞くだけですよ。絶対にやりませんからね」  守はとりあえず話を聞いてみることにした。  美和は元々外資系企業で働いていた会社員だった。  それが何かをきっかけに男遊びを覚えてしまった。  悪い男と付き合ったりして職を変え、今は麻美と同じ店で働いている。店ではエリより半年先輩になる。  短いけど社会人経験があるせいか高めの年齢層に人気が有る。店内の麻美派閥の少ないメンバーの一人でもある。  その美和がホストにはまった。  ホスト分のツケは溜まっていくし、生活が乱れて遅刻が増え、成績も落ちてきてる。  それでホストと分かれさせるため、他にも良い男は居ると守が体で教えて欲しいということだ。  守としては他にも手があるんじゃないかという気がする。  どうしてすぐセックスに考えが行くのか分からない。 「その美和って人と、話し合えば良いじゃないですか」 「もう何を言っても聞かないのよ。そうなったら体で教えるしかないでしょ」 「どんな人なんですか」  やる気はないが、守としては少し気になる。 「年は私より一つ下で、うちの店で働いてるだけあってけっこう綺麗なの」  麻美が何気に自慢している。守は笑いそうなのを何とか抑えた。  その美和を一回だけ見てみたい気もするが、一度でも見てしまうとズルズル引きずり込まれてしまいそうだ。 「でも、やっぱりお断りします。エリさんに悪いですから」 「じゃあ、エリが良いって言えば良いのね。エリは私がOKをもらうから。良かったー。断られたらどうしようかと思ってたんだ。そうとなったら作戦を考えなきゃ。ちょっと待ってねスケジュールを確認するから。てちょー、てちょーおっと」  麻美ははしゃいだ声でそう言うと自分の部屋へ行ってしまった。 「あ、あの……、そうじゃなくて……。俺の気持ちは……」  守はがっくりときた。  麻美は人の話を聞かない人間だとあらためて認識させられた。  最初からきっぱりと何があっても断固断らないといけないのだった。  そう思っても、もう後の祭りだった。  麻美がどうやってエリを説得したかは分からないが結局守は一回だけ美和と寝ることになってしまった。  エリとしても同じ店の仲間だからというのもあるだろう。  それにエッチ何回分とかの裏取引もあったに違いない。  そして、三月上旬の土曜日、守が美和の相手をする日がやってきた。  守が美和に会うのはその日が初めて。写真も見せてもらっていないので全くの初対面だ。  夜、守が初めて美和を見たとき少し驚いてしまった。  エリと麻美で美人を見慣れている守でも綺麗だと思う美人さんだった。 (負けず嫌いで意志が強そう。それに眼鏡が似合いそう)  厳しい女教師? 女子アナ風? 違うな。希望に燃える未来のキャリアウーマンか。いや、それだと元外資系社員だからそのまんまだ。  守が会ったことがないタイプの人なので良い例えが思いつかない。  ケバ過ぎない程度の濃いメイク。夜の仕事らしいメイクだけど、そこに知性が見え隠れしている。  麻美が言うようになかなかの美人だ。  スタイルも良い。スラッとしてて、ウエストがキュッと締まってて、胸も柔らかそうにふくらんでいる。  体にフィットしたワンピースなので体のラインが良く分かる。  足首がキュッと締まってるのも良い。  髪は黒っぽい茶色でロング。半分から先がウェーブしている。  二十二歳とは思えない知的エロ。  んっ、ちょっと待て……。  エリと麻美は今年二十三歳のはずだから、その一つしたということは二十二歳。  二十二歳で大学を卒業したとしたら今は二十三歳のはず。大卒社会人としては計算が合わない。  守は不思議に思って横に居る麻美に耳打ちした。 「美和さんて二十二歳っておかしくないですか。大卒なら二十三歳なんじゃ」 「美和は飛び級で一年早くアメリカの大学を卒業してるから」  麻美が小声で答えた。 (えっ、何それ)  守は驚いた。  それって目茶苦茶頭が良いってこと?  アメリカの大学ってことは英語もペラペラのはず。  なんでそんな人がクラブで働いてるの。職業差別する気はないけど、もっと他に就職できたんじゃ。 (あっ、だから元外資系の会社なのか)  守はちょっと納得した。 (でも、そんな頭の良い人が男に騙されるか?)  そういえば頭の良い人ほど詐欺に引っかかると聞いたことがある。それと同じようなことか。  世間知らずで勉強ばかりしていた女の人が男に騙されて転落する。  美和の場合、単純で分かりやすいストーリーらしい。  今まで守はなぜ自分に白羽の矢が立ったのか分からなかった。美和と会ってみて少しだけモヤモヤが解消された。  今回の作戦は、そんなのOKする人が居るのというような内容だった。  守は麻美の従兄弟で最近ひどい振られかたをした。  それで、女性不信になってしまった。もう、心を病む寸前。  子供の頃から仲の良かった麻美は何とかしてやりたいが、親戚なので関係を持つわけにはいかない。  そこで、後輩の美和にセックスで女性の良さを教えてやって欲しいと頼むというものだ。 「それは無理があるでしょう」 「いいの。女はこのくらいドラマがあるほうがコロッとしちゃうの。母性本能に訴えるのよ」 「いやぁ、でも……」 「それなら守君は借金のかたに体を要求するような悪い男の振りができる?」 「それは無理ですけど……」 「じゃあ決まり。私に任せて。ばっちり上手くいくから」  こんな感じで決まって、信じられないことに美和が了承したというのだ。  交換条件として新規のお客さんを紹介するとか、美和が付き合ってるホストの店へ行ってボトルを入れるとか約束したらしいが、それにしてもどれだけ嘘が上手いんだと思う。  守は麻美の演技力に感心すると同時に、女性の怖さをまた一つ知ってしまった。 「手はずどおり最初は受身で美和に任せて、途中からは守君のテクで男の良さを教えてあげて。後は全部任せるから」  麻美に言われて作戦がスタートした。  今回は美和の希望でキスとフェラ無しでコンドーム装着が条件になっている。  この条件とは別に麻美からいくつか変わった策を授かっている。  その麻美は隣の部屋で待機。  エリは見たくも聞きたくもないと外出している。朝まで帰ってこない。  時間はたっぷりある。  守も美和もシャワー使用済み。  そして二人は裸でベッドの前で向き合った。  部屋は薄暗いので良く分からないけど、胸は思ったより小さい。服を着てるときに大きく見えたのはパッドを入れていたのだろう。  そうなると、胸にコンプレックスがありそうだ。  気を付けないといけないと守は記憶にとどめた。 (えっと、女性不信の男ってどう演技すればいいんだろう……)  とりあえず落ち込んでる振りをすればよいか。  守は最初受身に撤することにした。 (話を本当に信じてるのかな)  美和は意外と本気で愛撫してくれている。  表情は薄いけど、やる気はあるように見える。  最初優しく抱きしめられて、耳に熱い息をかけられた。  そのまま耳をカプッと甘噛みされ、唇で挟まれた。  守がゾクゾクしていると、唇は首筋へのキスを繰り返し、舌がチロチロくすぐってくる。 (テクニックを自慢してる?)  ちょっと違う。それにしては気持ちが入っている。  男の体に興味があるのか。  男の違いによって感じる場所にどういう違いがあるのか調べてるのか。  それもしっくりこない。  テクを磨く、愛撫の練習というのもちょっと違う気がする。  美和が何を考えているのか分からなくて、守は落ち着かない。  今まで何となく人の考えが判る気になっていたけど、その小さな自信が揺らいでいる。  守が考え込んでいる間にも美和の愛撫は続く。  唇は首から鎖骨を通って乳首へ舐め降りてきている。  外見からセックスは淡白なように見えるけど、意外と情が深い。  これはホストに仕込まれたのに違いない。男のツボを知ってる。  守は人のオンナだということも忘れて少しイラッとしてしまう。  こんなクール美人にエッチを仕込むなんて羨ましい、いや、なんてひどい男なんだ。  でも、美和の愛撫にはセックスが好きで好きで喜んでやってるという感じは伝わってこない。  淫乱というわけではないようだ。それで守は少し救われた気がした。  美和は乳首を舐めながらペニスやタマをやさしく撫でてきた。太もももさわさわ触ってくる。  いきなりしごいてこないのに守は好感を持った。  一通り撫でると、ゆるーくペニスをしごいてきた。ちょっと焦らし気味なのが良い。  イライラしない程度のちょうど良い焦らし加減だ。  乳首の舐め方も変化をつけている。舌先でほじったり、乳首をはじいたり、吸ったり舐めたり色々な感じで楽しませてくれる。  体もぴったり寄り添っているので全身で女性の体の柔らかさを堪能できる。つつましい胸も押し付けてきている。  一生懸命で真面目な性格が現れている。  守が少し危ないかなと思い始めた頃、美和は乳首舐め&手コキを終えて舌を移動させた。  お腹や脇腹を何度か往復した後、脚の付け根をくすぐってから、太ももへ移動した。  そこもやけに丁寧な舌使いで、このままでは足の先まで行きそうな雰囲気だ。  美和はこの男性上位的な奉仕が当たり前だと教え込まされてるのかもしれない。  潜在的に女性に対するあこがれや尊敬、畏怖を持っている守としては、照れくさいと同時にくやしい。  セックスはもっと男女同権のはず。お互いに気持ち良くならないと心から楽しめない。 (そろそろこっちからやってみよう) 「俺にもやらせてもらえますか」  一応設定を考えて、おずおずと切り出してみた。  美和は何も言わず愛撫をやめて、ベッドの上で仰向けになった。  設定上いきなり全開で愛撫というのもおかしいので、最初はおどおどした感じで、だけど美和以上にしつこく、丁寧に、優しい愛撫をすることにした。  キスはNGなので遠慮がちに体を触るところから始める。  女性の体は慣れてないんだよという風を装いアピールする。  何も考えないで触るわけではない。密かに性感帯を探しながら体中を撫でる。  エリと麻美で基本は分かっているのであとは個人ごとの応用だ。  スリムな人にも細かい違いがあるんだと守は思った。  麻美は典型的なスリム体系で華奢な感じ、エリは筋肉質というか締まった感じで豹とか猫系の動物を連想させる。  それに対して美和はスリムなのに柔らかい。この前相手をした女子高生の有紀を柔らかさはそのままで細くした感じだ。  守はぎこちない手付きの振りをしながら感じるポイントを的確に刺激していく。  経験の少ない男が手当たり次第に触りまくるのを装う。  そのうち表情の無かった美和の顔に変化が現れてきた。  とまどってる感じだ。  下手っぽいのに感じるのが不思議なんだろう。  もう少し誤解してもらったままにしておこうと守は焦らずにじっくりと愛撫を続ける。  美和の体が微妙にくねりだして、体温が上がってきている。  守は二ヵ所同時攻撃へ移った。  童貞みたいに乳首を必死に吸って、そこへ意識をひきつけながら、同時に太ももの内側の性感帯を的確に刺激する。  そうかと思うと胸をねちっこく揉みながら、脇腹近くのくすぐったいけど感じるところをチロチロ舐めたりする。  はぁー、はぁー、はぁー……。  美和の息が熱くなっていく。  眉や頬の筋肉がヒクヒクしている。  ちょっときつい感じの美和が快感に耐えている顔は何か来るものがある。  口が少し開いてる。  エロ賢い可愛いさだ。  守は無性にキスしたいけど我慢する。 「美和さんの顔、とても可愛いです」  そう言うと美和がはずかしそうな素振りを見せた。  守としては別にお世辞を言ってるわけではない。  思ったことをそのまま口に出してるだけだ。 「気持ち良いですか。もっといっぱい気持ち良くなってください」  相手が感じてくれると嬉しい。守としては責められるより、責めるほうが性に合ってる。  そして三ヵ所同時攻撃へと移る。  腋の下近くの敏感すぎるところのギリギリ近くを舌で攻撃しながら、左手で乳首と乳輪を一緒にグニグニこねる。右手は脚の付け根の柔らかくて感じるところをサワサワ撫でる。 「んっ……、はぁ……、あ……、んぅ……」  美和が感じている。守の設定のことを忘れて、セックスに没頭し始めているように見える。  下ごしらえはこれで十分。後は一気に感じさせれば良い。  感じ始めたら全開で、考える暇を与えずに一気にいく。  守は本格的な愛撫へ入った。  遠慮なく感じるポイントをどんどん責めていく。  守が美和の秘所へ手を伸ばすと、ヌルヌルしたものが溢れてきている。  すぐにイカないように気をつけながら、ぬめりを指にまぶして秘裂に沿って指を動かす。  今までに相手をした三人の体を思い出し、反応をよく見ながら美和の快感を盛り上げていく。 (うー、なんかおかしい?)  続けるうちに守は違和感を覚えた。  美和はハァハァと明らかに感じている様子だけど反応がおかしい気がする。  今までのパターンと違う。守のセンサーが異常を検出していた。  今は純粋に気持ち良いのを過ぎて、じれったさを感じる段階のはず。  エリや麻美の場合、焦らされること自体は好きではない。後でより大きな快感が来ることを知っているから仕方なく我慢する。だけど、どうしてもじれったさやイライラが表情の端や体の動きに現れる。  それが美和の場合、焦らされること自体を喜んでるみたいに思える。  エリや麻美のときに現れるかすかなマイナスの感情が見えない。  まるでイジメられるのを喜んでるみたい。  喜んでる……。マゾっぽい……。マゾ?  守はハッとして、一瞬動きが止まった。 (そうか、この人にはMの気質があるのかも)  モヤモヤしたものが晴れて、雲の間から日が差した気持ちになった。  そう考えると美和の行動や反応が腑に落ちる。  生まれつきのものなのか、ホストに目覚めさせられたのか分からないが、きっとそうなのだろう。  だからひどい男と付き合うのか。  レベルの低い男に貢ぐ自分、堕ちていく自分に酔ってる。  男に屈辱的な奉仕をすることで倒錯的な気持ちになるのだ。  今も責められることで自分を悲劇のヒロイン的に思っている。  破滅願望もありそうだ。  守は考えているうちにどんどん自分の考えが正しい気がしてきた。  しかし、分かったからといっても、すぐには策が見つからない。  そんな人実際に会ったことはない。守にとって別世界の空想上の生き物に等しい。  Mの人っていってもおそらく色々なタイプの人が居るはず。  ここから先は未知の世界。今以上に集中して美和の反応に注意する。そして、反応に的確に対応するしかない。 (よし、もうどんな些細な反応も見逃さないぞ)  守は気を引き締めた。  イジメるセックスが良いのか?  初めてのパターンで良く分からない。反応を良く見ながら色々試していくしかない。トライ&エラーだ。  焦らし続けても嫌がってないのは確実だ。 (こうなったらこの人の限界まで焦らしてみる。美和が今までに体験した焦らしを超えた超焦らしをやってみよう。言葉も使ったほうがいいのかな)  守の頭に言葉責めの単語がいくつか思い浮かんだ。軽いところから始めてみる。 「ここ感じますか」  守がクリを優しく撫でながら聞いてみる。  美和の腰がうねっているから感じているのは間違いない。 「…………」  美和は答えない。 「正直に教えてください。答えないなら止めちゃいますよ。ほら、ここはどうですか」 「んっ…………、い、いい……」  美和が聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で答える。 「じゃあ、もっとやってあげますね。いっぱい気持ち良くなってください」 「――はい」  また、とても小さな声だ。 「でもイッたらダメですよ。簡単にはイカせませんから、もっと楽しんでください」 「あっ、あっ、あっ、ん、んっ、んん、はぅっ、ん、んくぅ……」 「ちゃんと返事してください。イカずに感じるんですよ」 「はい……」 「もっと、大きな声で」 「は、はいっ」  美和の声が少し大きくなった。 「もっと」  守は自分で気付かないうちに会話に乗ってきていた。 (この子、絶対女に慣れてる。それに、オンナの体が分かってる)  美和は不信に思いながらも、感じる体を押さえ切れなかった。  次から次へと体の底から快感が湧いてくる。  気持ち良くて、せつなくて、全身に弱い電気を流されたみたいだし、じれったいし、訳が分からなくなりつつある。  こんなの久しぶり、いや初めてかもしれない。  おかしい、何か騙されてる……。  いや、そんなことどうでもいい。もっと感じたい。凄い。  今のカレはそれなりのテクはあるけど一方的なセックスだ。  オンナを感じさせるのはそれを見て自分が楽しむため。私を喜ばせるためじゃない。  でも、この子は違う。私を感じさせようと一生懸命になってる。  ホストと付き合うより昔に一度だけ経験したことがある心の底から震えるようなセックス。  エッチが好きになったきっかけ。  この子のセックスはそれに近い。あの時は体の全てを知られてる気になったけど、今は頭の中を全て知られてる感じ。  やって欲しいことを全部やってくれる。 「もっといっぱい感じてください」  言葉にオンナをモノ扱いしてる感じが全然ない。  この子の言葉はなぜか心に染み入ってくる。  なぜ、やさしい言葉を掛けてくるの。  なんでこんなに気持ち良いの。  体中が性感帯になり、触られるところ全てが感じる。  カレのやり方が無理やり女を感じさせるものだとすると、守は体の芯から感じさせてくれる。 「もっともっと感じてください。今までで一番感じてください」 (ダメ、本気で感じちゃう。本気になっちゃう……)  美和は自分の体を抑えられなくなっていた。 「バンザイしてください」  美和がぐったりしたところで守は言った。  美和は大きく息をしながらのろのろと両手を頭の上へやった。  すかさず守はベッド近くに用意してあった拘束用テープで手首同士を固定した。  事前に練習してきたので戸惑わずに手首拘束が完了する。 (えっ、やだ、何? なんで)  美和は混乱したが守が手を押さえているので下ろせない。  これは麻美の作戦だった。  守は最初理由が分からなかった。美和が暴れたとき用だと思っていた。  美和が感じ始めたら手を縛っちゃいなさいと言われていた。  麻美は美和のマゾ性を見抜いていたのか。守は感心してしまう。  守としては女性を縛るなんて初めてだ。  このテープは粘着力ではなくて摩擦力で動けなくする肌に優しい優れものらしい。 「すみません。このほうが絶対感じますから」  美和は暴れるが守の雰囲気とは似合わない力の強さに逃げられない。  さらに守はリモコンで電灯のスイッチを入れた。 「あっ」  突然の明かりに美和が驚く。  この部屋の電灯は贅沢で面倒くさがりの麻美らしくリモコン付きLED電灯になっている。  贅沢が意外なところで役に立ったと守は一瞬苦笑してしまう。 「美和さんの裸をじっくり見させてください」 「やっ、見ないで」  美和は裸を隠そうとするが守の力は強い。全然隠せない。顔を背けるのが精一杯だ。 「綺麗です。今まで見た中で一番綺麗です」  美和の頭に血が上る。顔がほてる。 (私、絶対、変な顔になっている)  美和は耐えることしか出来ない。 「スリムなのに柔らかくてとっても良いです」 (いや、いや、それ以上言わないで)  年下の男に全部見られる。その屈辱、恥ずかしさは言葉に出来ない。  頭がおかしくなりそうだ。 「胸は小さめだけど、形が良いし、敏感なのが最高です」 (あーっ、見られてる、おっぱいも見られてる)  小さくて気にしている胸のことを言われて、美和は死にそうなくらい恥ずかしい。  興奮しすぎて頭がくらくらする。 「もっと感じてる顔見せてください。とても綺麗です」 (やめて、いや、見ないで、許して、お願い)  心臓が信じられないほどドクンドクン脈打っている。  体中が熱い。  守が美和の脚をこじ開けて、合わせ目に手をやった。 (いやぁーーーーー)  愛液をすくい取られる。  そのまま守が動かない。  美和がチラッと守を見ると、守が濡れている指の匂いを嗅ぎ、ぺろっと舐めるところだった。 (いやぁーーー、やめてぇーーー)  美和は気を失いそうだった。  これまで生きてきてこれほど恥ずかしい思いをしたことが無い。  普通にクンニされるのの何倍も恥ずかしい。  守が何も言わないのが、さらに恥ずかしさを倍増させる。  美和は目に涙をにじませる。  守はさらに腋の下へ鼻を近づけて匂いを嗅いできた。  美和の頭から血の気が引いた。貧血のときみたいに音を立てて血が下がっていく。  頭の中が冷たくなる。 「ここも綺麗ですね」  そう言って守は腋の下にキスした。 「んんんんんぅっーーー」  美和が体を猛烈に暴れさせるが、守は片手で美和の手を押さえたまま、もう片方の手で美和の体を抱き口を離さない。  チュッチュッとキスしたり、チロチロ舐めたり、吸ったり思いつくまま苛めてくる。 「んぅー、んんぅー、ふんんんぅー」  美和は歯を食いしばりうなり声をあげるが、守は意に介さずたんたんと腋の下を責める。  そして、美和が暴れ疲れるとようやく口を離した。  そこで守は美和をうつぶせにした。  心身ともに疲れ果てた美和に抵抗する気力は残っていない。 「背中も綺麗ですね。滑らかで手触りが良いです。きちんとお肌の手入れをしてますね」  守が背中を撫でながら言う。  美和は半分放心状態で守の言葉が耳を通り過ぎていく。 「お尻もキュッとしてて最高です」  守がお尻を撫で、やわやわと軽く揉む。  そして、信じられないことにお尻の肉を左右に開いてしまった。 (見られた……。全部、見られた……。お尻まで……)  美和が呆然としていると、お尻の穴に温かい物が触れた。  美和が全身を硬直させる。  守の唇だった。 「やめて……。そこは汚いから……」  美和の声に力はない。 「汚くないですよ。ここも可愛いです」  そう言って守はキスを繰り返し、ペロペロ舐める。 「許して……、そこは初めてなの……」 「安心してください。舐めるだけです。舐められるのも初めてですか。変な感じだけど気持ち良いでしょ」  守は優しく、丁寧にお尻の穴を舐める。 (そんなとこまで……、汚いのに…………。でも、気持ちいい……)  美和は恥ずかしさを通り越して何も考えられない。  そこへ、お尻の今まで体験したことの無い変わった感覚が流れ込んでくる。  恥ずかしさの混ざった、甘酸っぱいというか、体が震えるような気持ち良さだった。 (こんなの初めて……)  美和はいつの間にかお尻に感覚を集中して、そこからの感覚を噛み締めていた。  美和のお尻を堪能した守は美和を横向けにし、クンニを始めていた。  ヒダの一枚一枚を丁寧に愛撫する優しい舌使いだ。  美和はお尻を解放されてほっとすると同時に優しい快感に浸っていた。すると、目の前に守の硬くなったペニスがあった。 (おちんちん…………)  咥えたい。私も気持ち良くしてあげたい。口でこの子の物を確かめたい。 「お口でさせてください」  想いが自然と口から出た。 「今日はフェラ無しじゃ」 「いいの」  美和は守の返事を待たず、ゆっくりとペニスを咥えた。 (熱い。プリプリしてる)  美和が舌で亀頭を撫で回すと、ペニスが一回り大きくなったように感じた。 (おっきくなった。感じてくれてる)  美和は嬉しくなりさらに気持ちを入れてフェラをする。  不思議なことにフェラをすると守の舌が余計に気持ち良くなる。  それほど大きくないけど、これが入ってくることを考えるとお腹の奥がじゅんと潤んでしまう。  カレは最近ほとんど口じゃしてくれない。  するとしても唾で濡らすためだ。  それに比べて守はしつこいほど丹念にクンニしてくれる。  そんなに優しくされたら、本気になっちゃう。  こんな男、全然タイプじゃないのに。  もっとカッコイイ男が好きなのに……。  美和はシックスナインに没頭していった。 (もっとしたい。もっとフェラしたい。もっと気持ち良くしてあげたい。もっと。もっと)  手が使えないのがもどかしい。 「手、ほどいて」 「えっ」 「暴れないから」  美和の真剣な声に、守は一瞬だけ迷ったが美和の手の拘束を外した。  ほどかれるとすぐに美和は守へ抱きついた。息が苦しくなるほどの強さだ。  守は押し倒され、美和にキスされた。  中学生男子のような乱暴なキスだ。  美和は唇だけでは足りずに守の顔中にキスをする。  さらに、体でペニスをグイグイ押してくる。 「欲しい。これ欲しいの。お願い、来て。早く早く。もう我慢できない」 「ちょっと待って、すぐ着けますから」  美和の迫力に恐れをなした守は急いでコンドームを付けようとする。 「いいから、ピル飲んでるから。大丈夫だから。来て、早く来て」  美和が仰向けになり、片手でペニスを掴みながら、感情のこもった目で訴える。 (くそぅ、ピルまで飲ませてやりたい放題か)  守が自分のことを棚にあげてホストに怒りを覚える。  だがすぐに気持ちを切り替えて美和と向き合った。  ペニスの先で入り口やクリをこすってさらに焦らす。 「欲しいですか」 「欲しい……。入れて……、お願い。欲しいの。早く、早くオチンチン入れて」  美和の表情は切羽詰っている。本当に我慢の限界が来ていると守は感じた。  そこで最後の駄目押しをする。 「美和さんみたいに素敵な人が下品な言葉を使ったらダメですよ。もっと可愛くおねだりしてください」 「私の女の子に男の子を入れて気持ち良くしてください」  美和が間髪入れずに答える。 「よくできました」  守はそう言いながら、ニュププププと美和の中へ入っていった。 (来たっ。入ってきた)  美和が喜びに震える。 (す、凄い……。分かる。出っ張りが中を広げてる。意識が飛びそう)  さんざん焦らされたから入れられただけで凄く感じてしまう。 (あぁ、体が喜んでる)  守は入れてからも、あせらない。じっくり確認するように動く。 「あ……、あ……、あぁ……」  美和は感じすぎてかすれた声しか出ない。  自分の体がこんなに感じるとは知らなかった。  ヒダをこすられるたびに声が震えてしまう。 (なんでこんなに感じるの。普通のオチンチンなのに)  美和は不思議で仕方が無い。  守は他の男と違って焦って動いたりしない。ゆっくりしたペースでさらに焦らしてくる。  信じられないほどの忍耐力だ。  どれだけ我慢強いの  もっと激しく。強く。もっとガンガンして。奥まで突いて。  壊れるくらい。もっと。もっと……。  この男の物が欲しい。中に欲しい。中に熱いのいっぱい欲しい。出して、早く出して。  美和が心の中で叫んでいると、守のペースが少しずつ上がってきた。  一番奥にコツンコツンと当たり始める。 「すっ……、すご、凄いの……、おかしくなる……」  奥に当たるたびに美和のまぶたの裏に火花が飛ぶ。  全身にビリビリ電気が流れる。  頭の中が快感で染められていく。 「あっ、イク。イキそう」  美和が短くつぶやいた。  これほど短時間でイキそうになるのは初めてだ。信じられないくらい感じる。  その直後大きな快感の波が美和を襲った。 「んっんんぅ、んふぅ」  小さくて低いうめき声を出し、美和が絶頂に達した。  ビクッ、ビクッと短く鋭く体を振るわせる。  美和がイクと、守は体力にまかせて突いてきた。 「だ、だ……、ま……、――ってる、の、あっ」  美和は息が詰まって、まともにしゃべれない。  守は美和へ覆いかぶさりひたすら突く。 「あっあっあっあっあっ」  突かれる度に肺から空気が押し出されていく。  カレとは比べ物にならない体力。  夜の不規則な生活をしているホストと工場勤務で重い物を持つ事が多い守とは比べ物にならなかった。  美和はガンガン突き上げられ、何度も何度もイカされる。 「感じてる顔、もっと良く見せて」 「だめっ、恥ずかし……」 「綺麗です。とっても綺麗です」  守がキスしてきた。  美和は一生懸命その舌を吸う。  キスしながら突かれるのがとても良い。  キスが終わると今度は耳をしゃぶってきた。 「みみぃー、耳ダメェー」 「力を抜いて、受け入れて」 「怖い。怖いの」 「大丈夫、俺に任せて」  耳をしゃぶられると、どうしてよいか分からない感覚が全身に広がる。  美和は自分でも気付かないうちに涙を流していた。  化粧が流れてしまっているが、美和は気付かない。 「美和さんの中、とっても気持ち良いです」 「いいっ、いいの、いい、すごいっ」  耳をしゃぶられながらガンガン突かれる。  大きな波が何度も体の中を上ってくる。  その波が引かないうちに次の波がやってくる。  もうどのくらいイッたか、どのくらい時間が経ったか分からない。  意識が朦朧としている。 「そろそろ、いきますよ」  守が苦しそうな声で言った。声がとても遠くに聞こえる。 「来て……、早く……」  守がラストスパートに入る。  美和は体を大きく揺さぶられる。体が分解してしまいそうだ。 「死ぬ……、しん、じゃ、う…………、もう……」 「んんっ……」  美和が限界を超えようとした時、守がくぐもった声でうめいた。  きつく抱きしめられたまま、体の一番深いところで熱い物が広がっていく。  美和の中で守がビクンビクンとしているのが分かる。 (出てる……。あったかいのが出てる……)  ふぅー、ふぅー、ふぅー……。  耳元で守の激しい鼻息が聞こえる。 (終わった……。すごかった……)  疲れきり、体力を出し尽くした美和は安堵感、虚脱感で意識がかすれていった。  しばらくして美和が目を覚ますと、守が腕枕をしてくれていた。  守は目を閉じて、うとうとしている。 (こんな普通の子が、あんなにセックスがうまいなんて……)  ホストが優しかったのは最初だけだった。腕枕も最近はしてくれない。  こんなにセックスが上手いのに振られたなんて本当だろうか。  そんなことはどうでも良い。  あんなセックスされたら、もう離れられない。  そう思いながら美和は再び眠りに付いた。  翌朝美和が起きると、側に守と麻美が居た。  そこで麻美から全てを打ち明けられた。 「――ということで、守君に一肌脱いでもらったの」 「そうだったんですか、おかげで目が覚めました。素敵な男の人を紹介してもらって、ありがとうございます」  美和が晴れ晴れとした顔で言った。 「はぁ?、何言ってるの」 「私に守さんと付き合えって事ですよね」 「違うわよ。守君は私の男なの。男を見る目が無い美和に、ほんとに良い男ってどんなものか教えてあげただけよ。十分分かったでしょ。これでおしまい」 「麻美さんとエリさんは同じ男の人と付き合ってるって言ってましたよね。それは、守さんの事だったんですよね」 「分かったんなら、守君はあきらめて、他のまともな男を捜しなさい。」 「二人も三人も同じじゃないですか、私も混ぜてください」 「そんなバカな話聞けるわけ無いでしょ。定員は2名で、もういっぱいなの。これ以上増やしたら私の分がなくなっちゃうでしょ」 「でも決めるのは守さんですよね」  美和は守の方を向いた。 「守さん。私ならいっぱい甘やかしてあげるし、何でもしてあげますよー。二人で一緒に住みましょう。それとも私がここに来たほうが良いかな」 「何言ってるの。あなた人の話聞いてる」  麻美の声がイラついている。  麻美以上に人の話を聞かない美和に守はあきれてしまう。  二人の口喧嘩が続いて、守が困っている所にエリが帰ってきた。 「まだやってるの。で、どうなった?」 「エリさん、私はいつここに引っ越してくれば良いですか」 「な、な、な、何、言ってるの、この子。頭おかしいんじゃない」 「美和が自分も仲間に入れろと言ってるのよ」 「そんな事できるわけ無いでしょ。さっさと帰って」 「仕方ないですね。じゃあ、守さん私の家へ行きましょう。荷物は後で引越し屋さんにでも頼みましょう」  美和が守の手を掴んで立ち上がろうとする。 「あんた、いい加減にしなさいよ」  エリが怒りをたっぷりはらんだ声で言う。 「あ、暴力ですか。いいですよ。私、多少武道の心得がありますから」  美和は落ち着いた口調で言い返す。 「ちょっと、麻美、何とか言いなさいよ。そもそも麻美が変な計画考えるからいけないんでしょ」 「仕方ないじゃない、可愛い後輩が間違った道に行ってたんだから」 「じゃあ、あんたが責任とって何とかしなさいよ」 「エリにとっても同じ店で働く同僚でしょ。それに店では美和のほうが先輩よ」 「あっ、私は明るくても寝られるたちなので、リビングでいいですから」 「あんたに聞いてない」  エリがどなる。  三人の喧嘩はいつまでも終わらない。守はため息をつきながら、朝ご飯の準備を始めた。 <最終章> 「もう出そうなの。早すぎ」  エリが守の右足にまたがりペニスに顔を付けたまま言った。 「あんたの欠点は早いことなんだから。もっと我慢しなさい。全然進歩しないじゃない」 「そうそう、守君はもっと我慢してくれないと私達が楽しめないでしょ」  同じように左足にまたがっておしゃぶりをしている麻美が合わせた。 「私はまだですか」  後ろから抱きつき片手で守の顔を後ろに捻じ曲げて唇を奪っていた美和が言った。 「あんたは一番最後だっていつも言ってるでしょ」  エリが邪魔くさそうに答える。 (俺の気持ちは……)  三人がかりで責められている守は心の中で溜息をついた。  週末は毎週のように美和が押しかけてきて4Pになる。  美和としたら毎日でも来たい所だが、それはエリと麻美にきつく禁じられている。  エッチの順番はいつも一番最後だし、来るたびに嫌味を言われるが美和はめげない。  きっちり守のペニスを味わってから帰る。 「今日は私からよね」  今日の順番のエリがペニスを握り自ら入れようとする。 「たまには私からにしてください」と美和。 「あんた、ほんとにずうずうしいのよ。最後っていつも言ってるでしょ。私とエリが満足して、それでも守に元気が残ってたらあんたの番よ」とエリ。 「嫌なら帰っても良いのよ」と麻美。  エリと麻美にいくら邪険に扱われてもめげない美和は凄いと守は感心する。 「守さーん、私先月お店の順位は五番だったんですよ。もうすぐ麻美さん、エリさんに追いつきますから。三位になったらご褒美くださいね」  美和はこれまでホストに貢ぐお金欲しさに少々強引な営業をしたり余裕が無い接客だった。  それがホストと別れたことで、心にゆとりが生まれ。評判が徐々に上がってきている。良い方向へ進みつつあった。 (ほんとにめげない人だなあ)  帰国子女だけある。この精神力のタフさは少し見習いたいと守は思う。 『ピーンポーン』  エリがあらためて守のペニスを頂こうとしたとき、ドアホンのチャイムが鳴った。 『ピンポン、ピンポン、ピンポーン』  続けて何度も鳴らされる。 「誰よ、近所迷惑ね。美和見てきて」  これはさすがに自分の役目だと美和が急いで服を身に付け、エリの部屋を出て行った。 「…………あっ、そうなんですか」  美和がドアホン・モニタで訪問者と会話をしている声が漏れてくる。  その美和が戻ってきて告げた。 「守さん、有希っていう知らない女の子が守さんに会いに来たって」 「あっ」 「あっ」  エリと守が同時に声を上げた。 「有紀って誰?」  麻美が尋ねる。 「そのぉ、あれよ、あれ。そんなことより、美和、断った?」  エリがしどろもどろになりながら言った。 「すいません、オートロック解除しちゃいました」  美和がしれっと答える。  わざとだな。守は思った。 「バカっ、状況見たら分かるでしょ。断りなさいよ」 「だから有紀って誰よ」  麻美が口を挟む。 「あとで説明してあげるわよ」 「今、説明しなさいよ」 『ピーンポーン』  さっきの音と違うチャイムが鳴った。今度は玄関のチャイムだ。 「はーい」  美和が嬉しそうに玄関へ向かう。  美和は何か揉め事が起こりそうなのでワクワクしている。 「待ちなさい」  エリが止めようとするが、裸なので追いかけられない。  玄関のほうで物音がして、その音がだんだん部屋へと近づいてきた。 「…………」  部屋の中を見た有紀は数秒間固まった。  ベッドの上で裸で横たわる守。  その上で今にも挿入しそうなエリ。  その横で自分のほうを睨む、一度見たことのある女性。この人も裸だ。  そして、ドアを開けてくれた知らない女性。  普通の女子高生ならパニックになるところだけど、覚悟を決めて来ていた有紀は強かった。 「守さん、合格しましたー」  そう言うと、他の女性を無視して全裸の守に抱き付いた。 「あぁ、そう、そうなの。おめでとう」 「ありがとうございます。守さんのおかげです」 「いや、俺は何もしてないから」  この異様な状況にひるまないのが凄い。  守は感心してしまう。  ちょっと前まで死にたいのどうのと言っていた女の子と同じ人間とは思えない。 「合格したら、会いに行くって言ったじゃないですか。御褒美ください」 「あっ、思い出した。あなた、あの時の子ね。エリっ、美和の時にさんざん人を責めといて、自分のほうこそ何よ」  麻美が声をあげた。 「仕方ないでしょ、あの時は今にも自殺しそうだったんだから、ほっとけないでしょ」 「他にやり方があるじゃない」  エリと麻美が言い合いをしている隙に有紀が守にキスしようとする。 「あなた誰だか知らないけど、あなたは私の後よ」  それまで面白そうに見ていた美和が慌てて有紀を引っ張って止めた。 「どうしてですか。私は守さんの三人目の女だって聞いてますけど」 「違うわ、私が三人目よ」 「じゃあ守さんと知り合ったのいつですか、私は二月ですけど」 「私は二十二だけど、あなたは何歳?」 「あっ、ごまかしましたね。ということは私のほうが先に知り合ってセックスしたってことですね。ということで優先権は私にありますので」 「待ちなさいよ。先に知り合ったほうに優先権があるって誰が決めたの。どちらが女として、人間として優れているかの問題でしょ。あなたは学生ね。セックスなんかしてないで、もっと勉強をがんばりなさい」 「失礼ですけど年齢的には私のほうが似合ってると思います」 「年齢順だと私が先ね」  エリと麻美の気が強い物同士の喧嘩。  有紀と美和の頭が良い者同士の喧嘩。 (ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ……。どうすれば良いんだ)  エリと麻美の相手だけでも大変なのに、そこへ美和が加わり、さらに有紀まで加わると、もう自分の許容範囲を超えている。 (無理、絶対無理)  守はどうやってこの状況から逃げ出そうか、それだけを考えていた。 <完> <あとがき>  連載開始から約二年半でようやく終わりです。  この話は元々五、六章くらいの中篇で終わらせる予定でした。  それが予想外に話が長くなり、最後は駆け足気味になってと、ややグダグダです。  本当にすみません。  今後は外伝を二、三編書くつもりです。気長にお待ちください。  それでは今まで御愛読ありがとうございました。  他の作品も読んでいただけると幸いです。 動画 アダルト動画 ライブチャット