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以心伝心:第14章

 三人での生活も一ヶ月以上が過ぎて、ようやく安定してきていた。
 守は体が慣れてきたのか、不規則な生活ながら家事、仕事、毎日のセックスをなんとかこなしていた。
 エリと麻美も仕事にセックスと毎日充実した日々を過ごしていた。
 一見落ち着いた日々を過ごしながらもエリには悩みと目標があった。
 悩みはどうやって麻美を追い払うかであり、目標はさっさとお金を溜めて守と東京を出ることだ。
 東京なんかに居たら、守にいつ新しい女が出来ても不思議ではない。
 麻美を含めた三人の生活なんていつまでも続けられない。いつかは終わりが来る。
 今は都心に住んでいるので三人で暮らしていても近所の目があまり気にならない。都会の無関心さゆえだ。
 しかし、一生三人というわけにはいかない。こんな仕事をしていても将来子供が欲しくなるかもしれない。その時、三人ではまずい。
 麻美は守を譲る気は無さそうだ。守にどちらか選べといっても、守は選べないだろう。どうしたものか。
 それでエリは考えた。『駆け落ち』しかない。親戚とほとんど付き合いの無い二人に反対する人間は麻美しかいないので、駆け落ちという言葉はおかしいかもしれないが駆け落ちは駆け落ちだ。
 どうするにしろ、とりあえずはお金だ。お金が無い事にはどうにもならない
 麻美よりお金を溜める事が先決だ。
 お金を溜めて都会を離れ、どこかで守と二人で仲良く暮らすのだ。
 その日のために、今は早くお金を溜めようと無駄遣いをやめて貯金を始めている。当面の目標は一千万円。それだけあれば、つつましく暮らせば守と二人で数年は生活できる。
 数年あれば、新しい仕事も決まるだろう。

 そんなエリはある日麻美とケンカをしてしまった。
 きっかけはささいなことで、思い出せないくらいつまらないものだった。
 それがテレビのチャンネル争いや、化粧品を勝手に使ったとかいうことに飛び火して、大きくなる。
 これまで溜まったストレスや不満が爆発した形だ。
 運悪く守が居なかったこともあり、二人ともヒートアップしてしまいお互いに引くに引けなくなった。
 普段ならこんな大げさになる前に守が止めてくれるのだが、守が帰ってきたのは二人の興奮がピークに達した時だった。
 こうなると、守でも簡単には二人を抑えられない。
 そして、熱くなりすぎた麻美が言ってはいけない一言を言ってしまう。
「リコみたいに毎日他の男のチンコ咥えてる女と一緒にしないでよ」
「あんただって、毎日お客とキスしてるくせに」
 エリも売り言葉に買い言葉で余計な事を言ってしまう。
 すぐに二人ともまずいと思ったが後の祭りで、守は二人の言葉を聞いてしまっていた。
 エリと麻美が恐る恐る守を見ると、守は完全に落ち込んでしまっている。
 こうなると二人ともケンカどころではなかった。

 守としては考えないようにしていることだった。
 風俗や水商売で働いている人を差別する気は無い。自分よりたくさん稼ぐ二人を純粋に凄いと思っている。それに、自分がエリと出会ったのはそもそも客として店へ行ったからだ。
 その自分がエリを責めるのはおかしい。
 理性では分かっている。しかし、感情となると別だった。
 エリは帰ると必ずすぐにシャワーを浴び、仕事の匂いを消す。
 それがエリの気遣いだと分かっていても、守に嫌でもエリの仕事の事を思い起こさせる。
 さらに守に追い討ちを掛けたのは麻美のことだ。
 麻美が働いてるような店へ行ったことがない守は店員がお客とキスしてるなんて知らなかった。麻美が働いているのはちょっと高級なところと聞いていたのでなおさらだ。
 ちょっと体を触られるくらいで、それ以上は何も無いと思っていた。知らなかっただけにショックが大きい。
 エリのことと麻美のことで守は二重にショックを受けてしまっていた。
 肩を落として見るからに元気が無く、落ち込んでいる。
「あんたが余計なこと言うから守が落ち込んだじゃない」
「リコが言ったことにショックを受けたんでしょ」
 エリと麻美が再び言い合いを始める。
「そりゃ……」
 その時、守がぼそっとしゃべり始めた。
「えっ」
「何?」
「そりゃ、頭では分かってるんですよ。そもそもエリさんと知り合ったのはそういうお店なんだし、お仕事だって分かってるんです。だけど、やっぱり他の男としてると考えると、胸の奥に嫌な物がこみ上げてくる事はありますよ。それに麻美さんがお客さんとキスしてるなんて知らなかったし……」
「……」
 守の言葉にエリと麻美は何も言えなかった。
 二人とも、特にエリは守に対して引け目を感じていた。わざと考えないようにしていた。
 守みたいに真面目な男なら悩んでいても不思議ではない。
「もし僕が仕事で他の女性とキスしたりクンニしたりしてたら、エリさんも麻美さんもいい気がしないでしょ」
 そこで守は自分も言い過ぎたことに気が付いた。普段なら絶対口にしないことをしゃべってしまった。
「すいません。言い過ぎました。俺なんかが生意気なことを」
 守がエリにヘルスを辞めてもらいたいのは本当だが、守にそんなことを言う権利は無い。
 そもそも守に他人を養う給料はなかった。自分一人で精一杯だ。
 だから、言いたくても言えないでいた。
 せめて、早くお金を貯めてセックスに関係ない仕事をして欲しいと思っていた。

 三人とも黙り込み嫌な沈黙が流れる。
 そこで、しばらく考え込んでいたエリが言った。
「決めた。私、お店辞める」
 エリの決断は早い。
「えっ、そんな、俺のことは気にしないでください。考えなければいいだけなんです。大事なことを思いつきで決めないでください」
 守は自分のせいだと慌てた。
「前から考えてたの。いつまでも出来る仕事じゃないし。いつかは辞めようと思ってたけど、きっかけが無くてズルズル続けちゃってた。いい機会だから辞める。決めた。明日、店長に話をしてみる。すぐには辞められないけど、出来るだけ早く辞める」
 エリの言葉ははっきりしている。
「じゃあ、うちの店に来ればいいわ」
 麻美が話を合わせた。
 半分は深く考えず、半分は普段の弱点をカバーできると思ってのことだ。
 すかさず麻美のずる賢い頭が高速回転を始めた。
 麻美は仕事柄毎日お酒を飲まなくてはいけない。しかも、仕事の後にアフターでお客に付き合うこともある。
 そうなると、どうしても帰りが遅くなる。酔い過ぎて守を夜中に起して騒ぐだけ騒いで、エッチもせずに寝てしまうこともある。
 それに、クリスマス、守とエリが二人でパーティをしたのが悔しかった。
 今のままではエリのほうが休みが自由になる分、有利すぎる。
 そんなことで麻美はエリにハンデを感じていた。
 エリが同じところで働けば条件は同じになる。考えれば考えるほど良い案の気がしてくる。
「うん、そうしようよ。私が店長に紹介するから。エリなら全然大丈夫。同じ店にしよ。守君も私と同じ店なら安心だし、色々便利でしょ」
「えっ、あっ、はぁ、そうかもしれませんが……」
 水商売のことなど何も知らない守は聞かれても答えられない。
 ただ、ヘルスで働くのよりはましな気がする。
「守君も賛成してるし決まりね。さっそく店長に連絡しなくちゃ。エリは今の店辞める日が決まったら教えて。守君、私ももうお客さんとはキスしないから許してね」
 流れだけで転職先が決まってしまい、エリと守は心の中でこれで本当に良いのかと考える。
 自分だけ反対意見を言いにくい状況になってしまっている。
「そうと決まったら、今日はエリの転職前祝いね」
「まだ決まったわけじゃ」
 エリがさっきの強気とは一転して、弱気の発言をする。
 ヘルスを辞めるのは問題ないが、麻美と同じ店なのは問題大有りの気がする。
「あら、守君をぬか喜びさせる気なの。そんなの酷い。大丈夫、エリならすぐにナンバーワンになれるから。私なんかすぐ抜いちゃうわよ」
「でも……」
「守君、シャンパンって有ったっけ。無いならワインにしようか。一番高いやつ。守君、何かおつまみ作ってくれる。私、テーブルの準備するから。エリは座っててね。主役なんだから」
 こうしてエリは流されるようにして麻美と同じ店で働くことが決まってしまった。

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