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一条流の戦い:第69章

 気持ちの上では香露に絶対負けられないと思っていたが、遠泳の後のように体がだるかった。香露と重なっていると、もうこれ以上動きたくない、任務のことなどどうでも良く、このままずっと香露と抱き合っていたいという気持ちが強くなってくる。
 今日三回も射精している肉棒は、すっかり元気をなくし、一度抜くともう入れられないくらい柔らかくなっている。
 香露の中は、じっとしていても、温かい肉に包まれ、全てを肯定してくれる居心地の良さがあった。優しくお掃除フェラをされている感じで、体中からやる気や使命感といった前向きな気持ちを残らず吸いだしてしまう退廃的な魔力がある。
 先ほどまで、何が何でも香露から話を聞きだすのだと燃えていた固い意思も、こうして体を休めているうちに、どんどん溶かされてしまっていた。
 一方香露のほうも疲れ果てたようで、最初武志が部屋に入ったときに見た様子より、さらにぐったりしている。
 精根尽き果て一歩も動けないという雰囲気だ。
 顔にも疲労の色が濃く、美しい顔に被虐感が滲み出ている。
(香露はセックスの後の顔も美しい……)
 武志は香露の顔をぼんやり眺めながら思った。
 香露の顔を見れば見るほど、香露の肌の感触を知れば知るほど、情が湧いてきて、これ以上ひどいことはしなくても良いのではないかという気持ちになってくる。
 なんとか、香露をかばってやりたい。建物の出入り口はがっちりと固められているので逃がすことはできない。そうなら、せめて、この美しい肌が傷つくことだけは防ぎたい。この肌から血が流れるのは、考えるのも恐ろしい。
 武志は香露のぬくもりを感じながら頭を撫でた。香露の髪は細くサラサラしているのに腰がある。部屋の照明を反射して黒光りしている。指の間から水が流れるようにこぼれ落ちる。
 香露は髪にまで万全の手入れがなされている。動きの無い香露の体を抱きながら、心の中で何度目か分からない感心の声を上げた。
 武志は香露に愛しさを感じてしまい、首筋に唇を付けた。香露の細くて長い首はまだ先ほどの余韻でうっすらとピンク色をしており、噛み付きたくなるほど美しい。
「アッ……」
 疲れ果てても眠っていなかったのか、香露が小さく声をあげた。
 そんな些細なことでもうれしくなり、武志はチロチロと舌を這わせる。かすかに汗の味がするが、ほのかに甘みも感じる。まだ、微量の気が漏れ出ているのかもしれない。
 舐めるだけでは飽き足らず、痕が付くことも気にせず吸いついた。吸っては舐め、吸っては舐めと飽きることなく続ける。片方がすっかり味がしなくなるまで舐めつくすと、反対側へと映っていく。
 そこもしつこいくらい丁寧に丹念に舐めていく。舐め方も舌先でチロチロするのから、舌をいっぱいに伸ばして端から端まで一気に舐め上げていくように変える。そして味がしなくなると、今度はあごの下や耳の裏へと範囲を広げていった。
「ア……、アァ……、アン……、アッ……」
 香露も武志の舌の動きに合わせて、ほとんど残っていない体力を絞り出して反応する。
 武志は香露の体を文字通り味わいながら、体に精気が急速にみなぎっていくのを感じていた。そのスピードは今までのセックスが終わった後の回復スピードより何倍も早く感じられる。
 先ほどまで鉛を呑んだように重かった体がどんどん軽くなり、やる気が出てきて前向きな気持ちになってきた。
 理由は分からないが、思い当たる節はある。気は疲労を回復させるのかもしれない。
 考えてみると、何年も前、まだ美穂達と毎週セックスしていた頃から不思議に思っていたことがあった。疲れ果てるまでセックスしても女達は次の日には元気になっているのだ。たまに泊りがけでセックスをしたときなど特に強く感じた。
 けっこう体力が有るほうだと思っている自分が翌朝体が重いと思っているのに、女性陣は元気いっぱいで朝食をパクついていた。セックスの次の日は体の調子が良いというのも聞いた気がする。
 武志は相手が全員そんな感じなので、それが当たり前か、女性の特質なのだと思っていた。それに対して男は体力というか気というか、体の中の根源的なパワーみたいなものを消費するという漠然としたイメージを持っていた。
 自分に当てはめて考えてみると、今日を除くと過去に二回気を持つ女性の相手をしたことがある。最初は部隊の施設で清佳と、二回目は上海で芳玲とである。
 芳玲との時は奥義逆流を使ったので翌日の体調は最悪だった。だが、最初の清佳の時は翌朝何故か体が軽かった思い出がある。
 これらから考えると、気を使うと相手の体調を良くするというのは、あながち間違いでもなさそうだ。日本に返ったら班員に聞いてみる必要がある。
 そこで武志は気が付いた。ということは、香露も回復が早いのだ。しかし、体力は回復しても、気は回復し無いだろう。もうほとんど残っていないはずだ。自分にはもうしばらく気を流せるだけ残っている。
 次で必ず堕ちてもらう。武志は香露を堕としてやるという気持ちがどんどん強くなるのを感じていた。

 体に力が戻ってきて、肉棒が半勃ちになってきたところで、武志はゆっくりと腰を動かし始めた。抜けないように気を付けながらなので、腰のふり幅は小さい。慎重に腰を動かす。
 先ほどの射精の余韻が残っていて、まだ敏感な亀頭が香露の秘肉でこすられ、とても気持ち良い。気持ち良すぎて腰を動かすのが辛いほどだ。
 香露の秘肉はまだ大きくなりきっていない武志の肉棒にもねっとりと絡み付いてくる。中は精液と愛液でドロドロになっていて、すべりが良すぎるほどだ。
 そんな中を半勃起の肉棒でこするのは、完全勃起のときと違う種類の気持ち良さがある。このままの状態をもう少し続けていたいが、肉棒にどんどん血液が流れ込み最大サイズへ近づいていく。それに従い秘肉の味わいも少しずつ変わってくる。
 香露の体は状況に応じて色々楽しませてくれ、本当に最高の体だ。
 武志は肉棒が復活するのに合わせて、腰の動きを大きく早くしていく。
 香露の秘肉は武志の激しい動きにも遅れずに付いてくる。ぴったりと張りつきカリを逆向きにこする極上の喜びを与えてくれる。止まっていても動いていてもどちらも気持ち良い。
 武志は香露の腰をつかみ自分の体にぶち当てるように抉り続ける。二人の肉がぶつかり部屋の中へパァーン、パァーンと湿った音が響く。
 きついのにヌルヌルの秘肉はどんどん武志を追い込んでいく。既に三回も出しているのに、武志は射精感が込み上げてくるのを感じていた。
「アァン、アァン、アァン、アアン……」
 香露も奥を突かれるたびに声をあげている。これだけ責められれば体力が尽きて人形のように無反応になっても良さそうなのに、この細い体のどこに隠されていたのか分からないくらい大きく反応している。
(このままじゃ、先に出してしまう。香露を堕とせない)
 武志は残り少ない気を流し始めた。
「アァー……、アアァー……」
 香露の反応が一段と大きくなり、狂ったように叫び始めた。頭を振り乱し、シーツを破れるくらい掴んでいる。
(いいぞ、この調子だ)
 武志は射精感がさらに込み上げるのも気にせず、激しく子宮口を突き上げ、抉り続ける。
「うおおおおぉー……」
 いつしか武志も自分でも気付かない内に雄叫びを上げながら腰を動かしていた。
 丹田に力を込め、必死で射精を押さえ込みながら、肉棒に意識を集中する。亀頭の先にコリコリした子宮口が当たり、奥へと押し上げられる。カリでは襞が引っかかるのを感じ取る。
 だんだん、セックスの目的など忘れ、ただただ香露をイカせることだけを考えるようになる。
(イカせる、イカせる、イカせる、イカせる……)
(堕ちろ、堕ちろ、堕ちろ、堕ちろ……)
 武志はそれだけを考えながら突き上げる。
 その時、急に秘肉の具合が変わってきた。肉棒を吸い込むように、肉棒を逃がさないように、吸いついてくる。
 精液を吸い出そうとするかのように、秘肉の奥が吸いついてくる。まるでバキュームフェラのようだった。
 武志は知らなかったが香露の技の一つ、『吸入』だった。秘肉を狭めた状態で亀頭を受け入れ、その状態で秘肉の奥を少し広げることで内部を負圧にして肉棒を吸い込む技だ。これは秘肉の奥を自由に動かせる女性にしかできない非常に難しい技だった。
「おおおおぉー……」
 たまらず、武志は大声で吼えた。文字通り肉棒が持っていかれそうな感覚だ。精液が急速に込み上げてくる。
 この期に及んで、さらに新しい技を出してくるとは。武志はかすかに残った理性で香露の素晴らしさ、恐ろしさに感嘆した。
 それでも、武志は腰の動きを止めなかった。気持ち良すぎて辛いほどの快感に襲われていても、激しく抉り続ける。負けじと、Gスポット辺りに気を流して、お返しをする。
「アッアアアアァー……」
 香露の背中と腰を持ち上がり宙に浮く。
(今だっ)
 武志は香露の体を持ち上げんばかりに掴み、最大限のスピードで一番奥を突き続けた。
 短いが激しいストロークで、ガッガッガッガッと子宮を責める。
「ゥワアアアァー……、×××、××、×××ー……」
 香露が中国語で叫び始める。眉間に深い皺が寄り、目は固くつむられている。激しい快感に襲われていることが顔にありありと浮かび上がっている。
 亀頭に吸いつくのはそのままに、秘肉全体がうねるように動き始める。射精を促すような貪欲な動きだ。
 武志はぎりぎりのところで耐えながら責めていたが、それも限界だった。
 芳玲と知香の良いところを併せ持った香露の秘肉に武志は我慢し切れなかった。
「おっおおぉー、おおおおぉー……」
 亀頭の先端から激しい勢いで白濁液が秘肉の中へ撒き散らされる。
 それでも武志は腰の動きを止めなかった。射精を続けながら香露を付き続ける。
「ンンンンゥー……」
 香露が歯を食いしばって、何かに耐えている。秘肉全体が肉棒にきつくしがみ付いている。香露も目立たないながら確かにイッていた。しゃべられないほど、しっかりと深く達していた。
(今だ。香露がイッている今こそ責めるんだ)
 武志は痛いほどの快感と、体全体に広がる震えと戦いながら、ピストンを続ける。射精して敏感になっている亀頭には刺激が強すぎて、頭がおかしくなりそうだ。脳みそが痺れるような感覚がしている。
「くああぁー……」
 武志は声を出さずにいられなかった。
 何か叫ばずには体が耐えられない。手は指の痕が付くくらい香露の体を掴んでいる。
 秘肉からは掻き出された精液が卑猥な音と共に飛び散り、二人の体やシーツにかかる。
(やるんだ、やるんだ。今しかない。今こそ攻めるんだ)
 武志はどうにかなりそうな自分と戦いながら、腰を動かし続ける。
「ア、ア、ア、ア、アァー……。XXX、XXX、XXXX……」
「中国語で、言われても、分からないよ……」
 香露の叫ぶような訴えに、武志はうなりながら答える。
「アァ、待って。待って、ください。今は、まだ、まだ、ダメです……」
 香露が絞り出すように声を出す。顔は苦悶に満ち、体は肉棒から逃げるような、また、迎えるかのように複雑にくねっている。
 香露も絶頂の直後で敏感になっているところをこすりあげられ、かつて経験した事の無い感覚を味わっていた。
 そもそも、限界が高く男の射精に合わせて絶頂を迎えることが多かった香露は、イッた後も続けて責められた経験はほとんどなかった。今はその上、武志に気まで流されている。おかしくならない訳がなかった。
 絶頂が続いているかと思うような強い快感が絶え間なく襲ってきている。
 逃げたいのか、もっと欲しいのか自分でも分からない。初めてのことで頭の中がぐちゃぐちゃで考えがまとまらない。ただ、このままではまずいことだけは分かっていた。
 体中が震え、体が分解しそうだ。体力がどんどん削られていく。秘肉が自然ときゅんきゅんとひくついている。肉棒が何倍にも膨らんだように感じられ、苦しいほどお腹の奥がいっぱいになっている。
 そして、子宮を突かれるたびに、熱い塊が背中から脳天まで突き抜け、頭の中に稲妻が走る。
「ア、ア、アゥー……」
 このままじゃ、このままじゃ堕とされる。そう思っていても、理性はかけらしか残っておらず、体が言うことを聞かない。
 香露は屈服の予感をしながら、その瞬間を少しでも引き伸ばすために、耐え続けることしかできなかった。

 武志の肉棒は完全に復活して、香露の秘肉を抉り続けていた。
 元々狭いのにきつく締まる秘肉をこじあけるのは、けっこう辛いものがある。射精後の興奮は落ち着いてきていたが、代わりに次の精液が溜まり始めている。
 香露は絶頂付近をさまよっているが、あと一歩のところで堕ちない。何か決定打に掛けていた。もう、気の量もあまり残っていない。ここで間違えると、本当に後が無い。
 武志は一瞬迷ってから、奥義で決着を付けることにした。最高の技を見せてくれた香露には、自分の全ての技を見て欲しいという思いからだ。
 香露の体を持ち上げ、対面座位の形になると、そのまま後ろへ倒れて、女性上位の形になった。
 片手で香露の頭を抑えて、片手で腰を抑えて体を固定する。香露の口から柔らかい舌を引っ張り出し、自分の口の中へ吸い込むと準備は完成した。
 そして気を流し始める。意識を集中して香露の体の気を探ってみると、今まで大量に流した気は消化されきらずに、香露の頭の中を半ばまで埋めている。
 武志は最大量で気を送った。そして、肉棒の先で子宮口を押し上げ、腰を回して子宮口をこねる。
「ンフゥー……、フウウウゥー……」
 香露が口を塞がれたままうなる。
 武志はこのまま決着を付けるつもりで、一気に責め続けた。あとは、武志の気が尽きるのが先か、香露が堕ちるのが先かだ。
 香露は体力が残っていないのか、先ほどの吸引の技を使うこともなく、気も流してこない。もう本当に余力が無いのだろう。ただ、武志に揺さぶられ、なすがままになっている。
 武志は香露のことなどお構いなしで、気を最大量で流し続ける。それは香露の子宮を焼き、背骨を震わせ、脳を焼いていく。そして、燃え残った気が香露の頭の中へ蓄積されていく。
 武志は香露に気が溜まっていくのを知覚しながら、自分の気を整える。体中から残り少ない気をかき集め、整えて丹田に納めていく。もう十分か二十分の間気を流したら終わるだけの量しかない。循環の技を使ったとしても、伸ばせるのはせいぜい五分ほどである。循環弐だと数分しか伸ばせない。
 それでも武志は、自分の持てる全てを出して、香露に当たろうと思っていた。
 途中まで強く念じていた、堕とすという思いも薄れ、今は自分の全てを出し切る。そのことばかりを考えていた。憎しみとかは全く無く、戦友というかライバルのように香露を感じていた。ここまで苦しめられた経験はほとんど無い。敵ながらあっぱれというか、ここまで来たら、自分の全ての技を見て欲しくなってくる。
 武志の残りの気が減っていくのに比例して、香露の反応も小さくなってきた。体力も尽きたのだろう。
 武志は体を動かすのを止め、香露とぴったりと体を合わせた。二人は紙一枚差し込めないほど隙間無く密着している。
 そのまま武志は香露の舌を吸った。喘ぎ続けて乾燥したのか、唾液がねっとりと濃くなっている。
 武志はそれを味わいながら、循環弐の技を始めた。香露の頭蓋骨をイメージし、その気の流れに意識を集中する。頭から溢れる気を注意深く吸いだしていく。まだ二度目で慣れていないので、少し勝手がつかめず循環のスタートが遅れたが、やがて、気が舌を通り自分に戻ってきた。
 武志は惜しむことなく、気を循環させていく。
 香露に自分の最高の技を味わって欲しい。自分の全てを感じて欲しい。そう思いながら武志は香露を抱きしめ、気を流し続けた。
「ウ……、ウゥ……」
 香露の反応が小さく、か弱いものに変わっていく。体はほとんど動かないが、秘肉だけは肉棒をきつく締め上げている。
 気の残りがほとんどなくなってくる。
 香露の反応はどんどん小さくなり、やがて全く反応しなくなった。
 武志はそれでも全てを出し尽くそうと循環弐の技を止めなかった。
 後少し、もう少しだけと武志は絞り出すように気を流した。それも長くは続かなかった。
 そして、武志は全ての気を出し尽くした。
 口を外し、香露を見てみる。香露は完全に気を失っていた。

 武志はゆっくりと、気を付けながら香露を自分の上から降ろし、ベッドに横たえた。
 体が軽いというか、体の中にぽっかり空洞が空いた、空虚な感じがしている。これが気を出し尽くした感じなのかと武志は思った。
 ぎりぎりまで気を使ったことはあるが、最後の一滴まで使い切ったのは、生まれて初めてだった。
 香露の顔からは苦悶の表情が消え、やすらかに目を閉じている。
 武志はティッシュの箱を持ってきて、自分と彼女の体を清めた。大量の愛液と精液でドロドロになっていたので、何度も拭かなければならない。それにシーツにも大量に散っていて、そのままでは寝られそうになかった。
 時間をかけて綺麗にしてから、香露の頭を撫でる。
 凄い相手だった。今までの人生で一番の強敵だった。これ以上の相手は現れないと思うくらい凄かった。知香や芳玲も香露と比べると少しかすんでしまう。あえて同レベルの女性を探すと、二年前に部隊の施設で一度だけ夢のような一夜を過ごした清佳だろうか。あの時は武志も経験が少なく未熟で天狗になっていた。何がなんだか分からないうちに、気がついたら朝だったという苦い思い出がある。
 自分の体調がもう少し悪ければ、香露がもう少しだけ能力が高ければ、結果は分からなかった。もし、芳玲と香露の順番が逆だったら自分が堕とされていた。そして、香露に会うのがあと何年か先だったら、負けるのではないかと思う。
 中国の中でもトップレベルの女性なのだろう。これより上の女性が居るとは想像できないし、居て欲しくない。こんな女性がゴロゴロいたら日本としては手の打ちようがない。
 その香露から話を聞きださなくてはいけない。
 少しだけ、まだ、香露が話さなかったらという考えがよぎるが、考えないようにする。これでダメなら、後は気を使わずに、本当の体力勝負をするしかない。気を使ってダメなのに、使わないで何とかなる可能性は低いかもしれない。
 武志は香露の頬に触れた。しっとりとして吸いつくような肌だ。
 香露は目を覚まさない。叩くのは気が引けたので、武志は何度も肩を揺さぶった。
 そうするうちに、香露のまぶたがピクピクして、身じろぎした。
 そして、まぶたがゆっくりと開いた。

 武志は香露が瞬きして、目がはっきりしてくるのを待って優しく話しかけた。
「全てを話してもらえますか」
 香露がほんの少しだけ迷った素振りを見せた後、かすかにうなずくと口を開いた。
「一つだけお願いがあります……。日本に亡命させてください。そして武志さんの物にしてください。秘密を喋る以上、もう国には帰れません。一生外国で暮らすしかないです。武志さんが一生面倒をみてくれるなら、全てお話します」
 武志は迷うことなく即決した。
 香露と離れることは考えられなかった。これほど素晴らしい女性とはもう一生会えないだろう。自分からお願いするつもりだった。それに、香露が中国に帰ったり、他の国に行くのは怖すぎる。危険人物だ。日本の管理下に置かないとまずい気がする。
 訓練相手として絶対に欲しいし、隊員の技術向上の為に中国での育成方法を是非聞いてみたい。
「分かりました。俺が絶対に守ります。だから話してください」
 武志は香露の目を見つめ、自分の決意を知らせようとする。
 香露も武志を見つめ返す。しばらく二人の視線が絡み合う。
 それから、香露は安心したのか、少しずつ話し始めた。
「作戦の目的は、第一に、交渉で強硬姿勢を貫くように暗示を与えることです。第二に日本側の最終譲歩ラインを聞き出し、対交渉国にリークし日本側に不利になるようにすることです」
 ここまでは芳玲の話とほぼ一致する。武志はほっとしながら続けて話を聞いた。
「ですが、最終目的は各国に不信感や疑念を与えることです。日本側から聞き出した情報は第三国へもリークされます。それは、さまざまな疑念を産みます。どこの国まで、どの段階まで情報が漏れたのか。日本は他の国と手を結んでいるのではないか。日本は東南アジアを経済的に支配しようとしているのではないか。暗示を掛けられた要員は洗脳されているのではないかと、いたるところで疑念が生まれます。疑念は簡単にはなくなりません。いつまでも心の底に残り、信頼を蝕んでいきます。それはじわじわと効いてきます。そして、条約の締結を少しでも遅らせ、日本の不利になるようにする。それが今回の作戦の本当の目的です」
 そこまでしゃべって、香露は一旦口を閉じた。
 武志は焦点の合わない目で香露を見ながら、頭を全速で回転させる。
 芳玲の話を聞いたとき、そんな事をしても効果が薄いのではないかと思った。要員を変えたり、会議を延長したりすればほとんど解決される気がしていた。それなのに、こんな大掛かりな作戦をやる意味が分からなかった。
 それが香露の話を聞いて武志はパズルのピースが全て埋まった気がした。
 要員に暗示を掛けられたかもしれないというだけで、その要員には徹底的な調査が必要になる。
 情報が漏れたかもしれないというだけで、条件の再検討が必要になる。
 第三国が知っていたら、最初から知っていて手を組んでいた可能性を調査しないといけない。
 日本があくまでも強硬な姿勢で会議に臨んできたら、日本側の真意の把握に時間が掛かる。
 その他、色々なことが考えられる。
 いかにも人間心理のツボを突いた中国らしい作戦だと思った。
 今後日本側は今まで以上に警備や会議の人員を増やさないといけない。そうすれば他に手隙の部分も出てくるだろう。敵ながら考えれば考えるほど良い作戦に思えてくる。
 だが、ここから先を考えるのは自分の分担ではない。もっと頭がきれて経験の有る人達が対策を考えるだろう。今は、香露のことが重要だ。
「それで、任務はどこまで進んだんですか?」
「催眠状態に落として、暗示を掛ける寸前であなたが部屋に入ってきました。それで、何も聞いていません。それに、暗示も掛けていません」
 武志は香露の話を聞いても正しいかどうかの判断が付きかねた。正しいような気もするが、嘘でも確認のしようがない。あの時、香露の足元には無線機が転がっていた。もし、団長から情報を聞き出していたら、すぐに報告ができる状態だった。
 迷っていても仕方が無い、今は時間が重要だ。武志は知香へ報告へ向かうことにした。
「では、服を着てこの部屋で大人しく待っていてください。部屋に鍵は掛けますが、信用して拘束はしません」
 そういい残し武志は部屋を後にして、知香の元へ向かった。

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