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一条流の戦い:第32章

 別荘から戻って数日後、頼子部長から武志に連絡が来た。
「久しぶりに仕事をして欲しいのよ」
 頼子達には驚かされる事が多いが、今回はそれほど驚かなかった。いつか来るだろうと思っていたからだ。前回中国の要員を相手にしてから半年ちょっとがたっていた。
「相手はどんな人なんですか」
「名前はユリア。ロシア連邦エネルギー局のエリート官僚の女性。三十四歳、独身、身長169cm、ブロンドヘアーで結構美人よ」
「そんな人をなぜ」
「彼女は若手女性官僚の中でリーダー的存在なの、同年代男性官僚と比べてもトップクラスの業績を残しているわ。日本政府は彼女が将来ロシアの重要なポストに付くと予想しているの。だから今のうちに日本寄りにしておこうと考えているの」
「彼女以外にも重要な人は他にもたくさんいるんじゃないですか」
「そうだけど、ほとんどは男性で、男性相手じゃ武志君に頼んでも仕方が無いでしょ。それに男性は外国政府が予防線を張ってて調略が難しいのよ。その点女性はまだ監視の目が緩いの。そして日本が今関係を重視しているロシア、インドの中で彼女が一番ターゲットにふさわしいと選ばれたの」
「それで具体的に何をすればいいんですか」
「彼女が二週間後に上司の随行員として日本に来る事が決まったの。その時に武志君の技で彼女に日本男性の良さを教えてあげて欲しいの」
「それだけで良いんですか」
「そう。今回の目的は彼女に日本のファンになってもらう事。そして将来は日本寄りの行動をしてもらうこと。武志君も二十年後に石油不足でガソリンが配給制になったら嫌でしょ。だから今のうちから準備しておくのよ」
 武志は政治の世界も大変なんだなと思った。日本政府も影では色々やっているものだ。
「詳しい作戦は当日が近づいたら説明します。彼女は英語がしゃべれるから特にロシア語の勉強は必要ないけど、後で彼女とロシア関係の資料を渡すから目を通して置いてください。くれぐれも念を押しておくけど、やりすぎて彼女が国を捨てて日本に来たりしないように気をつけてね」
 武志は少し安心した。前回の中国要員の時のように相手もセックスのプロの場合だと厳しい戦いになるからだ。
「分かりました」
「それと、もう一つ連絡が有るの。以前武志君に頼まれた女性で候補が何人か見つかったわ」
 武志は去年、頼子に進路について相談した時に気を持つ女性の捜索について相談していた。
 武志が触れば気を持つ女性かどうかは分かるが、どの位の割合でいるかも分からないのに、女性に触りまくるわけにはいけない。そこで武志は考えた。気を大量に持つ女性の場合は、おそらく周りに自然と気を発散させ、本人の意思にかかわらず男を誘惑しているはずだ。そんな女性はきっと痴漢に会いやすい。痴漢の被害回数が多い女性を探せば気を持つ女性が見つかるかもしれないと頼子に頼んでいたのだ。それが半年以上すぎ、ようやく頼子から返答が来たのだ。
「結構大変だったのよ。警察庁に話を通して担当者を決めてもらって、府警、県警、警視庁に根回しして、鉄道各社にも協力を依頼して。東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、京都、大阪、兵庫の一都二府五県の痴漢多発路線を調べてもらったの。そこで痴漢被害回数の多い女性を調べて、示談金目的や自意識が過剰すぎる人、本人にあまりに隙が多いのを除いて残ったのが、この五人。この五人は隊員に尾行させたけど、不思議と痴漢されてるわね」
 そう言って頼子は五人の女性の資料を武志に渡した。1から5までの番号が振ってあり、写真と住所氏名等の個人情報が書いてある。
「その番号順に調べてね。上位二人はもし気の才能があるならS部隊にスカウトしてもいい人よ。でもこの二人の場合は、きれいでスタイルが良いから痴漢された可能性も有るわね。残りの三人は容姿、知能の面で採用は難しい人。でもそれなのに痴漢被害が多いと言う事は気の才能の持ち主の可能性が有るわね。今回調べたのはあくまでも申告があった場合だけだから、申告しない人の中にはもっとたくさんいるかもね。今後はどうやってその人達の中から探していくかが問題だけど」
「それなんですけど、痴漢被害カウンセリングというのはどうでしょう」
 武志は思い付いた事を話した。高校や短大にカウンセラーを派遣したり、既にカウンセラーが居る所から情報を収集して、被害者から匿名を条件に色々話を聞く。これならある程度偏差値で学校を絞れるからS部隊の要員候補として効率的に調べられる。
「確かに良いかもね。検討してみます。いずれにしろ痴漢被害者を隊員集めの候補にするのは良いアイデアだから、今後も続けていきます。お礼を言うわ」
「いえ、半分は自分の為に考えた事ですから。それより、候補者には会わせてもらえるんですよね」
「もちろんそのつもりよ。毎週一人ずつ武志君が接触できるように手配するわ」
「それと代わりといっては何ですが、お願いがあるんですが」
 武志は試験勉強の家庭教師をお願いしてみた。冬からずっと医学部編入試験の勉強を続けているが武志は行き詰まりを感じていた。過去問題を手に入れ独学で勉強しているが英語はまだしも、生物はほとんどゼロからの出発だったし、小論文は誰かに添削してもらわないと自分では出来が良く分からない。
 周りに適任者がいなくて困っていたのだ。
「その位なら簡単よ。無料で派遣してあげるわ。私としても武志君には合格してもらいたいから。がんばって合格してね」
 武志は断られたらどうしようかと思っていただけに安心した。
「もう一つ、相談があるんですけど」
「何かしら」
「えー……、あのー、えっとー」
 切り出しにくい話に武志は言い淀んでしまう。
「忙しいから、早くしてくれるかしら」
 頼子のせっかちな性格からか、言葉がちょっときつい。
 武志は意を決して話した。
「あのー、俺は彼女を作っても良いんでしょうか」
 武志は恥ずかしさで真っ赤になりながら頼子に聞いた。
 頼子はえっという感じで少しポカンとした後、くすっと笑った。
「先に彼女を作っておいて今さら何を言ってるの。別にかまわないわよ。プライベートな事まで感知しないわ。でも彼女に部隊の話をしたら、武志君も彼女も安全を保証しないけどね。それと病気だけは気を付けてね」
 自分の日常生活を黙って調べられていると知り、武志は不機嫌になる。聞くんじゃなかった。でも自分も美咲に政府の秘密の仕事をしている事を話しているので強く抗議できない。武志は黙っている事にした。

 次の日から武志の毎日はさらに忙しいものになった。毎日の日課の鍛錬はそのままで、大学の講義は真面目に出席する。四年になったので講義の数は少ないが、今の心理学の教授に少しでも好印象を与えて、医学部の教授に受験の根回しをしてもらわないといけない。
 それから週に二日、火曜と木曜にS部隊との訓練が有る。頼子に色々世話になっている都合上やらない訳にいかない。そして、週に三日、月水金は頼子に紹介してもらった家庭教師から生物と小論文の授業を受ける。それから土日のどちらかで痴漢被害者の調査があり、残りの休日は美咲や瞳と合う。そして空いている時間は英語の自習をするか、美咲とメールをしたり携帯で話をする。
 もうこの頃には武志は就職活動を完全に諦めていた。忙しすぎて体が足りない。というかこの時期に決まっていないなら見込はほとんど無い。
 絶対に編入試験に合格するぞと自分に誓う。ダメならその時考えようと思っていた。試験浪人、就職浪人、マッサージの専門学校、S部隊と選択肢は複数有る。今は合格する事だけを考える。
 そして土曜日、武志は一人目の痴漢被害者の所へ向かった。都内在住なのでS部隊の車で向かう。
 被害社宅の近くでワンボックスの中に待機させられる。他にいかにもギャル系に扮装したC級隊員が二人と作戦責任者としてB級隊員が一名乗っている。三人とも見た事が無い顔だが、かなりの美人だ。
 狭い車内で美人三人に囲まれ、武志はドキドキしていた。作戦前の緊張だけではなかった。今まで何人もの美女に会い慣れているつもりだったが、初めての女性の前だとどうしてもあがってしまう。
 今回の対象者に触れる作戦は実に単純だった。対象者が道を歩いていると、おしゃべりをしながら歩いているC級隊員にぶつかって転ぶ。すぐ近くを通りかかった武志が手を差し伸べるというものだ。
 車で待機して二時間、対象者が部屋を出たとの連絡が入る。徒歩で駅に向かっている。
 そこで駅に先回りをして、彼女の自宅方向へ歩き始める。隊員二名が先で、その少し後を武志が歩く。前から対象者が歩いてくる。写真よりきれいに見える。確かに彼女なら隊員にスカウトされても良いくらいの美貌だ。スカートから伸びる足もすらっとしている。
 二人の隊員は前を見ないで大きな声でおしゃべりしながら歩いている。そして彼女とすれ違う瞬間、一人の隊員がやだぁーと言いながらもう一人を押す。押された方がよろけて対象者にぶつかる。
 対象者はどすんと尻餅をついた。二人の隊員は対象者がころんだ事に気が付かない風を装いながら、そのまま歩き去る。完璧な演技だ。あとは武志がうまくやれば良い。
 対象者は尻餅をついたまま二人を睨むがもう通りすぎた後だ。
 武志は急いで対象者に近寄り、手を差し伸べる。大切な一瞬だ。彼女に手を断られたら全てが台無しになってしまう。目一杯心配そうな顔で対象者に話しかける。
「大丈夫ですか」
「ああ、ありがとう。大丈夫よ」
 対象者が武志の手を握る。細く長い指をしたきれいな手だ。武志はその手をそっと握る。
 ダメだ、何も感じない。普通の人だ。
 武志は彼女をやさしく引っ張り上げ、落ちているカバンを拾ってやる。もう作戦は終了した、早く立ち去るに限る。
「それじゃあ」
 武志はそれだけ言うとその場を立ち去った。彼女の視線を背中に感じるので、最初の交差点で角を曲がり彼女の視線から外れる。しばらく歩き続けると携帯が鳴った。
「彼女は駅の中に入ったわ。今から車を回すから」
 すぐに車が現れ、武志は乗り込んだ。
「どうだった?」
 B級隊員が武志に尋ねる。
「ダメです。普通の人でした」
「そっか、彼女はきれいでスタイルが良いから痴漢に会ってたのね。気が強そうな人だから、我慢なんかせずにその都度駅員に突き出していたから被害届けの回数が多いんだわ」
 武志は作戦が終わってほっとしていたが、収穫が何も無い事は残念だった。この方法で気を持った女性を探す事ができるのか少し心配になる。
「どうする、他の女性への接触は止める? 頼子部長からは貴方の指示に従いなさいと言われているけど」
 最初の二名はやる前から可能性が低いことが分かっていたのだ。ここで止めるのは中途半端だし、もったいない気がする。武志は今回対象の五人は最後までやる事にした。
 翌週の土曜日、武志は始発の新幹線で大阪に向かった。今度の対象は大阪に一名、神戸に一名だ。面倒なので、間に合えば二人を同じ日に調べる事になっている。
 二人目の対象者は一人目と同じ位のきれいな女性だった。誰かと待ち合わせなのか九時すぎに彼女は外出した。彼女も接触はうまく行ったが、触っても何も感じない。無駄足だった。
 急いで神戸へ向かう。三人目は一人暮らしの短大生で、今日はまだ外出していない。夕方になり今日は諦めるかと思い始めた頃、彼女は外出した。見張りからの連絡では服装からして近所へ買い物に行くみたいだ。
 どこへ向かうか分からないので、一番近いスーパーへ車を回す。真面目そうな外見からして、自炊のための買い物に出かけたと予想した。
 読み通りに彼女がこちらへ向かってくる。今までと同様に二人の隊員がぶつかり、対象者が転ぶ。武志はすかさず駆け寄り言った。
「大丈夫ですか」
 武志が手を差し出すが、彼女はその手を取らない。
「はい、大丈夫です」
 まずい、武志は一瞬迷ったが、手を伸ばして彼女の手をやや強引に握る。その瞬間、彼女の手からかすかなパワーみたいなものを感じる。
「きゃっ」
 彼女が小さい声を上げ手を引っ込める。
「ごめん」
 慌てて武志も手を引っ込め謝る。
「いえ、あの、ごめんなさい、男性に手を握られるのに慣れていないので」
 武志は彼女のバッグを拾い、手に触れない様気を付けながら渡す。
「こちらこそ、それじゃあ」
 武志は不自然にならないように急いで立ち去る。ドキドキしていた。かすかだが彼女の手に触れた時、何かを感じた。気かもしれない。
「どうだった?」
 車に乗ってから責任者に聞かれる。
「感じました。かすかだけど何かを感じました。多分気だろうと思います」
「えっ、そうなの。彼女は気の持ち主なの」
「はっきりとは分からないんです。俺も気を持った女性には今まで二回しか会った事が無いですから。それにかすかな感じですから。でも彼女は普通の人とは違う何かを持っています」
「分かったわ、部長にはそのように報告します。彼女は引き続きマークの必要があるかもしれないわね」
 武志は一般人で初めて気の持ち主らしき人に会い興奮していた。痴漢被害者を探すという作戦が間違っていない事が分かった。それに自分に気を持った女性を探す能力が有ることも確認できた。それだけでも大収穫だ。
 彼女は真面目そうな外見から痴漢に目を付けられ触られたのだろう。それとも彼女の気に誘われたのかもしれない。痴漢はそれで触ってみて気持ち良くてエスカレートして行ったのだろう。
 武志は残り二人についても希望が湧いて来た。

 それから数日後、対ロシア女性の作戦決行日が来た。作戦は簡単だった。まずはC級隊員がユリアの両隣の部屋の男性を部屋から連れ出す。両隣は通訳とボディガードだ。これは念の為で無理には行わない。そして武志がルームサービスの振りをして部屋に侵入して、臨機応変にユリアを調略するという物だ。
 武志は一か八かでやるしかないと思っていた。単純に犯すだけなら気は進まないが簡単だ。叫び声さえ防げば何とでもなる。
 夕方から武志は同じホテルの別の部屋で他の隊員と待機していた。そこに監視班から連絡が入る。
 ロシアの局長が日本外務省職員と出掛ける事になり、ロシア側の通訳と護衛がそれに同行することになった。
 ユリアはホテルで留守番だ。女性が留守番という事は芸者遊びでもするのかもしれない。ユリアには気の毒だが武志達にとってはチャンスだ。両隣の部屋が留守になり、多少の物音なら大丈夫になる。
 今回の作戦は外務省でもごく一部しか知らないはずであるが、作戦の援護の為に上層部の誰かが指示を出してくれたのかもしれない。
 武志は待機したまま、ユリア監視班からの連絡を待つ。ユリアはホテルのレストランで夕食を取った。その時にハーフボトルのワインを飲んでいる。その後、一人でホテルのバーでカクテルを数杯飲んで部屋に戻る。真下の部屋にいる集音係からシャワーを浴びている様子との連絡が入る。
 武志はユリアがシャワーを終え、髪を乾かした頃を見計らってワゴンを押しながらユリアの部屋へ向かう。
 緊張の一瞬だ。ワゴンには救助要請のボタンが有り、押すと応援が来る事になっているが、国際問題や警察沙汰にしないためには武志がうまくやる必要がある。
 武志はドアをノックした。
「誰ですか」
 ユリアが英語で尋ねる。
「ルームサービスです」
 ユリアがドアガードを掛けたままドアを少し開き言った。
「何も頼んでいないわ」
「いえ、局長様からこちらの部屋にお届けする様にとのご指示です」
 自分達だけ楽しむ事の罪滅ぼしか。ユリアはドアを開けて武志を中に入れる。
 ユリアはバスローブを着てその上にガウンを羽織っていたが、髪は乾かしてあり、口紅も引いてある様に見える。上司が帰るまでは不測の事態に備えて、いつでも出られるようにしているのだろうか。
 武志はワゴンをソファーの横に運び蓋を取った。酒はウイスキー、ワイン、日本酒が有り、つまみとしてチーズ、ハム、カナッペなどがあった。
 武志は部屋に入って、そのまま立ち去ろうとしなかった。
 ユリアは不審に思う。日本にチップの習慣は無いはずだ。
 その時、武志が口を開いた。
「ユリアさんに謝らなければいけない事があります。私はホテルの従業員ではありません。私はある人に頼まれて、あなたを気持ち良くする為に来ました」
 武志が拙い英語で話す。
「そう、ご苦労様。でも必要無いから帰って。このお酒だけで十分よ」
 ユリアは動じる事無く言った。
「すみません。それはできません。ご協力をお願いします。武器は何も持っていません。暴力は使いたくないのです」
「帰らないと助けを呼ぶわよ」
「残念ですが、両隣の部屋は誰もいません」
「はめたのね」
「違います。偶然です。しかし、両隣の人は別の方法で連れ出す予定でした」
「何が目的なの。脅迫?」
「違います。本当に気持ち良くなってもらうだけです。終わりましたら、すぐに帰ります。けっして危害は加えません。薬物は使いません。秘密は守られます。記録もされません」
「そんなの信じる事はできないわ」
 ユリアはあくまでも冷静だ。
「では提案があります。せめてキスだけでもさせてください。それがダメなら力でお願いする事になります」
 ユリアは抵抗を諦めた。うかつにドアを開けた自分のミスだ。フロントに電話で確認すべきだった。局長の事が有ったからつい信用してしまった。
 体格からして力ではかなわない。抵抗しても助けが来る可能性は低い。相手の事を信用する事はできないが、今はあきらめて相手の言う事を聞くしかない。そして後から首謀者を突き止めて思い知らせてやるしかない。
「分かったわ。どうぞ」
 ユリアは立ったまま目をつむった。
 武志はここまではなんとかうまくいき一息ついた。抵抗されたら力ずくで抑えるしかなかったが、それは避けたかった。それに今まで力ずくで女性を襲った事が無いし、心理的に抵抗が有り嫌だった。
 ここから先は自分の技次第だ。武志は気合を入れる。精神を集中し、丹田に気を集める。今日の為に数日前から禁欲しているので気はフルに溜っている。二時間以上流し続けられるほどの量が在る。
 武志は処女を相手にするように優しくキスをした。壊れ物を扱う様に両手でユリアの頬をそっと押さえる。日本男子を代表して日本人の細やかさを見せるつもりだ。
 舌と指先からは気を全開で出している。キスだけでユリアをその気にさせなければいけない。その気にさせたところで最後まで持ち込む。
 じっくり、焦らず時間を掛けてキスをする。口を開かせる事ができるかが勝負の分かれ目だ。舌さえ潜り込ませれば、気を一気に効かせる事ができる。
 ユリアは久しぶりのキスに舞い上がりつつあった。この男はキスがうまい。ロシアの男の様に貪るように求めてこない。
 上唇、下唇と交互に唇で挟んで愛撫してくる。合間には舌で唇の表面をチロチロ舐めてくる。それがくすぐったいけど気持ち良い。
 それに男が触れている頬がだんだん熱くなってくる。小指が首に触れているが首も熱くなりゾクゾクした感じがする。
 そこで男が手を背中に回した。優しく体を引き寄せられる。胸が男の体に当たりツンとしたかすかな快感が乳首に起こる。男はさらに背中の手をゆっくり上下に動かす。指先が性感帯を通る時には思わず背が反り、声が出そうになる。どうしてこの男はもっと激しく責めてこないのかユリアはもどかしく思ってしまう。
 武志はユリアのそんな感情を見抜いたのか、ぎゅっと抱きしめる。胸が二人の体で潰され、甘酸っぱい快感がユリアの乳房に広がる。ユリアは思わず口を開いてしまう。
 武志はそのチャンスを見逃さず、舌を潜り込ませる。作戦の第一段階は成功である。次はユリアの体に火をつけて我慢できなくさせる事である。
 武志は片手でユリアの頭を抑えて、口をぴったり塞ぐ。そして舌を絡ませ、気を最大量で流し込む。体の前面をユリアに密着させる。ユリアの胸がつぶれ、武志の肉棒はユリアの下腹部を押す。残った片手で背中の性感帯を探しながら気を流す。
 ユリアはこんな事で感じてはいけないと、必死で落ち着こうとする。不法侵入者に気持ち良くさせられるなど自分のプライドが許さない。それに自分はそんなに性に貪欲な訳ではない。
 しかし、いくら精神を集中しようとしても頭の中が白いガスで覆われた様になり、思考力がどんどん落ちていく。男のキスがうますぎるのだ、キスを止めさせようと思うのだが体が言うことを聞かない。武志に頭と背中を押さえられ身動きできない。
 いつものユリアなら武志を蹴ってでも逃げようとするが、気を送られているユリアはそんな事すら考える事ができなかった。それに下腹部に当たる肉棒がとても硬い。東洋人の肉棒は硬いという噂があるが本当の様だ。硬さと熱さを感じる。思わず子宮がきゅんとうずいてしまう。どんどん快感の事しか考えられなくなる。
 なぜこの男はこんなにキスがうまいんだ。どこの男だ。そういえばこの男の名前は。誰なんだ。
 ユリアは「はっ」と理性を取り戻す。さっきから何度も気が遠くなっている。男のキスが気持ち良くて頭がぼーっとしている。つい両手を上げて男を強く抱きしめたくなる。
 ユリアは処女ではなかったが男と寝たのは随分前の事だった。出世してやると思った時から結婚は諦めている。子供が欲しいと思った事はあるが単に寂しさからだと思い込む事にしている。寂しいだけなら甥か姪の誰かを養子にするのも良いかもしれない。
 だが体が寂しいのはどうしようもない。官僚の自分が男を買う訳にはいかない。自分で慰めるしかない。男を見つけようにも忙しくてままならない。自分の周りにいる独身男性といえば、自分を蹴落とそうとしているか、自分にぶら下がろうとしている男の二種類しか居ない。とても恋愛対象やセックスの対象として考えられない。
 そんな乾いた体に武志のキスが染み渡っていく。自分に開いた穴にぴったりと詰め物をしてもらっている充足感が有る。ふと。このまま流されてもいいじゃないかと思ってしまう。だが、まだ残っている理性が押しとどめる。感じてはいけない。早く終わらせて、この男を帰らせるのだ。
 今でも自分から終わりを告げても良いのだが、キスだけだからと自分に言い訳しながら武志のキスを受け入れてしまう。そうしていくうちにどんどん頭の中が快感でいっぱいになり、ますます止められなくなる。もう悪循環に陥っている。
 武志の両手が下に伸び、ユリアの尻をガウンの上からわし掴んだ。ユリアは思わず武志に抱きついてしまう。胸が二人の体に挟まれて、さらに押し潰される。そこから鈍い快感がズーンと乳房に広がった。
 武志は尻揉みを止めず、尻の根からほぐすように大きな動きで揉みこんでいく。もちろん指先からは気を全開で放出している。それにしてもユリアの尻はでかい。揉み甲斐が有ると武志は思った。おそらく今まで相手をした女性の中で一番尻が大きい。ロシアの女性の特徴なのかもしれない。
 尻肉は指先が沈み込むほど柔らかいが、肌に張りが有る為に垂れていない。まだ直接見てないがかなりの美尻に違いない。
 ガウンの上からでは気の通りが悪い。武志はユリアのガウンとバスローブをたくし上げ、ショーツの上から尻を掴む。そして表面から根までたっぷりと気を染み込ませていく。これだけ大きいと染み込ませるにも時間が掛かる。だが、一度火が付き尻が燃え上がるとそう簡単にはおさまらないだろう。
 尻の性感も豊かそうだ。アナルセックスも経験が有るのかもしれない。フィクションの世界ではアナルセックスの経験者は尻を見れば分かるという事になっているが本当だろうか。武志は尻を見てもさっぱり分からない。
 ユリアの尻は脂がのっていると言うか、かなり豊満な尻だ。きっと今までのユリアの相手は尻をメインに責めたに違いない。この尻を見ては責めずには居られない筈だ。
 ユリアはお尻がどんどん熱くなってくるのを感じていた。お尻を責められるのは好きではない。宗教的な戒律に縛られる気は無いが、普通に愛される方が好きである。それなのに今まで付き合った男はなぜか自分のお尻に執着する。そして好きではないお尻で感じてしまう自分に自己嫌悪を感じる。それを理由に男と別れた事も有る。
 今もお尻から快感がじわじわと湧きあがってきている。お尻全体が熱を持った様になり、揉まれる度にビリビリした快感が背中を走る。
 頭の中は完全にもやがかかり快感だけに支配されている。体はさらなる強い快感を求めてズキンズキンとうずいている。ユリアの手はいつの間にか男の頭と背中に回り、強く抱き、男の舌に吸い付いている。そして体をくねらせ、胸をこすり付けると同時に、肉棒の大きさ、硬さを下腹部で確かめる。
 武志はユリアが堕ち掛けているのが分かった。もう少しでこの段階は終了だ。
 武志はショーツの中に手を入れ、直接尻を掴んだ。尻を揉みながら指をさらに伸ばす。両方の手の指が一本ずつ会陰に届く。肛門と秘肉のぎりぎり近くに指先を当てると、最大限の気を流し込む。
「んん、んんんーんー……」
 武志の舌を吸ったままユリアが声を上げる。かなり効いた様だ。
 武志は止めを刺すために、キスをしたまま体を横にずらすと、ユリアの片胸を空けた。そしてバスローブの合わせ目から手を差し込んで乳房を握った。寝る前だからかブラはしていない。乳房を丸ごと揉みほぐす。胸は割と大きくCカップ以上はあるだろう。Dカップかもしれない。
 三十半ばにしては張りの有る良い胸をしている。ロシアでもエリートは体型維持に努めないといけないのかもしれない。
 表面は張りが有るが中は年相応に柔らかい。力を入れると根元まで指が食い込んでいく。
 武志はキス、胸、尻と三ヶ所を同時に責めながらそれぞれ気を流している。トータルではかなりの量の気を流しているので、普通の人ならば体に火が付き、声を上げ悶える程である。だが、ユリアはまだがんばっていた。
 武志は最後のとどめに乳首を掴んだ。キュッと摘み、クリっと捻り、ピッと引っ張った。そして気を流す。
 ユリアが絶頂への階段を駆け上る。
「あっ……」
 ユリアがまさに絶頂の声を上げようとした瞬間に武志は気を流すのをやめ、手の動きを止めた。
 ユリアはまさに絶頂に達する瞬間にはぐらかされ、何が起きたのか分からない。体が猛烈に切ない。どうして良いか分からない。
(なぜ?)
 武志はキスをしたままでユリアのガウンとバスローブを脱がしていく。帯を解くだけなのでユリアは簡単に全裸にされてしまう。そして両胸を根元から強く揉みほぐしていく。下がりかけたユリアの性感は再び絶頂ぎりぎりまで高められていく。
「んふぅ、んん、んっ、んんんー」
 ユリアはうずく秘肉をどうして良いのか分からない。ただ男の舌を無心に吸い、切ない体を抑えようとする。男が唾液を流し込んでくる。ユリアは貪るように飲み込んでいく。甘い。この男の唾液は甘いと思った。人の唾液がこんなに美味しいと思ったのは初めてだった。
 今までの男の唾液はタバコ臭いか、酒臭いかで美味しいと思ったことは無い。どちらかというと嫌いだった。だが、この男の唾液は美味しい。もっと飲みたい。ユリアは唾液を求めて男の舌を激しく吸う。
 武志はユリアの胸を気が十分に染み込むまで揉み上げた。白い肌がうっすらとピンク色に染まる。ここまでほぐせば十分だろう。もう指で触れただけでイッてしまうほど昂ぶっている。
 武志はキスをしたままユリアをベッドまで導いていく。そして、ゆっくりとベッドへ倒した。
 ユリアは武志の首にしがみ付きぴったりくっ付いた口を離そうとしない。そのままの体勢で武志はホテルの従業員の服を脱いでいく。シャツを脱ぎ、ズボンとトランクスを蹴飛ばすように脱ぐ。靴下まで脱ぎ全裸になると手をユリアの股間に伸ばした。
 ショーツを脱がそうとすると、ユリアは腰を浮かして協力する。膝まで脱がすとユリアが自分で器用に脱いでしまう。これで二人とも全裸になった。
 武志が股間に手を伸ばすと、すでに太ももまで愛液が垂れてきている。そっと秘肉に触れるとドロドロに濡れている。指をずらし、クリトリスを包皮の上から軽く押さえ、気を流してやる。
「んんんんんーっ」
 ユリアの体がピンと伸び体に力が入る。軽く達している。しばらく体が震えた後、体中から力が抜ける。
 武志は息をさせるためにキスを外した。ユリアが激しく息をする。
 ユリアは武志の指が触れた瞬間にイッたのが分かった。触っただけなのに肉棒を入れられたのと同じくらい感じてしまった。まるで自分の体ではないみたいで、まだ体中がビリビリしている。自分の体がこれほどみだらだったとは知らなかった。
 頭の中も快感で埋め尽くされている。もう理性はかけらも残っていなかった。自分がこんなに感じやすいとは思っていなかった。はやく肉棒が欲しい。硬い物で貫いて、秘肉の中をかき回して欲しい。もうそれだけしか考えられない。
 武志は片手でユリアのクリトリスをいじる。今度はイカせない様に絶妙の加減で触り気を流す。そして股間をユリアの顔の側に寄せて、肉棒を口元に寄せる。
 ユリアは焦点の合わないぼんやりした目で肉棒を見ると、口を開き舌を出した。武志が肉棒を突き出してやると、ユリアは何も言われなくても、亀頭を咥え、舌で舐め回した。武志は肉棒の先端からも気を出し、ユリアを気持ち良くしてやる。
 ああ肉棒が美味しい。この男は舌だけではなく肉棒まで美味しいとユリアは思った。それに、この硬さは今まで経験したことが無い。この硬い物でかき回されたら、自分はどうなってしまうのだろう。
 秘肉に早くこの肉棒をうずめて欲しい気持ちと、いつまでもこのままおしゃぶりしたい気持ちが葛藤する。少しずつ咥える量を増やし根元に近い所まで飲み込んでいく。
 もう頭の中は真っ白で、なかば無意識にフェラチオをしている。いつもより深く飲み込み少し苦しいのが心地良い。この男の精液をお腹いっぱい飲み込みたい気持ちになってくる。この男の精液ならきっと美味しい気がする。喉の奥まで突っ込まれ射精されたらそれだけで達してしまう予感が有る。
 欲しい。この男の精液が欲しい。飲みたい。喉の奥でもこの男を感じてみたい。ユリアがそう思った時、不意に肉棒が引かれた。思わず口で追いかけたが間に合わず、肉棒が抜かれてしまう。とたんに口の中がさみしくなり空虚な感じに襲われる。
 だが男は両脚の間に入り、自分の足を持ち上げた。
 男が入ってくる。ユリアの体が期待に震える。入れられただけで自分は間違いなく達するだろう。いまだかつて無いほど感じてしまう予感がする。自分はおかしくなってしまうかもしれない。おかしくなってもいいから壊れるほど激しく突いて欲しかった。
 作戦の最終段階だ。武志は肉棒の先端を秘肉に合わせた。ドロドロにぬかるんでおり、なじませる必要も無く肉棒は吸い込まれるだろう。武志はユリアの腰を掴み、一気に一番奥まで貫いた。
「うおおおおおおぉーー……」
 ユリアが獣の様な声を上げる。武志の肉棒は一番奥まで入り、かろうじて子宮口に触れていた。
 武志は一気に気の塊を一発、二発と送り込む。
 ユリアは背を思い切り反らせ、シーツを強く握り締める。歯を剥き出しにして強く噛み締め、顔を真っ赤にして刺激に耐えている。
 ユリアは何が起こったのか分からなかった。肉棒が入ってきた瞬間に自分が達したのが分かった。待ち焦がれた肉棒に体が自然と反応していた。
 体にぽっかり開いた穴を埋められる感じ、痒いけど手がとどかなった所に手が届いた感じで、体と頭が満足した瞬間だった。
 その時、秘肉の一番奥から一段大きい衝撃が襲って来た。子宮が焼け、背骨が砕け、頭の中が爆発した。今までの繊細で優しい愛撫とは違い、圧倒的で暴力的な快感だった。
 あまりの快感の強さに息をする事もできない。ただシーツを握り締めて耐える。これほど強い快感は人生で経験したことが無い。体中が壊され死んでしまうかと思うくらいの衝撃だった。
 ようやく衝撃がすぎ去っても、頭はいつまでも痺れたままで元に戻らない。全身もビリビリしびれ体の内側から震えが起こる。
 男が大きく抽挿を始める。
「ダメー、ダメー、動かないでー」
 ユリアは叫び、男の体を押しのけようとする。男はユリアの事などお構い無しに肉棒を抉りこんでくる。男の硬い肉棒が遠慮なく秘肉を削っていく。大きくイッたばかりのユリアの体は敏感になっており、男の激しい抽挿には耐えられない。
 男はユリアの叫び声を止めるために、上半身をかぶせ口を塞いできた。そして舌を吸い上げる。腰から下だけを激しく動かし、肉棒を抽挿する。
 ユリアは再び絶頂まで押し上げられる。全身が性感帯になり、男が触れている部分全てが熱くなり快感が湧きあがる。子宮から絶え間なく大きい快感が脳まで届き、体も頭もおかしくなりそうだった。全身がイキ続けている。体の表面が溶け神経を直接触られているかの様な刺激の強さだ。男の体にしがみ付き大きな快感の波に流され続けるしかなかった。
「XXX、XXX、XXXー……」
 ユリアは英語を話すことも忘れ、ロシア語で叫ぶ。
 早く。早く出して。このままでは壊れて死んでしまう。そうユリアが思った時、腹の中で肉棒が膨らむのを感じた。ユリアは両脚を男の腰に絡ませた。
(来る。早く来てー。中にいっぱい出してー)
 男が肉棒を一番奥まで差し込むと先端をぴったりと子宮口に合わせた。そしてユリアはお腹の奥に熱い塊が叩きつけられるのを感じた。二度、三度とお腹の奥を叩かれる。熱い物が体の奥に広がっていく。
 終わった。そう思うとユリアは気を失った。

 ユリアが目を覚ますと、自分はベッドの上で毛布を掛けられ全裸で寝ていた。あっと思い股間に手をやると、きれいに清められている。周りを見渡すと、従業員の男がワゴンを押して出て行こうとする所だった。
「待って、名前も言わずに出て行くの」
 ユリアがねっとりした声で尋ねた。
「武志です」
 武志が振り返り答えた。
「また会えるの」
「あなたが日本のファンになってくれれば、将来再び会えるかもしれません。その時を楽しみにしています」
 そう言って武志は部屋を出て行った。
 ユリアは自分のお腹を押さえ、快感を反芻し、必ず武志を探し出してやると誓っていた。

 ユリアへの作戦が終わってからも武志の忙しさは続いた。編入試験の勉強等を続けたまま、卒論の準備も始まった。そして土曜日には痴漢被害者残り二人の調査が二週に渡って行われた。残念な事に二人とも普通の人であった。おそらく外見がおとなしそうに見えるので痴漢に狙われたと考えられる。
 痴漢被害者の調査が部隊に取って成功か失敗かは分からないが、武志にしてみれば気を持った女性を確認する方法が分かっただけでも収穫である。
 これからは初見の女性を相手にする場合、触れれば気の持ち主かどうかが分かるので戦いが楽になる。しかし、逆に考えると相手が気の持ち主の場合、武志が気を持っている事が相手にばれていると考えて行動する必要がある。自分ができる事は相手もできると想定しておかないと危ない。油断してはならない。
 だが不思議なのは芳玲と戦った時、最初お互いに気を知覚することはできなかった。考えられるのは武志が気を丹田に集中させていたことだ。気を集中させると、体の表面の気は減り、外へ漏れ出ないのかもしれない。そう考えると、相手に触れたからといって必ずしも気の持ち主か分かるとは限らない。
 このことは引き続き調べてみる必要がある。
 調査の件は頼子に任せておけば進捗が有り次第連絡が有るだろうと武志は考えた。

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