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一条流の戦い:第12章

 明日香との対戦から二週間近く経った頃、武志はまだ焦る毎日を送っていた。過去のパターンではそろそろS部隊からの接触が有る。それまでに循環の技を完成させないといけない。そう思いながら実際は一度も成功していなかった。
 大学三年の講義もスタートして、履修届け、教科書購入、ゼミ選択など何かと忙しく、技の練習にあまり時間を掛けられない事情もあった。
 今までの接触パターンは知人からの紹介、大学構内、電話、自宅前で待ち伏せと毎回違う。今回はどうだろうと考えていた。そんなある日、武志は大学から家に帰り玄関に入った。
「ただいまー」
 いつものように母親へ声を掛ける。
「たけしー。お客さんよー」
 母陽子の呼ぶ声がする。誰だろう、人が尋ねてくる予定は無いのにと思いながらリビングへ行くと、女性が一人ソファから立ち上がって武志に向かってお辞儀をした。
 武志は心の底から驚いた。今までもS部隊の人が現れるときは驚かされたが、今回が一番驚いた。
 ただでさえ綺麗な人ばかりで驚かされるのに、まさか家の中に居るとは思いもよらなかった。
「一条流の関係者だと言われるので上がってお待ちになってもらったわよ」
 母は好奇心いっぱいの眼で息子をみながら言った。
 そりゃ年頃の息子を訪ねて年上の超美人がやってきたら誰でも驚くわな。武志は後でどうやって言い訳しようかとため息をついた。
「とりあえず、俺の部屋で話をしましょう」
 明日香が訪ねてきて以来、部屋はいつも綺麗にしている。そろそろ接触してくると思っていたので、いつ来られてもいい様にベッドメーキングも毎朝やっている。
 あきらかにS部隊であろう女性を自分の部屋に案内すると、クッションを勧め座らせた。
 今まで驚いていたので顔をよく見ていなかったが、部屋で二人きりになり顔を見てさらに驚いた。
 明日香で慣れてたいていの美女には驚かないと思っていたが、想像を絶する美しさに固まってしまった。
 狭い部屋で大学生の男と二人で向かい合って座っているのは絶対におかしい。この人はテレビに映っているべき人で、こんな所に居てはいけない。この状態はおかしすぎる。そう考えてしまうほど美しい人だった。
 S部隊にはどこまで美しい人がいるのだろう。
 明日香がトップモデル級の美しさだとすると、この女性はトップ女優でかつCM女王、それくらいの美しさだ。明日香の美しさにオーラを付け加えたかの様だ。
 ファッション雑誌の専属モデルから女優デビュー、現在はトップ女優でドラマやCMに数多く出演、そんなプロフィールを信じてしまいそうなくらい美しい。
 潤んだ瞳は吸い込まれそうで、眉は柔らかいラインで綺麗に整えられている。あまり書いていないのは元々の眉の形が良いのだろう。小鼻が綺麗にふくらみ鼻は小高い、多くの日本人の様に上を向いて鼻の穴を開けっ広げにさらしてなどいない。下唇がちょっと厚めでぽってりしていて美味しそうだ。それらのパーツがバランス良く配置されている。髪は長く背中と胸元におろしているが微妙にウェーブして軽く感じさせる。色はやや茶髪で顔を明るく見せている。
 年は二十代後半で明日香より少し年上だろうか。

 もし本物の女優が目の前に座っていたら誰でも固まってしまうだろう。
 当たり前のように武志も固まり、ぽかんと女性の顔を見つめていた。
「はじめまして、今回の武志さんを勧誘する作戦の責任者の彩音《あやね》と申します。お話があって参りました」
 彩音の声が武志の耳を素通りする。
「あの、突然お邪魔してご迷惑だったでしょうか」
 彩音のたずねる声に武志は気が付いた。
「あっ、いえ、いや、そのー、あまりに綺麗な人でびっくりして。で、そのー、何ですか」
「お話させて頂いてよろしいでしょうか」
「はい、どうぞ、よろしくお願いします」
 武志はまだ驚きが覚めずちょっと混乱して変なしゃべりになってしまう。
「S部隊について大体の話は明日香からお聞き頂いたと思うのですが、最後のお願いに参りました。まだ、お気持ちは変わらないでしょうか。我々にできる事でしたら何でもやらせて頂きたいと思いますのでご希望がありましたらおっしゃってください」
「いえ、希望とかが有る訳じゃないんですよ。大学や修行があるし、じいさんが断ったのを俺がやるのも良くない気がしますし。じいさんは一応俺の師匠ですから」
「でも、明日香で分かっていただけたと思いますが、S部隊にはレベルの高い女性が揃っています。彼女達を相手に訓練する事は我々にとっても武志さんにとっても技術の向上に繋がるのではないでしょうか。それに大学卒業後、我々の部隊に就職して頂く事も可能です。そうすれば技術の向上に専念できますし結果として一条流の発展に繋がればお爺様も喜ばれるのではないでしょうか」
「確かにその通りなんですが、最後だと思ってぶっちゃけて言いますと、何か違う気がするんですよ。俺は見た目は普通の奴ですよ。一条流の技が無ければ、明日香さんみたいな綺麗な人とセックスする事は一生無かったと思います。今でも毎週日曜日はセックスしまくっています。見た目普通の俺が、そんないい思いしていいんだろうか。何かばちが当たるんじゃないか。先祖は俺にセックスをさせるために技を磨き伝えてきたんじゃ絶対無いぞ、と思うんです。世間知らずの若い者が何を甘い事をとか言われるとその通りなんですが、そう思っちゃうんです。実際俺は就職した事も無い、親のすねをかじってる単なる大学生なんです。もう少し大人になるまで待ってもらえないでしょうか。大人になったら考えも変わるかもしれませんし」
 武志は自分の思いを一気に話した。
「お金とか、セックスの相手とか条件の話ではないとおっしゃる訳ですね。でも、我々にもすぐにでも協力を要請したい訳があるんです。冷戦構造の崩壊後、世界は低強度紛争 Low Intensity Conflict(LIC) の時代に入ったと言われています。二つの国の軍隊が全面戦争をするのではなく、複雑に利害の絡み合った集団が戦争以外の方法で競い合う時代です。そこで重要になるのは情報なんです。日本でもようやく諜報部隊の重要性が認識され、拡充されてますがはっきり言って人員不足なんです。特に教官が不足しています。それはS部隊も同じ事で、教官の不足はひどくて男性教官にいたっては専任は一人も居ない状態です。このままでは日本の平和が守れない状況なんです。今でもどこかで日本人が外国人諜報員によりセックスで虜にされ重要情報が漏れているんです。実戦に参加しなくても教官としてだけでも参加して頂けないでしょうか。安全と秘密は絶対保証いたしますし、金銭的にも、他の事でもできるだけの事はしますのでお考え直して頂けないでしょうか」
 武志はしばらく考えた後、口を開いた。
「戦争に行ったひい爺さんは多分国そのものにがっかりしたんだと思うんです。だからひい爺さんに戦争の話を聞いて育ったじいさんも国と関わり合うのを避けたんだと思う。それに爺さんは空襲体験もあるし。そんな爺さんの気持ちは大切にしたいんですよ。俺も実際、スパイがどうのとか話をされても想像付かないし、やれそうな気もしないし。でも、それでも、どうしてもって言うなら、せめて後二年待ってください。そしたら俺も覚悟ができるし、技ももう少し上達してると思うし、大学も卒業するし」
「では二年後ならご協力していただけるという事ですね」
「違いますよ、二年後にもう一度考えさせてって事ですよ。ただ、その時には今よりいい返事ができると思うって事です」
「分かりました。そこまでお考えでしたら、これ以上は申しません。責任者である私の判断でこの勧誘作戦は中止にさせていただきます。上司にも待つように進言します。ただ、一つだけお願いを聞いてください。私とも寝てください。この作戦の責任者として、また、S部隊と自分の意地とプライドにかけて、このまま終わらせる訳にはいきません。これだけは是非ともお願いします」
「絶対にこれで最後ですね。間違いないですね」
「保証できるものは何も無いのですが、私自身に懸けてお約束いたします」
「分かりました。信じますよ」
「では、次の土曜日、午後一時にこちらまでお迎えにあがります」
 話が終わると彩音はあっさりと帰って行った。
 武志は母親に彩音の事を聞かれたが、一条流の弟子希望者だけど断ったと話した。母親は納得しなかったが、嘘ではないよなと武志は思った。
 次の土曜日まで三日。循環の技が完成していない今、勝てるのか。
 もてる技と力を全部出して戦うしかない。今度こそ負けるかもしれないが仕方が無い。くやしいけど、それでS部隊があきらめてくれるなら我慢しよう。それより後三日で何ができる、何をすれば良い。武志はいろいろな事を考えていた。

 土曜日当日、明日香の時と同じ車で同じホテルに連れて行かれた。部屋は前回より少し広くなっていた。諜報部隊でも上下関係はあるんだなと武志は思った。
 部屋で二人になり、武志は彩音をじっくりと見た。今日は会うのが二回目というのもあり、前回よりは落ち着いて相手を見ることが出切る。先日彩音が訪ねてきたときは、驚いたのと顔ばかり見ていたのとで、服やスタイルにはほとんど眼をやらなかった。
 今日の彩音の服装は少し地味だった。長袖で膝上までのワンピースで普通のどこにでもある物だ。ゆったり目なので体のラインを隠し、スタイルは良く分からない。ただ、胸のふくらみと裾からのぞく脚をみるとスタイルは良さそうだ。B級の明日香があれほどの女なのだ。彩音はもっと凄いのだろう。
 それなのに、この地味な服装は自信の表れか、意図でも有るのか。武志はいぶかしんだが分からない。
 地味な服装でも彩音が着ると印象が違って見える。ドラマの中のワンシーンを見ている感じがする。現実離れしてしまうのだ。
 部屋に入ると彩音は武志のジャケットを脱がせハンガーに掛ける。
 何か話をしようとする武志をやさしく抱きしめて言葉を止めた。両手を背中に回しキュッと軽く抱きしめる。
「今日はいっぱい気持ち良くなってください」
 彩音が武志の耳元でささやいた。
 それだけで武志は完全に舞い上がってしまった。両腕は横にだらりと下げ、ただ棒立ちになっている。
 明日香の時は美しすぎて逆に穢したい欲望に駆られたが、彩音の場合は明日香以上の美しさへオーラが加わり、神聖な穢してはいけない物の様な気がしてくる。それで手が出せない。
 顔に髪の毛が当たり、さわさわして気持ち良い。髪からはシャンプーの残り香か甘ったるい香りがする。胸には柔らかい乳房を感じ、背中に回された手からは体温を感じる。
 彩音は武志が少し落ち着くまでそのままの体勢でいた。そしてちょっと顔を離して武志の顔を見つめると微笑んだ。
 武志はズギューンと撃ち抜かれた。胸の奥から後頭部まで急に熱くなる。
 彩音は背伸びをして両手を武志の首に回し、唇を近づけた。
(ああ来る。あのきれいなぷるぷるした唇が近づいてくる。来た……)
 彩音が顔を少し傾け、唇をそっと触れさせる。
(ああキスしてる。こんなきれいな人とキスしてる。ほんとにいいのか。でも柔らかい。彼女の吐息が顔に掛かる。良い匂いがする)
 彩音はチュッ、チュッと軽いキスを繰り返す。最初は唇だけだったが途中からキスをする時に舌がちろっと出てきて武志の唇をほんの少し舐めていく。
 武志はただそれだけのキスですでに溶けかかっていた。肉棒には血液が集まり硬くなり最大限に大きくなっている。
 武志の緩んだ口に彩音の舌が入ってきた。じゃれるように舌に絡みつく。武志はもう我慢できずに彩音の舌を吸った。甘くて柔らかくて美味しい。無心に吸っていると唾液が舌を伝って流れてくる。武志はその唾液をすすり飲み込んでいく。飲んでも飲んでも新しい唾液が送られてくる。武志はただ何も考えずに唾液を味わい飲み込んでいく。
 武志が飲み疲れ一息入れた所で彩音の舌が口の中をくすぐり始める。上あごや下あご、歯茎を余すところ無く舐めていく。くすぐったい様な気持ち良さに武志はさらに溶けていく。
 武志がすっかり溶け切った所で彩音はキスしたまま武志のシャツのボタンを器用に外していく。ボタンを外し終わるとズボンからシャツの裾を抜き、武志からシャツを脱がす。
 シャツの次にズボンのベルトに取り掛かる。ベルトを外し、ファスナーを降ろすとズボンは床に落ちる。
 武志はズボンから脚を抜くと遠くへ蹴り投げる。トランクスと靴下という恥ずかしい格好になる。
 彩音は両手を体に這わせながら、キスの場所を変えていく。まずは頬を通って耳へ行く。
 耳たぶや耳の裏側にキスしたり舌でくすぐる。武志はくすぐったいのを首をすくめて我慢する。舌は耳の表側から穴まで進む。武志の耳の中にクチュクチュという音が大きく響いてくる。耳全体がべとべとになるまで彩音の舌は止まらない。
 片方の耳が終わるともう片方の耳で同じ事をしていく。両方の耳がべとべとになった所で、ようやく次の首筋へ向かう。ここでも舌での愛撫は執拗で何度も何度も往復する。舌を広げて幅広く舐めたかと思うと、舌先を尖らせてツツツーと舐める。また、舌先で円を描きながら移動し、螺旋型に唾液の後を付けていく。またチュッチュッと跡が残らない程度に唇を押し付け吸い付いていく。右側が終わったら左側、その次に正面と少しも残す事無く舐めていく。
 彩音が舐めた所は濡れてひんやりするがしばらくすると少しずつ熱くなってくる。キスを始めて十分以上たつがまだ首から上しかキスされていない。後は背中や腕をさわさわと撫でられただけだ。
 いつまでこの愛撫が続くのか、武志の体はもっと強い刺激を求めて疼いている。彩音は服さえ脱いでいない。
(もう我慢できない)
 武志は我慢ができずに彩音の舌が移動の為離れた瞬間を狙って、彩音を横向きに抱きしめる。
 片手で頭を抑え、上から唇に激しく吸い付く。片手で服の上から胸を揉みしだく。胸は揉むのに十分な大きさで、柔らかいながらも弾力がある。揉み心地が良い。指先から気を送りながら、右、左と交互に揉みまくる。
 口には唾液を流し込む。湧き出るそばから彩音の口の中へ流し込む。彩音は口の中に溜ると、こくんと飲み込んでいる。
(この美しい人が自分の唾液を飲んでいる)
 普通ならありえない状況に武志の興奮は最高潮に達する。
 思わず熱く猛りきっている肉棒を彩音の腰に押し付け、軽くこすり始める。それだけでも腰が痺れるほど気持ち良い。これほど美人相手だと何をしても気持ち良く感じる。
 武志は彩音の口から声が漏れるまで、胸を揉みキスを続けた。彩音の舌はいくら吸っても飽きない。いつまででも吸っていたくなる。
 彩音の漏らす声が『んふ、んふ』から『んふーん、んふーん』と艶かしさを帯びたものに変わってくる。鼻から出す吐息も強くなってくる。
 もう十分体に火は付いた筈で胸は熱くなっているはずだ。武志は彩音を正面から抱くと、背中に手を回しワンピースのファスナーを降ろしていく。そして腕を抜かせるとストンと床へ落とす。
 武志は彩音をベッド脇に立たせた。自分はベッドの端に座り彩音を視姦する。
 下着は白のブラとハイレグショーツで刺繍やレースが多く高級そうな物だ。彩音の雰囲気に見事に合っている。腕や脚は細くて長い。少し華奢な感じがする。乳房の下にはかすかにあばらが浮き出ているが気になるほどではない。体は色が白く、胸元だけがほんのりピンク色になっている。
 明日香の上司だからA級なのだろうか。さすがの美しさである。体だけを見ると、明日香の方が良いかもしれない。確かに明日香の方が胸が大きくウエストも細い。だが、全体をみれば彩音の方が武志のタイプだ。明日香は整いすぎて人工的な感じさえする美だが、彩音は全身から貴くてかつ全てを包み込み癒すような雰囲気がにじみ出ている。
 武志はようやく思いついた。彩音の美しさを表す言葉がなかなか思い浮かばなかったが、下着姿を見て分かった。
 明日香がギリシア彫刻の様な美なら、彩音は女神の様な美なのだ。
 彩音は下着姿を見られても恥ずかしがる事も無い。手を後ろで軽く組み、武志の視線を受け止めている。全身からオーラを発し、見るものを魅了する。
 武志は、この人を犯してはいけないという気持ち、この人に癒されたい気持ちが心の中に湧き上がりせめぎあうのを感じる。
 視線を彩音に向けたまま固まってしまった。
 彩音は武志の前で正座すると、足を持ち上げ靴下を脱がせた。両脚脱がせた所で、トランクスに手をかける。
 肉棒が引っかかるのを押さえながらトランクスを脱がせていく。
 肉棒が跳ね上がり彩音の顔の前に突き出される。
 彩音は顔を背けずそのままトランクスも脱がせた。
 顔の前へそびえ立つ肉棒を両手で捧げ持つようにして、口を開いて顔を寄せていく。
 彩音は口を開いても美しい。その口が醜悪な肉棒に近づいていく。
 彩音が口に咥えた瞬間、武志は震えるような感動に包まれていた。なんと表現すれば良いか分からない。言葉にならない。
 この美しい人が自分の肉棒を咥えている。亀頭から彩音の口内の感触が伝わってくる。温かくてしっとりしている。
(美しい)
 彩音が眼をつむり肉棒を咥える顔は、やはり美しい。そのようにしか表現できない。口を開いている所はあどけなささえ感じて新しい魅力を発見したように感じる。
 彩音は武志に感動を噛み締めさせる為かしばらくじっとしていたが、やがて動き出した。
 舌が亀頭を満遍なく舐めまわし、時に先端も刺激する。唇をもぐもぐさせ淡い快感を感じさせる。
 そして白く長く細い指を肉棒に絡めるとしごき始める。白い指が肉棒に絡みつき優雅に動き始めると、とても淫靡な物体に見える。けがれの無い顔との対比で余計にいやらしく見える。
 彩音は指と同時に頭も動かし始める。さすがにA級のフェラである。明日香以上に素晴らしい。一流である。
(す、すごい)
 唇、舌、頭、指、どの動きをとっても文句の付け様が無い。唇は適度な圧力で肉棒を挟み、さらに圧力に微妙な強弱を付けている。カリが通る時には引っ掛けるような動きをする。舌は先端から、くびれ、棹まで複雑な動きで這い、時に棹に巻き付く。頭も単なる上下運動だけではなく、回転、逆回転と動き、根元近くまで飲み込んでいく。指も頭と強調しながら同じ方向、逆方向と動きながら適度な力でしごいていく。さらに時おり当たる歯も痛さを感じさせずに適度なスパイスとなって快感を増す。
 これらの動きが複雑に組み合わされ、予測のできない動きをしてくる。今まで経験した事の無い気持ち良さである。
「気持ち良いですか」
 明日香が下から見上げながら聞いてくると、武志は大きく何度もうなずいた。
 武志は射精を押さえるのに必死である。これだけのテクを堪えるのでも難しいのに、相手は彩音である。
 ほんのわずかに眉間に皺を寄せる顔は被虐的な美しさを感じさせるし、時おりわざとしているのか口を突き出し美貌を崩すのは、とても卑猥な感じがする。さらに武志の顔を見上げる眼は潤み、自分も興奮しているのか顔を赤らめ、少し呆けた顔をしている。
 さらに彩音は空いた手で愛撫を始める。袋を手の平に乗せゆるゆる転がしたり、玉を潰さないようにもみもみ揉んだり、太ももの内側の敏感な部分を軽いタッチで撫でてくる。
 さらに彩音は口で肉棒を吸引し、頭の動きを激しくしていく。
 今までで最高のフェラだ。このまま出してしまおうか、いやもっと味わっていたいと武志は迷っていた。しかし、体の方は袋がキュッと上に持ち上がりいつでも射精できる体勢に入っていく。
(あーダメだ)
 このままでは出てしまう。我慢しきれない。武志はそう思い始めていた。
 しかし、彩音は射精が近付いたのを知ると動きを徐々に緩め、武志を射精させないようにする。
 武志はもっと強い刺激が欲しくて、自分から腰を突き出すが彩音はタイミング良く頭を逃がし、今以上の刺激を与えないようにする。
「彩音さん、もっと」
 武志は体にすっかり火がつき、どうにかしたい、どうにかしてと悶々とする。
 彩音はさらに動きを緩め、ついに口を離してしまう。
 武志の肉棒は刺激を求めヒクヒクしている。触れれば弾けてしまいそうな程、最大限に勃起している。
 彩音は武志の手を引き、ベッドに仰向けで寝かせる。
 武志はやっと挿入かと期待した瞬間、彩音は武志の両脚を持ち上げ、さらに意外な力で尻も持ち上げると体を滑り込ませた。武志の肛門が天井を向く。ちんぐり返しの体勢だ。
「武志さんはここがお好きって聞きましたので」
 そういうと、彩音は蕾に吸い付いていった。
「あああああー……」
 武志は突然のアヌス責めに大声を上げた。彩音に蕾を見られるだけでも恥ずかしいのに、口を付けられ、しかも思い切り中味を吸われている。
 両脚の間から口を突き出している彩音の顔が見える。その眼からは清楚な雰囲気は消え、おもちゃを喜ぶ無邪気な色と、獲物をねらう大人の淫靡な色が混ざっている。
 武志は頭がパニックになっていた。肉棒がはちきれるほど昂ぶっている所に、蕾に激しい刺激を与えられる。しかも相手はあの美しい彩音である。彩音が男の肛門を吸う姿など想像できなかったし、してはいけない気がしていた。それが目の前で現実になっている。
 射精感は限界まで高まり、軽く触れただけで噴き出してしまいそうだ。彩音はさらにじらすためか、もっと尻を味わうためか肉棒に触れてこない。
 思い切り吸った後、彩音は舌で蕾をほぐし始めた。丁寧に唾液を塗りこめ蕾を柔らかくしていく。時おりイタズラのように会陰から袋にかけて舌を伸ばしたり、尻肉を甘噛みしたりする。
「んんー、んんー、んんー、んんー……」
 武志は息を止め必死に肛門からの背徳の刺激に耐える。
 彩音は蕾をほぐし終わると舌先を尖らせ蕾へこじ入れる。武志は入れさせまいと、息を止め肛門を締めて抵抗する。
 だが、息が苦しくなり息を吐いた瞬間、蕾が緩んでしまう。
 それを待っていた彩音はすかさず舌を突き刺した。
「いいーっ」
 武志は慌てて肛門を締めるが彩音の舌は既に内側に潜り込んでいる。舌が蕾の中でうねうね動き始める。
 武志は息んで舌を押し出そうとするが、それくらいで舌が出て行くことは無く、逆にもっと奥へ入り込もうとしてくる。明日香の鼻息が袋にあたり快感に風味を添える。
 武志は何度も肛門を締めるが、それは逆に肛門で舌を挟む事になり甘黒い快感が武志の背中を駆け上げる。順子との時もそうだったが、肛門で舌を食べるのがこんなに気持ち良いとは。しかも相手は美しい彩音である。この美女の舌を肛門で食べていると考えるだけで頭がおかしくなりそうなくらい興奮する。
 武志の体ではいつの間にかスイッチが通常の世界からアヌスへの黒い愉悦に切り替わっていた。蕾からの快感が増す一方、肉棒はだんだん萎えていく。
「あああああー……」
 武志は体の力を抜き、ひたすら肛門の開け閉めだけを行い、肛門で舌をもぐもぐ噛み締める。彩音はそれを助けるように両手で尻を割り開き、顔を尻に押し付け少しでも奥へ舌を入れる。
 頭の中は肛門からの背徳的な快感でいっぱいになり、だんだん何も考えられなくなっていく。ただひたすらこの快楽が続く事だけを考える。
 だが、永遠に続くかに思われた快楽に終わりが訪れる。彩音の舌の疲れが限界に達したのだ。長時間舌をいっぱいに伸ばし、力を込めて穴をほじり続けたため、痙攣する寸前になっていた。
 彩音は仕方なく舌を抜き、代わりに蕾にキスをして中味を吸い出した。柔らかくなっていた穴から汁が吸いだされた。ほとんどは彩音が入れた唾液だったが、彩音の舌に少しだけ苦い味が広がった。
(あっ、汁を吸われてる)
 武志は汁が蕾を通り吸われる感覚を覚えた。自分の肛門の汁が吸われる事に衝撃を受けた。彩音がそんな汚い物を口にする事は考えられないし、恥ずかしすぎる。自分の汁を吸って彩音がどう思ったのか。武志はどうしてよいか分からず叫んで逃げ出したくなる。
 彩音は顔色一つ変えず、武志の脚を下ろすと、柔らかくなっている肉棒をしごき始める。そして、乳首から脇の下にかけて舌を這わせた。
 武志の体は快感のスイッチをアヌスから通常へすぐに切り替えた。肉棒へ血液が集まり、いくらもしない内にガチガチに硬くなる。
 彩音の口技は乳首にも有効で幾通りものやり方で舐め、吸った。そして武志の腕を挙げ、脇の下を舐める。
「あ、あー……」
 そこを舐められ武志は体をよじらせた。くすぐったい中に気持ち良さがある。肉棒をしごかれながら舐められると快感が倍増する。股間から背筋にぞくぞくする快感が走る。はーはーと大きく息をしながら快感を噛み締める。
 ここまで彩音は下着をつけたままだったが、舌を這わせ肉棒をしごきながら片手でブラを外した。片手ずつ腕を抜くと遠くへ投げやる。そしてあらわになった胸を武志の体に擦り付ける。
 武志は柔らかい乳房の中心に硬くなった乳首が在るのを感じ取った。
 それから彩音はだんだん体をずらし、口と乳房での愛撫の位置を下げていく。乳房が肉棒に達し、乳房を肉棒へ押し付けマッサージしていく。
 パイズリができるほど大きい訳ではないが、押し付けてもらうだけで武志は十分に気持ち良い。
 そして胸を押し当てながらショーツを脱いでいく。脱ぎ終わったショーツも遠くへ投げやった。
 彩音は全裸になると今度は徐々に上へずり上がっていく。そして武志とほぼ同じ所までくると肉棒を掴み、流れるような動きで秘肉に飲み込んでしまった。
「うわぁー」
 突然の快感に驚きの声を上げる。準備していなかっただけに快感を抑える事ができずに一気に頂上近くまで駆け上がる。ただでさえ、キス、フェラ、アヌス責めとほぼ一方的にここまで責められ、体中に火がつき昂ぶっていた。そんな状態で秘肉に肉棒を咥え込まれ、武志は危うく暴発する所を意思の力でなんとか押さえ込んだ。
 彩音は秘肉の中にも素晴らしい魅力を持っていた。明日香同様中は複雑な構造で、細かい襞やざらざらが肉棒にまとわりついて来る。そして入り口は肉棒をしごき上げる為にキュッと締まっている。さらに凄いのは、入れたままじっとしてると根元から亀頭に向かって精液を搾り取るように秘肉が動くのだ。A級ともなると秘肉の筋肉を自由に動かせるのだろうか。
 武志は入れたままで動いていないにもかかわらず、早くも射精の危機に陥っていた。
 このままでは、やばい。そう思った武志はダメ元で回収・循環の技にかけるしかないと思った。
 彩音の体を抱き寄せ体を密着させる。弾力のある胸が当たり気持ち良い。顔を引き寄せ唇を奪い舌を吸う。先ほどまで自分のアヌスを吸っていた事など少しも気にならなかった。というか考えているゆとりが無かった。一刻も早く技を仕掛けないと自分はいくらも持たない。
 武志は腰を押し付け肉棒の先端で子宮口を押した。そして大きな気の流れを奥へ向かって打ち込む。一発、二発と立て続けに撃った。
「んふー……、んふー……」
 口をふさがれ声を出せない彩音が喉の奥からうめき声を上げる。一気に体に火がつき子宮が熱く燃えうずき出す。何が起こったのか分からず驚いた様に眼を見開き武志を見る。
 武志が放った気は早くも背中、延髄、脳へと流れている。武志は必死になって舌を吸い、気を吸取ろうとする。
 しばらくしてじわっと気が彩音の口中ににじみ出てきた。やがてそれがじわじわじわと量が増えていき、ピュル……、ピュルと断続的にほんの少し噴き出し、やがてぴゅるるるーと細いながらも連続的に噴き出し始めた。武志はその気を取り込み自分の体の中へ収めていく。
 気の回収の道もでき、武志は肉棒の先端から気を連続的に流し始める。
 彩音も何か普通と違う事に気が付いた。ただ武志に子宮口を押されているだけなのに、どんどん快感が生まれて背筋から頭へと駆け上がっていく。このままではまずい、本能と経験が彩音に注意を発する。
 彩音が腰を振り始める。上半身を武志に押さえられてしまっているので腰から下を動かせる範囲で激しく振る。その動きに合わせて秘肉をギュッギュッと締め上げる。入り口は指でしごくかのようにきつく締まっている。
「うおぉぅっ」
 今度は武志が悲鳴を上げる番だった。動かなくても出そうだったのに、彩音がリズミカルに締め付けながら秘肉で肉棒をこすり上げる。しかも経験人数がそれほど多く無い武志でも分かるほどの名器中の名器なのだ。あっという間に武志は限界まで追い込まれる。腰の辺りはピリピリと快感で痺れている。
 袋は持ち上がり精液の準備を終え、肉棒は最大限まで硬く太くなっている。亀頭もだんだん膨らみ後は噴き出すだけの状態になる。
 それでも武志は丹田に力を込め意思の力で射精感を押さえている。循環さえ、循環の技さえできれば逆転できる。それだけを心の拠り所に必死に耐える。
 だが、練習でうまくいかない技が本番で急にできるわけも無く、回収はある程度できているが循環はいっこうにできないまま時間が流れる。
 そうして、最後の時が迫る中、武志は心の中で謝っていた。
 じいさん、ごめん。俺はここまでだった。これ以上は我慢できない。一回出して楽になろう。
 武志が弱気になっていく。
 その時、遠くで誰かの声が聞こえた。空耳か。いや、爺さんの声か、いや、自分の声かもしれない。
(本当に全力を出したのか、何か忘れてないか)
 その時武志は快楽で溢れる頭の片隅で一条流の真の目的を突然思い出した。
 相手をセックスで打ち負かすことが目的ではない。お互いに最高の性を味わう事こそが一条流の目的なのだ。自分は勝負に勝つ事しか考えていなかった。
 まだ俺は全力を出しきっていない。彩音を最高に感じさせたわけでもない。まだできることがあるはずだ。
 武志は先祖と祖父と自分の体に祈った。
(俺は彩音さんと最高のセックスをするんだ。後悔しないように全力を出すんだ。俺はまだがんばれる)
 そうして、武志は意識を振り絞り、気の塊を一発、二発、三発と立て続けに撃ち放った。
 彩音の体がその度に跳ね上がった。腰の動きも止まり、口をもぎ離すと叫んだ。
「ぅあああー、あああー、あああー」
 武志は気を回収するために急いで彩音の体を抑え、口に吸い付く。そして流れている気を吸い上げ回収する。
 そしてここからが未知の世界だ。
 回収した気が喉を通って胃に溜っているのを感じる。胃の辺りに意識を集中して溜っている気を丹田に降ろす事をイメージする。頭の中では他に彩音を気持良くする事しか考えてなかった。勝負などはどこかに消え去っていた。
 すると今までできなかったのが嘘の様に、するすると気が丹田へと流れていく。丹田に気が溜っていくのが分かる。これで循環ができる。
「彩音さん一生で一番いいセックスをしよう。俺を信じて」
 武志はそう言って彩音を見つめる。彩音は三発もの気の塊を受け少し弱っていたが武志の真剣な眼を見てうなずいた。
 武志は下から彩音を優しく抱き口を合わせる。そして優しく舌を吸った。秘肉の一番奥では肉棒の先端が子宮口を突いている。
 その状態で武志は残った気を全て流し始める。普段の倍以上の量で気をどんどん流していく。
 彩音が強い快感を受け武志に抱き付き耐える。秘肉が締まり肉棒をさらに締め付ける。
 武志はどんどん気を流し口から吸収していく。その気を再び丹田に流し再び彩音へ送る。
 彩音は体がどんどん熱くなり信じられないくらい感じてくるのに驚いていた。武志は体をほとんど動かしていない。これが一条流の技なのか。
 こんなことは初めてで自分の体ではないみたいだ。快感が限界を超え始める。
「んんー、んふぅー、んふぅー」
 口をふさがれ舌を吸われているので、声を出せず、うめき声しか出ない。
 次から次へと今まで味わった事の無い快感が襲ってくる。もう何度も軽く達している。今はその間隔がどんどん短くなってきている。
 頭の中は快感だけで埋め尽くされ何も考えられない。ただひたすら武志に抱きつき快感に耐える。もう声も出ない。体は細かい痙攣を続け、恐ろしくなるほど感じている。このままではどうにかなりそうで怖いほどだ。
 武志は彩音が立て続けに達しても気の循環を続ける。まだだ、まだ最高の状態にはなっていない。自分も彩音もまだがんばれる。ぐるぐる気を回し、彩音をさらに高みへと導いていく。自分の射精感も絶頂に近づいていたが精神力で押さえる。快感だけを取り込み味わう。
 彩音の秘肉は本当に素晴らしい。何度もイッている為、秘肉が細かくひくつきながら根元から搾り出すかの様にうごめく。もっと味わいたい。もっと長く繋がっていたい。こんなに気持ち良いのは生まれて初めてだ。肉棒には信じられない位の快感が押し寄せ、溶けて秘肉と一体となった錯覚さえ覚える。
 だが、それも終わる時が来た。彩音のイク感覚が短くなりついには連続していきっぱなしになった。体は痙攣を続け、眼は半開きのままうつろになってきている。武志は最後の時が来たのを悟った。
「彩音さん、そのまま体の力を抜いて俺に任せて」
 武志は口を離すと言った。
「いい……、すごい、気持ち良い……、あーもう死んでもいい、すごいー……」
「もうすぐいくよ、出すよ、中に出すよ」
 武志は体を密着させたまま、腰を回して亀頭の先端でグリグリと子宮口をこすり上げながら言った。
「出して、中に出して、いっぱい出して」
 彩音も最後の体力を振り絞り全身を武志に押し付けながら答えた。
「いくよ、いくよ、いくよ」
「はやく、はやく、はやく、はやくぅー、うぅー……」
 秘肉の奥では子宮口が降りてきて口を開いている。最高の絶頂の準備ができた。
(いくよ。二人で生涯最高のセックスにしよう)
 武志は心の中で言った。
 武志は彩音の一番奥へ肉棒をさらに押し込んだ。開いた子宮口が肉棒の先端を咥える。
 武志は彩音を抱きしめ、さらに子宮を突き抜けんばかりに肉棒を押し込む。
「で、出る」
 武志は残った最後の気の全てと精液を子宮の中へ注ぎ込んだ。
 ぶしゅうーーー。
 連続して精液が噴き出し子宮の中に溜まっていく。まるで排尿しているかの様に連続して精液が出続けていく。腰から下が溶け全て精液となって流れ出ているかのような感覚だ。武志はこれこそが生涯最高のセックスなのだと分かった。
「いいーー……」
 彩音は一瞬体を硬直させ、秘肉が今日一番の力で肉棒を締め上げる。体全体が細かく震えている。
 彩音は快感のあまり腰から首まで溶けてなくなってしまい、頭の中はただ快感だけが埋め尽くしていた。
 そのままほんの少しの時間が流れた後、彩音の体中から力が抜けだらんとなった。眼をつむり、ただ秘肉だけが精液を一滴も逃さないという様にひくっ、ひくっと痙攣しながら肉棒を絞りつくしている。
 彩音に意識が有るのか無いのか武志には分からない。彩音自身も今まで味わった事の無い感覚で、現実と幻想の世界の間をさまよい自分がどうなっているのか分からなかった。最後に射精された瞬間、頭も体も全身が爆発して真っ白になり消えてなくなった様な感じだった。天国に行ったのだと思った。体の中に命の種が広がるのを感じ、そのまま意識がだんだん薄れていった。

 武志は動かさない方がいいと思い、彩音が規則正しく呼吸をしているのを確認すると、毛布をかけてやった。
 彩音は寝顔も美しい。この美しい寝顔を見た事がある男は少ないだろうと、すこし優越感に浸ってしまう。
 幸せそうな顔をして眠っているので、後始末をして起こすのもかわいそうで、そのままにしておく。
 武志は全身の疲れを感じていた。今日は本当に全力を尽くした。一滴の気も残っていない感覚だ。体力的にもかなり消耗している。時計を見ると、一時間近く挿入していた計算になる。

 武志はシャワーを浴びながら一条流の名前の由来を思い出していた。祖先に一条という名前の人が居た訳ではない、地名でも技の名前でもない。ましてや公家の五摂家の一条家とは恐らく関係ないだろう。
 実は一期一会の考え方から来た『一期一条』の言葉から取っている。
 一回のセックスに全身全霊を傾け、生涯(一期)最高のまぐわいを行い、そしてお互いが最高の快楽にある時に一回(一条)の射精で子を作る。というものだ。
 条とは細長い物を数える時の単位で、ほとばしる精液を煙が空に昇っていくさまに例えている。
 一条流は子作りを元々の目標にしていた。それが最高のセックスをすると子供ができやすいという考え方に変わり、女性に最大の快楽を与えてこそ武士という様に考え方が変わってきた。
 武志はこの半年での数多いセックス、特にS部隊との勝負で性の尊厳を忘れていた。女性が避妊してくれているので何も考えないで膣内射精を繰り返した。セックスとは本来子作りだと言う事を忘れていた。一回一回のセックスを生涯最高の物にするという一条流本来の考え方を忘れていた。
 今からはその考えを忘れず、一回のセックスを大切にしていこう。武志は決意していた。

 武志はシャワーを浴び汗を流した後、彩音を起こさないように気を付け、家に遅くなると電話した。麻衣にも電話して体調が優れないので明日会うのを中止にしてもらった。中止は初めてなので麻衣は心配していたが一日寝れば治るからと言って携帯を切った。
 明日は一日寝てないとだめだろう。ひょっとしたら麻衣はお見舞いに来るかもしれない。なんて言い訳しよう。
 そこまで考えた所で武志に限界が来た。武志は部屋に在ったガウンを羽織ると、ソファに倒れ込む様に横になり急速に眠りに落ちた。

 武志は体を撫でられる感覚がして目を覚ました。ガウンを羽織った彩音が床に座り武志の頬を撫でていた。体には毛布が掛けられていた。時計を見ると一時間ほど寝ていたようだ。
 彩音は武志にキスをして言った。
「何か食べに行きましょう。お腹すいたでしょう。もちろん、おごりよ」
 彩音は元気を出して言った。この男の子ともう二度と寝る事がないと何となく予感がする。だからこそ彼は生涯最高のセックスの為に全力を出してくれたのだ。もう会えないのは悲しい。けれど自分を磨けばいいのだ。
 自分が技を磨き他の誰かに最高のセックスを与えられる様になれば良いのだ、と彩音は悟っていた。

 夕食は二人で楽しい時間を過ごした。話題は主に武志の学生生活の話でセックスやS部隊の話は出なかった。人前でできる話ではないし、その話題を出してはいけない雰囲気だった。
 家の前まで送ってもらった後、武志は別れ際に聞いた。
「もう、これで挑戦とかは最後ですよね」
「上司がどうするかは分からないけど、A級の私でも歯が立たなかったんだからやり方を変えるしかないでしょうね」
「分かりました。今日はぐっすり眠れそうです」
「それじゃ、さよなら」
「おやすみなさい」
 武志はそう言って車を降りた。
 明日また会うかの様な挨拶だ。悲しさ、さみしさ、後悔などマイナスの感情は一切無かった。
 その時二人は確かにつながりを感じていた。もう二度と会えないかもしれないが、もし会えればそれが何年後だろうがすぐに打ち解けあえる気がする。最高のセックスをした者同士にしか分からない一体感を感じていた。

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