引越一週間で守は早くも疲れが溜まっていた。
まず朝六時に一人で起きてエリと麻美の昼食と夕食を作る。
昼食だけでも良いのだが、守が仕事から帰る時間には二人とも出勤しているので、夕食も作っておかないと二人、特にエリは何も食べないで仕事に行ってしまう。麻美の場合、胃が空の状態でお酒を飲むことになるので絶対体に良くない。
それで軽くて匂いの気にならない物を用意しておく。もし早く帰れたら、それを温めて出す。
二人の食事と同時に自分の朝食とお弁当を作る。おかずは二人の食事の残りを弁当箱に詰めるだけなので、あまり時間はかからない。
そして出勤。原付での通勤はすぐに慣れた。少しでも早いルートを探そうと毎日ちょっと違う道を通っている。
そして仕事。最近の不景気で残業はほとんど無い。給料は少なくなるけど、体が楽になるのは嬉しい。
仕事が終わったら急いで家に帰る。
帰ったらまずは簡単に掃除。片付けられない女性が二人も居るので一日で部屋が散らかってしまう。二人がそれぞれ一人暮らしをしていた時、エリの部屋は荒れ放題だったし、麻美はハウスキーパーを頼んでいたらしい。
食材が減ってたら近所のスーパーで買物。
その後で自分の夕食と二人の夜食を作り、一人で食事。エリと知り合うまで夕食は一人だったのに、今は一人でご飯を食べていると少し物悲しく感じてしまう。
それから急ぎの洗濯物があれば洗う。乾燥機付き洗濯機なので干す量が少ないのが救いだ。急がないものは週末に回してしまう。
最後に風呂掃除をしてお風呂に入る。貧乏性の守はお湯がもったいないのでシャワーで済ませることが多い。
これでようやく家事が終わる。時間は九時近い。
後は資格の勉強をちょっとだけやってから早めに寝る。できるだけ早く寝ないと睡眠不足で体が持たない。
守には自分のベッドが無いので、エリと麻美のどちらの部屋で寝るかをきっちり決められていてカレンダーに記入してある。
そして、束の間の休息の時。疲れているし、寝つきの良い守はすぐに深い眠りへと落ちる。
真夜中、ゴソゴソ音がして目が覚めかけるが知らん振りをしてそのまま寝る。ここで起きると二人に付き合わされてしまう。
明日も仕事だから無視を決め込む。
そしてまた寝ていると、部屋の主がベッドに潜り込んできて守に抱きついてきて起されてしまう。
夜中の三時や四時、酷い時には守が起きる直前だ。大抵酔っているので守の都合はお構い無しだ。
二人は当然の権利だと、守にエッチなことを仕掛けてくる。守としては、相手をしたくない。もっと寝ていたいけど、若い男の性で体が反応してしまう。
そしてなし崩しにセックスが始まる。手を抜くわけでは無いけど、できるだけ早く終わらせようと、弱点を重点的に責めて一気に感じさせる。最後は猛烈にピストンして中出ししてフィニッシュ。
これでまた眠れると、後戯もそこそこに終わらせて眠りに付く。
しかし、寝たと思ったら、すぐに目覚ましの音で起される。すぐに目覚ましの音を止めないと怒られてしまう。最初の数日で飛び起きる癖がついた。
一週間でこんな生活パターンができていた。
まず、睡眠が細切れなのが辛い。トータルで七時間くらい寝ているが、途中何度か起されるので熟睡できない。
それから毎日のセックスも辛い。寝ているところを襲われるので、性欲も何もあったものじゃない。月曜の夜から、早くも重荷に感じるようになった。
守はまだ体がなれないこともあって、少しやつれ始めていた。
そして金曜日の夜。
守のイメージだと、夜の職業の人は金曜の夜が一番忙しいはずだ。朝まで寝かせてくれたら嬉しいと思いながら眠りに付いた。
しかし、守の希望もむなしく、夜中に叩き起された。眠りが一番深いところだったので、全然頭が動かない。
目をこすりながら時計を見ると午前三時だった。
守の側にはシャワーを終えて臨戦態勢の二人が居た。
(なんで二人?)
今日はエリのベッドで寝たはずなのに、なぜか麻美まで居る。
寝ぼけた頭で考えると、そういえば、一番最初にエリと麻美が話したときに金土日は二人一緒とかそんな話をしていた気がする。
エリはブラとショーツの下着姿。麻美はノーブラでキャミソールにショーツ。普通の状態なら鼻血が出そうなほど興奮する格好だけど、まだ寝ぼけている守には、性欲どころの話ではない。
「金曜は三人でやる日でしょ。いつまで寝てるの。早く起きなさいよ」
エリの口調には少しとげがある。
「待ってるかと思って急いで帰ってきたら、ぐーすか寝てるし」
そんなことなら、事前に言っといてよと守は思ったが、言うと怒られるので黙っている。
エリに比べて麻美は興奮して仕方が無いという感じだ。
「早く守君に会いたくて、アフターしないで帰ってきちゃった」
今にも飛び掛ってきそうだ。
「いつもお世話になってるから今日はいっぱいサービスするから」
守の両側にエリと麻美が陣取っている。
「何ぐずぐずしてるの、ほら、早く脱ぎなさい」
「脱いで、脱いで」
守はまだ目が覚めきらないのに、二人がかりで脱がされてしまう。
「あん、待ちきれない」
麻美が守へのしかかるようにしてキスしてきた。
「んっ、んぷっ、んむ、んんん……」
「何、抜け駆けしてんのよ」
麻美はエリの言葉もお構い無しに、守の唇をこじ開け舌で口の中をかき回す。その上、飲んで、飲んでとばかりにお酒の味のする唾液を垂らしこんできた。
「んぐ、んぐぅ、んむむむぅ」
守の口からうめき声が漏れる。
「代わりなさいよ」
エリが無理矢理麻美を引き剥がし、代わりに自分がキスをした。
怒ってるくせに、そんなことを感じさせない熱烈なキスだ。麻美と比べて勝るとも劣らない。
どかされた麻美は仕方なく守の胸へキスしながらペニスをまさぐる。
熱心に乳首をチュパチュパ吸い、舌でつつきまわす。まるで遊んでいるかのようなやり方だ。
ひとしきりキスをして満足したエリは乳首へ移動した。
両方の乳首を舐められながら、股間には二人の手が這い回っている。
これには守はまいってしまった。
そもそも守は人を感じさせるのが得意なのであって、自分が責められるのはまだまだこらえ性が無い。
さっきまで寝ぼけていた頭へ、今はピンクの快感が押し寄せている。
片方は男前系美人で無愛想だけど実は愛情が深いプロのエリ、片方はお水系美人で他人には気位が高いのに守にはデレデレになっている麻美。
視覚的にも大興奮だ。
それに二人の微妙に違うおっぱいが押し付けられていて、当たっているところがとても気持ち良い。
エリの胸は大きくて張りがあり、弾力感が凄い。麻美の胸は蕩けるように柔らかい。守はこの二人以外の胸を触ったことが無いけど、絶対に極上の部類に入ると確信している。
おまけに守の両足はエリと麻美の脚に挟まれている。女性の体は触れているだけで気持ち良くなってくる。
もう全身が包まれているような気持ちになってくる。
エリと麻美は時折乳首から口を離し、頭のほうへやってきて耳に熱い息を吐きかけて、耳たぶを甘噛みして、しゃぶっていく。
すると全身に鳥肌が立つようなゾクゾク感が這い回る。大声で叫びながら暴れたくなる、どうやって我慢したら良いか分からない、何とも言えない感覚だ。
両耳を同時にしゃぶられたら、ピチャピチャという音がステレオで聞こえて、もう訳が分からなくなってしまう。
「あっ、あっ、あっ、ああああぁ、はぁ、あぉ、お、お、おおおお……」
守がもう本当の限界に来て、二人を突き飛ばして逃げようかと思い始めた頃、ようやく二人の愛撫が止まった。
これで終わりかと守が安堵したのも束の間、今度は二人がかりでのフェラが始まった。
エリと麻美がその綺麗な顔を股間へ寄せて舌を伸ばしている。
舌を細長く伸ばして、舌先でくすぐるようにチロチロ舐める。
ここまでで十分すぎるくらいたかぶっている。それなのに、二人は守を虐めるのが楽しいのか、望むように動いてくれない。
じれったくて、もどかしくて頭がおかしくなりそうだった。
普段は仲が悪いくせにこの時だけは協力して守が悶えるのを楽しんでいる。
普段守が一方的に責めている復讐というかお礼をするつもりなのだ。
エリと麻美は反対側を舐めていても時々舌が当たる。
「ちょっとは遠慮しなさいよ」とエリが言えば、
「私のほうが愛情があるもの」と麻美が返す。
「あんたのは単なる性欲でしょ」
それにエリがまた言い返す。
二人は口で争いながらも守を焦らし簡単には射精させない一点だけは意見が合っている。
それに二人は舌だけで責めているのではない。
胸を守の太ももに押し付けて柔らかい感触を与え、コリコリした乳首を隠し味にする。
空いた手でタマを転がしたり、胸元から脇腹にかけてツツツーッと撫でたりする。
その絶妙な手さばきに守は声を抑えるのに必死だ。
乳首を舐めながらの手コキとは快感の種類が違う。
さっきまでの快感がおだやかな快感をむりやり強くした感じだとすると、今やられているのは本来もっと激しい快感なのをわざとレベルを落としている感じがする。
例えるなら、軽自動車でアクセルを目一杯踏んでるのと、スポーツカーで制限速度を守って軽く流しているような違いだろうか。
もどかしいのにもほどがある。
我慢強い守の限界が近づいてきた頃、守の片脚に跨っていた麻美が体の向きを入れ替え、守へお尻を向けてきた。
それだけで守はすぐに分かった。
(麻美さんが欲しがってる)
胸を押し付け、股間を足首でこすっているうちに我慢できなくなってきたのだ。
守はすぐに手を伸ばし、ショーツをめくり小振りなお尻をむき出しにした。
麻美の股間へそっと手を伸ばすと、そこはもう潤いを滲ませていた。
(すっごく感じてる……)
初めて相手をしたときと比べて麻美は明らかに感じやすくなっている。
自分が麻美を変えたんだ。そう思うと自信が湧いてくる。と同時に、麻美をいとしく思い、気持ち良くしてやる使命感も湧いてくる。
中指をゆっくり沈めると、クチュッと音がした気がした。
「あっ……、ん、んぅ……」
麻美の口からかすかな声が漏れた。
エリはその声を聞き逃さなかった。すぐに現状を把握すると、守へお尻を向けた。
守はエリのショーツもずり降ろし、手を伸ばした。
エリのそこも麻美に負けず劣らず濡れていた。
気が強いエリらしく、こんなに濡れても黙って我慢していたのだ。
そんな所がいじらしく、思わず守の頬が緩んでしまった。
エリの中にも中指をあせらずゆっくりと入れていった。
「んっ……、くっ……」
麻美より小さな、吐息にも似た声だ。
声まで我慢しなくてもいいのにと守は思う。
右手で麻美、左手でエリの中を探る。
麻美は回数は少ないとはいえ、これまで数回じっくり探っただけに感じる所はほとんど分かっている。
エリにいたっては本人よりも守の方が詳しいくらいだ。
フェラの刺激に耐えながら、気をまぎらわすべく指先の感覚に集中した。
二人の中は微妙に違う。
別々に相手をすると何となくしか分からなかったが、同時に比べてみるとはっきりと分かる。
麻美の方が全体的に狭い。特に入口は全然違う。きついほど締まる。麻美のほうが体が小さいのと関係あるのかもしれない。
それと比べて、エリのほうは柔らかく温度が高い。濡れ具合もエリのほうが上だ。指にまとわり付いてくる感じだ。
他にも色々違う。深さも違うし、体の表側奥のザラザラの位置も違う。内部のデコボコの具合もちょっと違う。
守は女性の体の不思議を感慨深く思いながら、二人の体を探検した。
(エリさんの好きなところはココだ。麻美さんはココ。それにエリさんは最近、ココも感じるようになってきた。となると、麻美さんのココはどうなんだろう……)
いくら探検しても飽きることが無い。女性の体はそんなに簡単なものではなかった。
それに指で探るだけでも二人が反応してくれるのが嬉しい。
顔が見えないので、情報量は限られてしまうが、お尻側から見ているだけでもかなりのことが分かる。
逃げるようにお尻を引いた時は感じすぎた時、逆にお尻を突き出してきた時はもっとして欲しい時。
お尻を揺らしたら感じるポイントから少しずれているか、もっと強くして欲しい時。
本人の気持ちと快感がジャストフィットした時は、背中を反らせ気味にして体を細かく震わせて快感を貪るのに集中する。
他にも二人は色々なサインを送ってくる。守はそれをすべて注意深く受け取り、指先で答えていく。
守の対人センサーは相手が二人でも十分働いた。
虐められる時相手が一人とは限らない。相手がたくさん居ても、全体の空気を読み、一人々々の感情を推察することが出来るのは守が生きていく上で身に付けた自己防衛の手段だ。
守が二人を感じさせることに集中していると、二人の舌の動きはどんどん鈍くなり、ついにはほとんど止まってしまった。
エリは肩をがっくり落とし、両腕の中に顔を沈め懸命に耐えている。
麻美は守の太ももの上に顔を横に乗せ、お尻だけを突き出す格好になっている。
「だ、だめ……。今日、今日は、私が、するの……。できない、そんなにされたら、できなくなっちゃう」
麻美が泣きそうな声で言った。
麻美は守の体を手で掴み快感に耐えながら、それでも自分の使命を思い出し、舌をペニスへ伸ばす。しかし、その動きはどんどん間隔が開いていき、最後は完全に止まってしまう。
エリのほうも守の攻撃に防戦一方だった。
エリは左手で責められているので利き手じゃないだけ麻美より有利だったが、反面守に体の隅々まで知られている。
今も守にどうやっても我慢できない感じるところを執拗にこすられている。
それでもエリは必死に声を抑えていた。
いつもいつも守にいいように感じさせられ今日こそはと思っていたのに、麻美につられて自分もお尻を差し出したことを早くも後悔していた。
最初守と会ったとき、良い暇つぶしを見つけたと思った。
育てたら良い相手になると思っていた。
自分で言うのもなんだが、自分はけっこう良い体をしている。この体なら守は自分から離れられないはずだ。仕事でたまるストレスを守で解消する予定だった。
それがこれほどまでの女殺しになるとは想像もしていなかった。今では自分のほうが守から離れられない体になってしまっている。
悔しいけど、幸せでもある。
フゥー、ンフゥー、フー、フー……。鼻息が激しくなるのまでは抑えきれなかった。
「今日はどちらが先なんですか? 決まってないなら、イクのを我慢した人から入れることにしましょうか」
守がごく普通の口調で言った。
守としては特に深い意味はなかった。
どちらを先にするかでケンカになっても困るので、思い付きで言っただけだ。
この守の何気ない一言で空気が変わった。
敏感な守はすぐにそれを察知した。そして自分がまずい事を言ってしまったことに気が付いた。エリと麻美の二人の競争をあおることになったのだ。
こうなるとエリと麻美は簡単にイクことができなくなった。
負けん気が強いエリはともかく、麻美としても体が限界まで発情していて、エリの後回しにされるのは到底見過ごせない。
エリの後回しになるということは、エリが絶頂を向かえ、守が射精して、それから、また守を立たせて、それでやっと自分の番になる。今の体の状態ではそんな悠長なことはしてられない。今すぐにでも入れて欲しいくらいなのだ。
(後なんてイヤ、絶対我慢する)
麻美は自分の手の平に爪を食い込ませ、下唇を強く噛んで快感に耐えた。
エリとしても勝負ごとで人に負けるのは絶対に嫌だった。
勉強以外のことで人に負けるのは我慢できない。特に相手が麻美となると何が何でも負けるわけにはいかない。
(麻美より先にイカない。麻美には勝ってみせる。それで麻美の目の前で守のおちんちんを入れて、くやしがらせてやる)
エリはシーツをきつく掴み、頭をベッドへこすり付けて守の指に耐える。
守は困ったことになったと思っていた。
二人はさっきの一言でかなりむきになっている。体に力が入り、後ろから見ても二人が意地になっているのが見て取れる。
(こうなったら本気を出さないと二人ともイカないだろうなぁ)
守はそれまでの探検モードから本気モードへと攻撃を切り替えた。
全力で二人の弱点を責める。
エリは左手でやっているのでちょっと難しいが、まず背中側を指の腹で何度も奥から入口にかけてをゆっくりめに撫でる。その時、指を少し曲げて第二関節でお腹側を絶妙な加減で刺激するのを忘れない。そしてある程度ストレスが溜まったところで指を反対向きにして、お腹側奥の少し手前のザラザラの部分を強めの早めでこする。こうすると、エリは声が我慢できないくらい感じる。ある程度感じたところで、また背中側をこするのに戻る。
麻美も基本はエリと同じだけど、入口付近にも感じるポイントがあるので、第二関節でそこをグリグリ刺激しながら背中側を撫でる。そして、中がザワザワし始めたら指の向きを変えて、ザラザラをこする。ザラザラの感じるポイントもエリとは微妙に違うので、微調整が必要だ。そこを押すように刺激すると体を震わせて感じまくる。そして、また背中側に戻る。
この守の責めでエリと麻美は一気に絶頂寸前まで追い上げられた。
「ま、待って、待って。待ちなさい。ゆっくり、もっとゆっくり」
「ダメダメダメ、そこはダメなの、イヤイヤイヤイヤ、イッちゃう、イッちゃうからぁ……」
もう二人の上半身は崩れ落ちていて、お尻だけを高く上げている状態だ。
そこを守の両手が手加減無しで責めている。
こうなった以上は二人同時にイカせるしないと守は考えていた。
そのため二人の様子を注意深く観察しながら、指を使う。
エリの方は付き合い始めて何ヶ月もたつのでイク寸前の様子やタイミングが良く分かるが、麻美のほうはそこまで分からない。その分、より注意が必要になってくる。
二人の感じ度合いを合わせながら、70%、80%、90%とレベルを上げていく。
「んあああぁ、待って、守、待ちなさい、ん、ん、ん、んふぅ、はぁ、あぁ、あぁ、あ……」
「いやぁー、だめぇー、そこ、だめぇー、あはぁー、あっ、あっ、あっ、あっ、んんんんぅー……」
二人の声がどんどん大きくなり、切羽詰ってくる。
守もそれに合わせて、指の動きを激しくして二人をさらに追い込んでいく。
エリも麻美もイク気はなかったが、守の巧みな指使いに快感を抑えることができない。
守の指が一番感じるところをこれでもかと、しつこく刺激してくる。体中が震えて、ビリビリ痺れる。頭の中にもやがかかったみたいで、思考力を奪われている。もう、守の指のことしか考えられない。
いつまでもこの快感を味わっていたい気持ちと早く終わって楽になりたい気持ち、もっと凄い快感を味わってみたい気持ちが入り混じる。
そうすると、もう全てのことがどうでもよくなってくる。
(そこ、そこ。そこをこすって。もっと、もっと……)
(もうちょっと、もうちょっとだから)
それでイクと思った瞬間、指がポイントからすっと離れる。
(あ、あぁ……)
絶頂へ駆け上る途中ではしごを外された形になり、イクにイケない。体が半分イッている状態で投げ出される。どうして良いか分からない。
守としては片方だけが先にイカないように調節しただけで、別に意地悪するつもりは無い。
それはエリや麻美には分からない。
いくら守でも二人の女性の絶頂のタイミングを指だけで合わせるのは難しい。
快感には波がある。大きくなったり小さくなったりを繰り返しながら、だんだん大きくなっていく。その快感の周期を短くしながら、絶頂へ近づけていく。
二人が絶頂寸前まで上げられては落とされることが何度か繰り返され、気が狂わんばかりになった頃、ようやく待ちに待った瞬間が訪れた。
二人の快感の波長が揃い、ほぼ同時に絶頂へ向かった。
「う、う、うううう……、す、すごい、あぅ、あ、あ、あ、あ、ああああぁ……」
「イク、イクイクイク、イッちゃう、い、くううううぅー……」
守の指がキュッキュッキューと締め付けられる。
「んんんんぅー……」
エリが肺から空気を絞り出すような声を出しながら絶頂に達した。
「あんぅーー……」
それとほぼ同時に麻美もこれ以上は無いというほど色っぽい声を出しながらイッた。
二人の体がブルブル、ビクンビクンと震えた。
そして、ドサッ、ドサッと続けて二人の腰がベッドへ落ちた。
自然と守の指が抜けた。
守はお風呂の後のようにふやけた指を見ながら満足感に浸った。
「それじゃあ私が先ね」
絶頂の後、しばらく余韻に浸っていた麻美がのっそりと体を起して守へ跨ろうとした。
「何言ってんのよ、あんたが先にイッたんでしょ。私が先よ」
エリが麻美を押しのけ自分が跨ろうとする。
「守君、エリが先にイッたでしょ。だから私からよね」
「私からでしょ、守」
こんなことになるのが嫌だからがんばって二人同時にイカせたのに意味無いじゃないかと守は苦笑した。
「あのー、二人ともほとんど同時でした」
「でも、でも、エリの方が少しだけ早かったでしょ。だから私からでお願い」
「私が先にイク訳ないじゃない。はやくそこをどきなさいよ」
こうなったら収拾が付かない。もう最後の手段だ。
「三人で一緒にやりましょうか」
守が二人の機嫌を伺いながら、恐る々々きいてみた。
「守が言うんなら仕方ないわね。こんな女と一緒なのは嫌だけど」
「一緒でいいから早くして」
守が拍子抜けするほどあっさりエリと麻美は了承した。
それからの二人の動きは早かった。
「エリのほうが重いんだから下になってよ」
「ちっ、今度だけよ」
エリがベッドの端で仰向けになると、麻美がエリの太ももをかかえて抱き合うようにその上へ重なった。
「えっ、あっ」
二人に横に並んでもらおうと思っていた守は二人の体勢を見て戸惑ってしまう。
横になるのがダメだったら、自分が仰向けになって、一人は騎乗位でもう一人は顔面騎乗位のクンニで我慢してもらおうと思っていた。
二人が抱き合い上下に重なるとは考えてもいなかった。
「早くしなさいよ。こんな奴と抱き合うなんて嫌なんだから」
「こうしないと、二人の間を行き来するのが難しいでしょ」
確かに二人が並んでるより、この方が移動の時間を短くできる。だからと言って女性二人が抱き合うなんてと守は思う。
ベッドの端に二人のお尻とオマンコが並んでいる。それに二人の乳房がお互いに押し合い潰し合い横にはみ出して、とてもいやらしい。
守は二人の姿から目を離せない。
「重いんだから早くっ」
「来て、我慢できない」
守はフラフラと近寄り、上になっている麻美の腰に手を掛けた。そして、ゆっくりと麻美の中へ入っていった。
「はあん、私から……。嬉しい。感じちゃう」
守としては入れやすい高さの麻美からにしただけだが、エリにとっては面白くない。
ちっ、とエリが舌打ちをした。
「麻美なんか、ほっといてこっちに来なさい」
「ダメ、守君、抜いちゃダメ、もっと、もっといっぱいして、お願い」
麻美が逃すまいときゅうっとペニスを締めつける。
「あぅっうぅー……」
これまでで守の興奮度もかなりのものになっている。女性同士が抱き合い、そこへ自分が挿入するという異常な事態に守の理性は崩壊寸前だった。
麻美に軽く締められただけで射精しそうになってしまう。
気を取り直して快感に耐える。
ゆっくり数回往復してから引き抜く。
「あぁーん、ダメェ、もっとぉー」
麻美が甘えた声で抗議するが、麻美ばかり相手をするわけにはいかない。
にゅぷにゅぷとエリの中へ入っていく。
「あん、そう、私の方が良いでしょ」
エリも麻美と同じように締めてくる。それに麻美の体重が掛かっているせいか、いつもより締りが良く感じる。
そこから先のことを守はあまり覚えていない。
理性がプツンと切れてしまったようで、もうひたすら腰を動かした。
「あん、あん、あん、あん、激しい、あん、強い、強い、あん、強いよ、あん、あん……」
「守、大丈夫? いつもの守と違う」
エリと麻美が何を言おうが、ひたすら二人の弱点目掛けて腰を突き出した。
それはまるでボクシング漫画で登場人物が意識を半ば失いながらも相手の急所目掛けて手を出し続けるようだった。
一回目の射精は早かった。
最初焦らしに焦らされ、その後二人の絶頂を目の当たりにして、次は交互挿入と言う普通の男なら一生体験しない異常事態だ。我慢しなさいというほうが無理だ。
最後の瞬間ペニスを引き抜くと、麻美の背中に大量の精液をぶちまけた。
それは今までで最高記録の量で、勢いも凄かった。背中どころか麻美の髪にもべったり掛かり、さらに麻美を飛び越してベッドまで飛んだ。
それに一回出してもほとんど萎えない。
すぐにまた挿入した。
射精してすぐのペニスをがむしゃらにうごかすと、脳が痺れるほど気持ち良い。快感が強すぎて体がどうにかなりそうだった。膝がガクガク震える。
それでも麻美の腰を跡が残るくらいがっしり掴み、ひたすら腰を動かし続けた。
仕事で体を使うことが多い守はそれなりに体力がある。
その守が全力でセックスをすると、エリと麻美の二人はたまらない。
ただでさえ指で一回イカされ、その波が引ききらない内に挿入されている。
それで今までに体験したことの無い荒々しさで責められる。しかも、単に乱暴なのではなくて、一番弱い所を集中的に力任せに責めてくる。
それは二人にとって初めての経験だった。
「強い、強い、強いよー、待って、待って、ちょっと待って、んくぅー……」
「守、ゆっくり、もっと、ゆっくり、落ち着いて、ねえ、落ち着きなさいったら」
それでも守の勢いは止まらない。
「おおおおおぉーーー」
低い声で唸りながら腰を突き上げる。
「ダメダメダメダメェー、んぐぅー……」
耐えられず、麻美が先に絶頂に達する。
ヒクヒク、キュッキュッキューと麻美の中が締まるが守はそれでも動きを止めない。
「イッてる、イッてるから、待って、待って、待って、休ませて、ダメェー、あ、あ、あ、あ、また、んんんんぅー」
そのまま続けて麻美はイカされ続けた。
そして、最後には力尽きてダウンしてしまう。
すると守はターゲットをエリに変更して全力の攻撃に移る。
ひたすらエリの弱点目掛けて腰を打ちつける。
「分かったから、落ち着きなさいって」
何が分かったのか分からないけど、エリはそう言うしかなかった。
麻美の体にしがみ付いて嵐のような守の動きに耐える。
エリも麻美と同じように、数分後には絶頂へ放り投げなれた。
自然とエリの中が締まり守を責めるが、守の動きは治まらない。激しくて、それでいて的確な突きがエリを襲う。
それでエリは絶頂から降りられなくなる。守にイカされ続ける。
イキ続けて全身が性感帯のようになっている。麻美の体が触れているところでさえ感じてしまう。
体中がビックン、ビックンと震えている。頭の中は本当に真っ白になっている。意識を持っていかれそうだ。
「もう、もういい、もういいから、あんぅー……」
エリは本当に限界だった。
上に麻美が乗っているので苦しくて息が満足にできない。
壊れる。壊れちゃう……。その考えが頭をよぎった時、ようやく終わる時が来た。
「お、お、お、おっ、んんんん、んぅー」
守が動きを止めて、ペニスを目いっぱい押し込んできた。それと同時に熱い物が体の奥に広がるのを感じた。
(終わった……)
こんな守もたまにはイイかもしれない。エリは目をつむったまま、疲れた体で思った。
その後、自分を取り戻した守はかわいそうなほど恐縮して平身低頭エリと麻美に謝り続けた。
エリと麻美は全然怒ってなかったが、これでまた守で遊べるとほくそえんだ。