このサイトには性的な表現が含まれます。18歳未満の方は退出してください >> exit

以心伝心:第6章

 完全に逆ソープ状態。守はエリのストレス解消の道具兼主夫として使われていた。
 それでも守は満足だった。普通なら女性に見向きもされない自分が、エリみたいな美人とエッチができるのだから、文句は無い。しかも中出しOKなのだ。
 逆にエリに感謝したいくらいだ。
 そんな守にも一つだけ不満が有った。
 最初の時以来、エリは口内射精をさせてくれない。フェラもあまりやってくれない。
 プロだけあって、エリのテクは凄いものがある。最初の体験が口だっただけに、守にも思い入れがある。あのフェラテクをもう一度味わってみたい。
 それでエリにお願いしてみると、
「そんな仕事みたいなことプライベートでやるわけないでしょ」
 エリはそう言って、口内射精も顔射も絶対禁止だ。
 それは、口に出すくらいなら中に出せというエリのやさしさか照れ隠しなのかもしれないと守は思う。
 その証拠にキスの唾液交換は全然嫌がらないし、射精の後はお掃除フェラをしてくれることもある。
(お掃除フェラは早く立たせて、次をやるためかもしれないが)
 それでも、やっぱり、口の中へ出したいのが男心だ。口内射精には中出しとは違う男のロマンがある。美人のエリがペニスを咥えて射精を耐える姿を見るのはなんといっても興奮する。そして、精液を飲んだりしてくれたら、すっごく感動するだろう。
 守はいつかもう一度、エリのフェラテクを満喫し、口の中へ思い切り射精したいと考えていた。

 そして十月になった。
 二十歳の誕生日の前日、平日だが守はエリの家に呼ばれた。週の半ばにエリの家へ行くのは初めてだった。
 エリは仕事で居ないので、一人部屋で待つ。こんな時でも仕事を休まないのが、エリの仕事に対するプライドなのかもしれないと守は思う。
 エリが帰ってくる頃には守は二十歳になる。
 二ヶ月前にはどうやって童貞を捨てようかと悩んでいたことを考えると夢のようだ。
 プレゼントは何をくれるのかと、ワクワクしながら待った。誕生日に女性から何か貰うのは母が死んで以来だ。
 一時半を過ぎた頃、エリが帰ってきた。
 守はいつプレゼントが出るのかと待ちきれない。顔が思わずにやけてしまう。
 だが、エリは帰るなりいつものように着替えて、シャワーを浴びる。
 そして、夜食を食べ始めた。
 守の期待が失望へと変わる頃、食事を終えたエリは守をつれて寝室へ向かった。
 守をベッドの横に立たせると、服を脱がせ始めた。
 守は意味が分からないまま、エリにされるがままになる。
 エリは守を裸にするとベッドの端へ座らせた。自分も裸になり守の両脚の間へうずくまった。そして、守のペニスを掴んだ。
「誕生日だから特別よ」
 そう言って、エリは守のペニスを咥えた。
(おぉ、フェラ……、念願のフェラ……)
 守はエリの口の温かさに感激した。
 エリは髪をおろしたまま、顔を隠すようにフェラをしている。心なしか、顔が赤い気がする。
 エリはフェラをするときも美しい。見られることまで考えながらフェラをしているのだろう。
 舌が先端を、カリを、縫い目を刺激してくる。唇が何度もカリをこする。
 急速に精液が込み上げてくるが、すぐに出すのはもったいない。守はお腹に力を込めて快感を押さえる。
 久しぶりの本格的なフェラに守は射精を我慢するので必死だ。
「我慢しなくていいよ。出なくなるまでやってあげるから。どっちみち我慢できないと思うけど」
 そう言うと、エリはフェラのスピードをあげた。
「うわあああぁー……」
 守は呻いた。
 これがナンバーワン・ヘルス嬢の本気のテクニック。
 守が店に行ったときのテクは序の口だったのだ。童貞の守にレベルを合わせていたのだ。
 エリの本気は凄かった。
 ペニスを完全に根元まで飲み込んでいる。エリの鼻がお腹に当たり、鼻息まで感じる。さらに根元まで咥えたまま舌を伸ばしてきて、タマまで舐めていく。完全なディープスロートだ。
 ペニスを出し入れする間、舌は休みなく動き回り、唇は竿を甘く締め付ける。さらに、歯まで使ってカリをこすってくる。
 しかも頭が上下する時に左右へ傾くので、単なる直線運動ではなくて、捻りが加わった螺旋運動になっている。
 さらに、片手で守の脇腹や乳首をくすぐり、片手でタマをやさしく揉んだり、竿をしごいている。エリの髪の毛が体をこすり、くすぐったさが快感にアクセントを加える。
 種類は違うが、エリの中へ挿入するのと同じくらい気持ち良かった。
 そんなエリの攻撃に守は耐えられなかった。セックスに慣れてきたと思っていたが、まだまだだった。
「あ、あ……、エリさん、ダメです。出ます。あ、ああ、あぁ……」
 エリはそれを聞いても手を緩めない。早く出せとばかりにタマを揉み込み、唇を締めた。
「ほんとに出る。出ます。離れて、早く、あぁ、もう、あああぁー……」
 びゅるびゅるびゅるびゅるぅーー……。
 慣れない快感に守は我慢しきれず、盛大に射精してしまう。
 エリは精液を器用に舌で受け止めながら、亀頭を吸い上げる。
 ぴゅるるるるるーー。
 射精に吸引力が加わり、守は体の内側から直接吸い上げられるような感覚がした。まるでペニスをストロー代わりにしてエリに直接精液を吸われてるような感じだ。
「う、あ、あ、あ……」
 快感の大きさに守から声が出る。
 びゅるっ、びゅるるっ……、ぴゅるっ……。
 エリが最後のペニスの中に残った残り汁まで吸いこんでしまう。
「はぁー……」
 守が満足の溜息を吐いたとき、エリの動きがペニスに伝わってきた。
(飲んでる。エリさんが俺の精液を飲んでる)
 エリはペニスを口に咥えたまま、精液を飲み込んでいた。
 喉の動きがペニスにまで伝わってくる。
 守は感動していた。
(俺の精液がエリさんの体の中へ入っていく……)
 守はまるでエリを自分の物にしたような錯覚を覚えた。

 エリは精液を飲み込んだ後も、ペニスを口から離さない。再び大きくなるまで咥えたままだ。
 完全に勃起したところで一旦口から出し、裏筋を舐めながらタマへ移動した。
 そして、タマを舐めながら竿をゆるゆるとこすりはじめる。
 タマからのくすぐったいような気持ち良さと、ペニスからの穏やかな気持ち良さに、夢を見ているような
体が浮いているような感覚だ。頭の中がほわーとしてくる。
 守がリラックスしながら快感を味わっていると、舌は時々タマを通り過ぎ、より奥へ進んでいく。
 初めて会陰を舐められる感覚に戸惑っていると、舌はさらに奥の禁断の場所へと進んでいく。
(そこは!)
 エリの部屋へ来てから一応シャワーを浴びている。マナーとしてお尻もきれいに洗っている。
 しかし、そこはやっぱり汚い。
(ダメです。そこは汚いです)
 守は心の中で叫ぶがエリの舌は止まらない。行ったり来たりを繰り返しながら着実にお尻の穴へと近づいていく。
 もう、エリの狙いは明らかだった。
「エリさん、そこは……、そこは汚いです……」
「大丈夫、綺麗になってるよ」
 そして、ついにエリの舌が守の蕾へ触れた。
「おほぉー」
 未知の感覚に守は奇妙な声を出してしまった。
 それは、くすぐったさと気持ち良さを足して、十倍したような言葉にできない感覚だった。
 エリの舌は巧みに守を責めてきた。
 穴の周囲を舌先でたどりながら、意表を突いて中心部を舐めてくる。そうかと思うと、中心から皺に沿うように何度も舌を這わせてくる。さらには、中心を抉るように舌を突き立ててくる。
 その間も、片手はペニスをゆるゆるとしごいているのだ。
 守はおかしくなりそうだった。
(これがアナル舐め……)
 風俗のオプションでそういうのがあることは知っていた。だけど、それを自分が体験するとは思っていなかった。
 もう、何と表現すれば良いか分からない。
 思考力を全部奪われて、性感帯を直接刺激されるような快感。骨の髄から体が震えてしまう。そして体から力が抜けていく。今までに味わったことの無い気持ち良さだ。
 というか刺激が強すぎて気持ち良いのかどうか分からない。
 どうやって耐えれば良いのか分からないし、もうやめて欲しいのか続けて欲しいのかも分からない。
 何も考えられなくて、ただ、体をピクンピクンと反応させながらエリのなすがままになっているだけだった。
(これ以上続いたら、頭がおかしくなる。もう、無理……)
 守は危険を感じた。子供の頃、母親から息が苦しくなるほどくすぐられ続けたのをなぜか思い出した。
 その時、エリの手の動きが早まった。ペニスを激しくこすってくる。
 限界まで体が敏感になっていた守は、エリの急な責めに耐えることができなかった。
「あ、あ、あ、お、お、おおおぉー……」
 出る。守がそう思った瞬間、エリがお尻から移動してペニスを咥えた。
 そしてぬめった舌が亀頭を撫でた。
 それだけで守には十分だった。
「ううううぅー、で、出るっ……」
 びゅくびゅくびゅくびゅくびゅくぅー、びゅるびゅるびゅるびゅるびゅるぅー……。
 二発目でも若い守の射精量は多い。それに快感が大きかった分だけ射精量が増えている。たちまち、エリの口の中を精液で溢れさせる。
 それでもエリは亀頭を舐め続ける。
「う、あ、あ、あ、あ……」
 びゅるびゅるっ、びゅるぅー。ぴゅるるるるっ、ぴゅるるぅー……。
 吸われながらの射精も気持ち良いが、舐められながらの射精もびっくりするほど気持ち良い。
 ペニスの先から頭まで電気が流れっぱなしになる。頭がバカになりそうだった。
 ぴゅるぴゅるっ……、ぴゅるっ……。
 ようやく射精が終わったところで、またもエリに残り汁を吸われる。そして、エリはまた口の中の精液を飲み込んでいった。
(あぁ、飲んでる。エリさん、また、飲んでる……)
 守はベッドの上で仰向けになった。
 立て続けに二回も射精すると、さすがに体がだるい。アナル舐めでも体力を奪われている。エリに体中の力を吸われてしまったような感じがしていた。

 休む間も無くエリが責めてくる。
 守に胸を擦り付けながら乳首をねっとり舐めてくる。手はヌルヌルになっているペニスを絶妙の力加減でしごく。
 強すぎることなく、射精後の敏感なペニスに守が耐えられるギリギリの快感を与えてくる。
 乳首の舐め方も単に舐めるのではなくて、舌を速く動かしてチロチロ舐めたり、力を抜いてゆっくりぬろーんと舐めたり自由自在だ。守を一方的に責めている。
「あ……、あぁ……、んんぅー……、エリさん。つらい、です……、くんんんぅー」
 守は自分の乳首がこんなに感じるとは思ってなかった。ペニスの気持ち良さと混ざって、じれったくて、気持ち良くて、どうにかなりそうだ。
「三回目だから、じっくり楽しめるでしょ。誕生日プレゼントなんだから、いっぱい気持ち良くなりなさい」
 エリがねばつく声で守に言った。
 楽しめと言われても、守は体が切なくて仕方が無い。もう少しだけ強くしてくれたら、一気に射精へ行けそうな気がするのに、エリは守の体のことを見切っているのか、絶妙な責めを変えない。
(す、すごい……。これもプロの技? 体のことを知り尽くされてる……)
 守はエリの事をあらためて見直した。
(ナンバーワンは伊達じゃない。エリさんはやっぱり凄い人なんだ。でも、つらい。切ないよぉ)
 守の想いをエリは知らないのか、唇は乳首から離れ、ペニスへ向かった。
 切なく疼く乳首はほったらかしだ。守が自分で掻き毟りたいほどズキンズキンと脈打っている。
 エリはペニスを横から咥えるとハーモニカを吹くようにカリから根元まで往復していく。片方を何回か往復すると反対側へ移って、同じように往復する。
 唇はぴったり竿へ当てられていて、その間から唇が出てきて竿をチロチロ舐めていく。
 そして余った手は守の体を這い回る。また、その刺激が微妙すぎて守はイクにイケない。ただ、快感に耐える切ない状態が続く。
(あぁ、もう、出したい。自分で思い切りしごいて、射精したい……)
 しかし、いくら守がじれてもエリは一定のスピードを保ったまま、ゆるい刺激を続けてくる。いや、微妙にスピードが落ちている気さえする。
 そして、ペニスの切なさが頂点に達した時、エリの口はペニスを離れてタマへ移動した。
 片手で竿をニュルニュルこすりながら、もう片手で乳首をクリクリほじる。そしてタマに吸いついたり、舐め上げたりしてくる。
 乳首とペニスが切なさの頂点のまま、タマまで切なくなってくる。もう、体中が切なくなってしまう。
 守はこんなじらされ方は初めてだった。エリはただ者ではなかった。これほどまで男の体と反応を知り尽くしているとは思ってもいなかった。
(いつまで、続くんだ、もう、耐えられない。頭がおかしくなりそう)
 エリは黙ってタマをしゃぶり続けている。
 守は切なくて、切なくて、今にもエリに襲い掛かってしまいそうなほど追い詰められていた。
 元イジメられっ子で我慢強い守でも、もうこれ以上は我慢できそうにない。
 後、十舐めだけ我慢しよう、もう十舐めだけ我慢しようと、がんばったが、それも無理な状態に近づいていた。
 頭の中は射精することで埋め尽くされる。シーツを握り締めて気を逸らそうとするが、一刻も早く射精することしか考えられない。
「あ、あ、あ、あ、ああ……」
 自然と声が出て、腰を持ち上げていた。
(もう、無理、自分でしごく)
 そうして、手を伸ばそうとした瞬間、エリがペニスを咥えた。
「うあああああ……」
 守は自分でも気付かず、大きな声を出していた。
 今まで体験したことの無いような大きな快感がペニスの先から頭の先まで突き抜けた。
 頭の中が快感で埋め尽くされる。もう、何も考えられなかった。
 そして、エリがフェラのスピードを上げてきた。
 頭がかなりのスピードで上下に動く。しかも歯がカリに軽く当たっている。
「はー……、はー……、歯がー、歯がー当たってるー……」
 さらに、エリがペニスの根元まで咥えたので亀頭の先が喉の奥に当たった。
「おおおおおおぉー……」
 もう、何が何だか分からない。気持ち良すぎる。もう、声をあげながら、体を震わせることしかできない。
 さらに、エリが手で竿をこすり、指の先で乳首をホジホジしてくる。
 三発目のはずなのに、もう守は耐えることができなくなった。
「だ、だ、ダメ、ダメ、です。出るっ、もう、出ます。あぁー、で、で、出るぅっ」
 乳首をほじられ、竿をこすられ、唇でしごかれ、舌で舐められ、喉の奥を使われ、歯が当てられ、守の我慢は限界を超えた。
「ああああー、出るぅー、出る出る、出る、出ますっ!」
 そう言うのと、射精が始まるのは同時だった。
 ぶびゅぶびゅぶびゅびゅびゅびゅびゅ、どびゅっ、びゅくびゅくびゅるるるるー……。
「はわああああ……」
 守の頭は完全に麻痺してしまった。性感神経に直接電流を流されたような状態。生まれて以来最高の快感だった。
 びゅるびゅるぴゅるるる、ぴゅるぴゅるぴゅる、ぴゅるるっ、びゅくっ……。
 頭は麻痺していても射精は勝手に続いていた。
「あ……、ああ……、お、おお……、い、い、いい……」
 びゅるっ……、ぴゅっ……。
 射精が終わる頃には、守は完全に燃え尽きていた。
 体中から力が抜けて動けない。特に腰周りはピリピリと痺れていて、感覚が鈍い。その代わり、背中とか太ももとかが凄く敏感になっている。今そこを触られたら、刺激が強すぎて飛び跳ねてしまうだろう。
 エリは最後の一滴まで吸い尽くし飲み尽くすと、ペニスを抜き守の隣へ横たわった。
 守の体が敏感になっている事を知っているのか、微妙に距離を取り、体をくっつけない。
 守は意識が薄い中、エリの心遣いをありがたく思った。

 結局守は三発目の射精の後、そのまま気を失うように眠ってしまった。
 翌朝、守は朝早く一人で起きて自分の部屋へ戻り、それから仕事へ出掛けた。
 合計三発もエリの口の中へ出した守は満足感とエリへの感謝で胸がいっぱいだ。
 ただ、仕事中はとても眠くて、社長に何度か怒鳴られてしまった。仕方が無かった。

 その日の仕事が終わってから、守は叔父の家へ向かった。
 守が叔父と会うのは久しぶりだった。同じ東京に住んでいながら母の七回忌以来だから四年ぶりだ。もちろん電話では年に何回か話しているが、中学卒業以来、用事がある時しか会っていないので片手で数えられるくらいだ。
 叔父と会うのは気が重かったが、成人のお祝いをしてくるというから行かない訳にはいかなかった。
 叔父には小学校の時に母が死んでから中学を卒業するまで育ててもらった恩が有る。
 子供の守にとって叔父は怖い人だった。行儀作法から家事まで一通り厳しく教えられた。
 今となっては両親のいない守が将来人から笑われないようにという思いからだと分かっているが、子供のときは、ただただ怖いだけだった。それもあって、守は中学卒業と同時に住み込みの町工場へ就職したのだ。

 叔父は簡単なパーティを用意してくれていた。といっても、ビールにつまみ、寿司にケーキくらいだったが、それでも嬉しいものだ。
「成人おめでとう」
「ありがとう」
 珍しく叔父がお酒をたくさん飲んでいた。これほど飲むのを見るのは初めてだった。
 そして叔父がポツポツと昔の話を始めた。それは今まで守が聞いたことの無い話だった。
 守の母は大学卒業後、一流企業に総合職として就職したこと。
 守の母が独身で身ごもった時、相手が誰か誰にも話さなかったこと。
 だから今でも誰が本当の父親か分からないこと。
 周りの反対を押し切って出産したため父(守の祖父)から勘当されたこと。
 それ以来、祖父と一切連絡を絶っていたが、母(守の祖母)とはこっそり連絡を取り合っていたこと。
 そして出産する時、自分(叔父)が賛成しなかったのを後悔していること。
 酔いの回った叔父がふらつく足で立ち上がり、何かを取ってきた。
「これはお前が自由に使いなさい」
 通帳、印鑑、キャッシュカードを渡された。名義は守だった。
 中を見てみると、母の生命保険が振り込まれて以来、一度も引き出されていない。逆に毎月お金が入金されていた。叔父は一円も使ってなかった。
 守は今まで叔父があまり好きではなかった。どちらかというと嫌いだった。
 あらためて、じっくり向き合ってみると、昔は大きく感じた叔父も、今は身長がそれほど変わらない。やや守のほうが高いくらいだ。それに少し老けている。四十が目の前だから仕方が無い。
(俺は叔父さんの何を見ていたんだろう)
 自分はまだ子供だったのだ。
 自分がいなければ叔父は結婚できていたかもしれない。そう考えると急に申し訳なくなってきた。
 どうして今まで叔父と距離を取っていたんだろう。数少ない親戚じゃないか。
 これからは、もっと、ちょくちょく遊びに来ようと守は思った。

 別れ際、守は素直に言葉が出てきた。
「今まで育ててくれてありがとう」
 叔父が驚いた顔をした。
 それ以上叔父の反応を見るのがためらわれたので、守はそれだけ言うと、向きを変え帰り道を歩き出した。
 守は歩きながら考えた。
 いつの日か、祖父母とも和解できる日が来るのだろうか。
 叔父とのわだかまりは消えた。きっといつか祖父とも分かり合える日が来ると守は思った。

次の章(第7章)へ

拍手する サイトTOPへ戻る
以心伝心:目次へ戻る
前の章(第5章)へ戻る

動画 アダルト動画 ライブチャット